TOCHIGI AI JOURNAL

記事を読む 栃木のAI活用・補助金・研修設計を実務で使う
業務改善

【2026年最新】求人票と採用文書の生成AI活用6場面|栃木県版

⏱ 約11分で読めます
【2026年最新】求人票と採用文書の生成AI活用6場面|栃木県版

求人票を出しても応募が来ない会社ほど、原因は待遇より「書かれていないこと」にあります。結論は、生成AIで文章の下書きを作り、法令チェックだけは人がやること。栃木県の求人倍率の実情と、求人票・採用ページ・面接設計・内定者フォローという6場面での使い方、そして書く前に押さえる3つの法令を整理します。

栃木の採用市場|求人倍率は地域で開いている

栃木県の有効求人倍率は地域で差がある(令和8年7月・原数値・パートタイムを含む常用)
栃木県の有効求人倍率は地域で差がある(令和8年7月・原数値・パートタイムを含む常用)

栃木労働局の「地域別求人倍率(原数値)」によると、令和8(2026)年7月の栃木県全体の有効求人倍率は、パートタイムを含む常用で1.06倍、パートタイムを除く常用で1.15倍でした。地域別に見ると差があり、パートタイムを含む常用では県北地域0.92倍、県央地域1.17倍、県南地域0.97倍です。同じ月の所(ハローワーク)別では0.78倍から1.24倍まで開いています。

「県全体の数字」では自社の状況は測れない

県平均だけを見て「そこまで厳しくない」と判断すると実感とずれます。倍率は地域でも職種でも動くため、自社が募集している地域と職種の水準を見に行く必要があります。栃木労働局は地域別の求人倍率を毎月公表しており、原数値で所別まで掲載されています。募集を出す前に、自社の所在地を管轄する所の数字を確認してください。

応募が来ない原因は、たいてい待遇より情報量

求人票を並べて比べると、応募が集まらない会社の求人票には共通点があります。仕事内容が「製造業務全般」で終わっている、1日の流れが書かれていない、誰と働くのかが分からない、入社後にどう変わるのかが読めない。求職者は同じ画面で複数社を比べているため、情報が少ない求人は待遇が同等でも先に脱落します。ここは、書く手間さえ下げられれば埋められる差です。

求人票に生成AIを使う前に押さえる3つの法令

求人票を書く前に確認する法令のポイント
求人票を書く前に確認する法令のポイント

採用の文書は、他の社内文書と違って法令の制約が具体的に効いてきます。生成AIは自社の状況も日本の法令の最新の運用も知りません。書かせる前に、社内で次の3点を確認してください。

1. 令和6年4月から、明示すべき労働条件が3つ増えている

職業安定法施行規則の改正により、令和6(2024)年4月1日以降、労働者の募集や求人の申込みの際に明示しなければならない事項として次の3つが追加されています。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業の場所の変更の範囲
  • 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)

「変更の範囲」は、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、労働契約期間中の変更の範囲を指します。生成AIに求人票を書かせると、この3項目は指示しない限り入りません。テンプレート側に空欄として先に用意しておくのが確実です。

2. 年齢制限は原則禁止。例外は限定されている

募集・採用における年齢制限は、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)の平成19年の法改正により禁止が義務化されています。例外として認められる事由は次のとおり整理されています。

例外事由 内容
定年年齢を上限とする 定年がある場合で、期間の定めのない労働契約の対象として、定年年齢を上限に募集・採用する
法令の規定による 労働基準法等の法令で特定の年齢層の就労が禁止・制限されている業務
長期勤続によるキャリア形成 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を募集・採用する
技能・ノウハウの継承 特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する
芸術・芸能の分野 表現の真実性等の要請がある場合
特定年齢層の雇用促進 60歳以上の高年齢者や、就職氷河期世代など雇用促進施策の対象となる層に限定する

生成AIに募集要項を書かせると、「20〜30代活躍中」「若手歓迎」といった表現が自然に出てきます。これらは例外事由に当たるかどうかで扱いが変わるため、出力をそのまま掲載しないでください。

3. 性別による差別と、間接差別

男女雇用機会均等法第5条は、事業主は労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています。さらに、募集・採用にあたって身長・体重・体力を要件とすること、転居を伴う転勤に応じることを要件とすることは、業務上の必要性など合理的な理由がない場合に間接差別として禁止されています(同法第7条)。「体力に自信のある方」「全国転勤あり」といった文言をAIが書いてきたときは、業務上の必要性を説明できるかを確認してください。

場面1・2|仕事内容欄と、応募条件の書き分け

求人票で最も読まれ、最も薄くなりがちなのが仕事内容欄です。ここは素材さえ渡せば生成AIが得意な領域です。素材は、実際にその仕事をしている社員に15分ほど話してもらった内容で足ります。

例:「以下は当社の製造課の社員に、1日の仕事の流れを話してもらった内容です。これをもとに求人票の『仕事の内容』欄の下書きを作ってください。条件は次のとおりです。(1)1日の流れが時系列で分かるように書く。(2)使う設備・システムの名称は原文のまま残す。(3)『従事すべき業務の変更の範囲』を記載する欄を最後に設け、内容は【要記入】としておく。(4)400字以内。(5)素材にない業務内容を追加しない。」

「変更範囲:なし」と書けるかを先に決めておく

実務でつまずくのは、業務や就業場所の変更の範囲を社内で決めていないケースです。将来の配置転換や転勤の見込みがないなら「変更範囲:なし」と書き、見込みがあるなら変更後の業務や転勤の範囲を明示する必要があります。ここは文章の巧拙ではなく経営判断なので、求人票を書き始める前に決めてください。生成AIに「一般的にはどう書きますか」と聞いても、自社の答えは出てきません。

応募条件は「必須」と「歓迎」を分ける

応募条件を並べすぎると応募が減り、緩めすぎると面接の手間が増えます。書き分けの型は単純で、必須要件は「これがないと初日から業務に入れないもの」だけに絞り、それ以外は歓迎要件に落とします。例:「以下の応募条件のリストを、(1)必須要件、(2)歓迎要件、(3)そもそも要件にする必要がないもの、の3つに分類してください。分類の理由も1行ずつ書いてください。」分類の理由を書かせると、社内で議論する材料になります。

場面3・4|採用ページの会社紹介文と、社員インタビュー

求人票の情報量には限りがあるため、自社サイトの採用ページで補います。ここで効くのは、経営者の言葉と、実際に働いている社員の話です。どちらも「話してもらったものを文章にする」工程を生成AIに任せられます。

  1. 30分話してもらう: 入社のきっかけ、1日の流れ、大変だった場面、続けている理由の4点を口頭で聞き、録音する
  2. 文字にする: 文字起こしを行い、明らかな言い間違いだけ直す
  3. 構成させる: 「以下は社員へのインタビューの文字起こしです。採用ページ用の記事に構成してください。話されていない事実を追加しないこと。話し言葉の言い回しは、本人らしさが出ている箇所は残してください。1,200字程度、見出しを3つ」と指示する

実在しないエピソードを作らせない

インタビュー記事で最も危ないのは、生成AIが「よくある話」を補ってしまうことです。話していない受賞歴、経験していない失敗談、言っていない上司の言葉。掲載後に本人から指摘されると、採用広報どころではなくなります。指示文に「話されていない事実を追加しない」と明記し、公開前に必ず本人に全文を読んでもらってください。これは手順として固定しておくべきものです。

場面5・6|面接の質問設計と、内定者・入社後フォローの文面

面接の質問は、生成AIに案を出させると数は稼げます。ただし出てきた質問には、聞いてはいけない項目が混ざります。厚生労働省は公正な採用選考の考え方として、次を採用選考時に配慮すべき事項として挙げています。

区分 把握を避けるべき事項
本人に責任のない事項 本籍・出生地/住宅状況(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)/家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)/生活環境・家庭環境など
本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること) 宗教/人生観・生活信条/思想/購読新聞・雑誌・愛読書/支持政党/尊敬する人物/労働組合や学生運動などの社会運動
採用選考の方法 身元調査などの実施/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

質問案は、必ずこの表と突き合わせる

実務としては、生成AIに質問案を20問ほど出させたうえで、上の表を渡して自己点検させ、最後に人が確認する三段構えが速いです。例:「以下は面接の質問案20問です。次の一覧に該当するおそれのある質問を抜き出し、理由を書いてください。該当しない質問はそのまま残してください。」(このあとに上の表を貼る)ただし、最終判断は人が行ってください。AIの自己点検は取りこぼします。

内定者と入社直後の文面は、型を作って使い回す

内定通知、入社日までの持ち物案内、初日のスケジュール連絡、1か月後の面談案内。この4通は毎回ほぼ同じ内容です。一度だけ丁寧に型を作り、以降は日付と担当者名を差し替えるだけにします。例:「入社初日の案内メールの型を作ってください。含める要素は、集合時間と場所、持ち物、服装、当日の流れ、緊急時の連絡先、質問の窓口です。差し替える箇所は【 】で囲んでください。」入社辞退が起きやすいのは、内定から入社までの連絡が途切れる期間です。文面づくりの手間を下げることが、そのまま連絡の頻度を保つことにつながります。

応募が来ないときに見る4つの数字

求人票を直したあとに追う4つの数字
求人票を直したあとに追う4つの数字

求人票を書き直したあとは、感覚ではなく数字で確認します。中小企業でも自社で数えられるのは次の4つです。

数字 数え方 下がっているときに疑うところ
閲覧数 求人媒体の管理画面で週単位に記録する 職種名・勤務地・給与など、一覧に表示される項目
応募数 媒体別に週単位で記録する 仕事内容欄の情報量、応募条件の厳しさ
面接設定率 応募のうち面接まで進んだ割合 連絡の速さ、日程調整の手間
辞退のタイミング 応募後・面接後・内定後のどこで辞退が出たかを記録する 面接での説明内容、内定から入社までの連絡

記録は表計算ソフト1枚で十分です。数字が動いたら、その週に何を変えたかと並べて見ます。求人票の文章を変えたのに閲覧数が動かないなら、直すべきは本文ではなく一覧に出る項目のほうです。

栃木県内の相談先と、採用担当者の育成

求人票の書き方や労働条件の明示については、事業所を管轄するハローワーク・栃木労働局が一次の相談先です。法令の当てはめや就業規則との整合は、社会保険労務士に確認してください。生成AIの導入そのものの進め方であれば、県が設置した「とちぎビジネスAIセンター」(宇都宮市ゆいの杜1-5-40 とちぎ産業創造プラザ内)が個別相談やワークショップ、研修講座を扱っています。相談の進め方は「とちぎビジネスAIセンターへの相談の進め方」を参照してください。

採用担当者を含めた社内研修を行う場合、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象となる場合があります(要件審査があります)。研修そのものの設計は「中小企業の生成AI研修設計5ステップ」に、制度の全体像は「栃木県の中小企業が使えるAI導入補助金・支援制度まとめ」にまとめています。建設業のように業種特有の書類とあわせて採用文書を整えたい場合は、「栃木の建設業|生成AIで書類作成を軽くする7場面」も参考になります。

よくある質問

Q1. 求人票の文章を生成AIで作ることに、法的な問題はありますか?

文章の下書きを作ること自体を制限する規定は確認できていません。問題になるのは中身のほうです。明示が必要な労働条件が抜けていないか、年齢や性別に関する表現が例外事由や合理的理由の範囲に収まっているかは、掲載前に人が確認してください。AIは自社の定年制度も配置転換の実態も知らないため、判断を委ねられません。

Q2. 応募者の履歴書を生成AIに読み込ませて要約させてもよいですか?

応募書類は個人情報の塊です。氏名・住所・生年月日・学歴・職歴がそろっており、伏せたつもりでも組み合わせから特定できます。入力したデータの取り扱いを契約と管理画面の設定で確認できていないサービスに貼るのは避けてください。社内ルールとしてどこまで許すかは、あらかじめ文書にしておくべき論点です。項目立ては「生成AIガイドラインの作り方」で示しています。

Q3. 「若手歓迎」と書きたいのですが、どうすればよいですか?

年齢制限は原則禁止で、例外事由に当たる場合に限って認められます。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を募集する場合が例外事由のひとつとして整理されていますが、適用には条件があります。表現をどうするかの前に、自社の募集が例外事由に当たるかをハローワークに確認してください。生成AIが出してくる言い換え案を根拠にしないことが大事です。

Q4. 社員インタビューを載せたいのですが、話が上手な社員がいません。

話が上手である必要はありません。うまく話せない部分こそ文字起こしと構成の工程が効きます。聞くのは4点だけで足ります。入社のきっかけ、1日の流れ、大変だった場面、それでも続けている理由。この4点を30分で聞き、文字起こしを構成させれば記事の形になります。公開前に本人に全文を読んでもらい、話していない内容が混ざっていないかを確認してください。

Q5. 求人票を書き直したのに応募が増えません。次に何を見ればよいですか?

閲覧数と応募数を分けて見てください。閲覧数が増えていないなら、直すべきは本文ではなく、一覧画面に出る職種名・勤務地・給与などの項目です。閲覧数は増えたのに応募が増えないなら、仕事内容欄の情報量か応募条件の厳しさを疑います。応募はあるのに面接に進まないなら、連絡の速さと日程調整の手間が原因であることが多いです。数字を分けて記録していないと、この切り分けができません。

参考・出典

まとめ|文章は任せ、法令チェックは手放さない

採用文書での生成AIの使いどころは、仕事内容欄、応募条件の整理、会社紹介文、社員インタビュー、面接の質問案、内定者・入社直後の連絡文の6場面です。いずれも共通するのは、素材を人が用意し、文章の組み立てだけを任せるという分担でした。そして、労働条件の明示3項目、年齢制限の例外事由、性別に関する差別と間接差別、公正な採用選考の配慮事項という4つの確認は、最後まで人の仕事として残します。栃木県内での進め方について相談したい場合は、運営会社の事業内容をご確認のうえ、お問い合わせからご連絡ください。