事業承継が進まない理由の大半は、後継者がいないことではなく、渡すものが書き出されていないことです。株価の算定や契約書は専門家に頼めますが、「誰が何をできるか」「この取引はいつから、どういう経緯で続いているか」を文字にする作業は社内にしか残せません。ここが重いから、毎年先送りになる。生成AIが効くのはこの部分です。栃木県は11月を事業承継推進月間と定め、専門家費用の一部を補助する県の制度は11月30日まで募集しています。準備を始めるなら、いまが動かしやすい時期です。
栃木県は11月を「事業承継推進月間」と定めている

まず、県が何をしているかを押さえます。栃木県「事業承継に関する支援・相談窓口」(更新日:2026年6月3日)には、次の内容が掲載されています。
- 県は、事業承継に向けた機運醸成を図るため、11月を「事業承継推進月間」と定め、各支援機関と連携しながら普及啓発活動を集中的に実施する。期間中はYouTube動画等を活用した広報キャンペーンや事業承継セミナーの開催を予定している
- 支援機関の連携体制を強化するための「事業承継推進共同宣言」の宣言式を、令和8(2026)年2月26日に開催した
- 相談窓口として栃木県事業承継・引継ぎ支援センター(宇都宮市中央3-1-4 栃木県産業会館7階)を案内している
- 承継に必要な設備資金等の調達を支援する県独自の融資制度(事業承継支援資金)がある
- 専門家活用経費を対象とする補助金の令和8(2026)年度公募を開始している
つまり、支援の側は9月から11月にかけて動いているということです。制度の期限も同じ時期に並びます。
県内企業の側の状況も、数字で見ておきます。(公財)栃木県産業振興センターの令和7(2025)年度 発注企業及び受注企業の現況に関する調査結果(令和8年3月)によると、県内の受注企業253社が挙げた今後の経営方針(複数回答)で「後継者育成」は20.6%(51社)でした。また経営上の課題(複数回答)では、調査票の項目名が「事業継承」と表記された項目に11.5%(29社)が回答しています。5社に1社が後継者育成を経営方針に挙げている一方で、課題として認識しているのは1割強。やらなければいけないと分かっているが、まだ課題の形になっていないという段階の会社が多い、と読めます。
県の事業承継支援補助金は、専門家に払う費用が対象
承継の準備でいちばん現金が出ていくのは、専門家への委託費です。県はここを補助しています。栃木県「令和8(2026)年度栃木県事業承継支援補助金の公募について」の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 優れた技術や経営資源を次世代に引き継ぎ、安定した雇用や地域のサプライチェーンを維持するため、事業承継にかかる専門家活用経費の一部を補助する |
| 募集期間 | 令和8年6月10日(水曜日)から令和8年11月30日(月曜日)まで随時募集(予算額に達した時点で募集終了) |
| 事業実施期間 | 令和8年4月1日から令和9年2月14日まで |
| 補助率 | 事業実施期間内に完了した補助対象経費の2分の1以内 |
| 補助限度額 | 50万円 |
| 申請方法 | 郵送又はメール(申請先は事業承継支援補助金事務局=一般社団法人栃木県商工会議所連合会内) |
| 実績報告 | 事業完了の日から起算して30日を経過した日、もしくは令和9年2月19日のいずれか早い期日必着 |
補助対象経費は、事業承継にあたり弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、中小企業診断士等の専門家に業務を委託するための経費で、公募ページは次の区分を挙げています。
- 価格算定:株価など企業価値の算定や、贈与税・相続税のシミュレーションを委託した場合の経費
- デューデリジェンス:デューデリジェンスを委託した場合の経費
- 契約書等の作成:最終契約書やレビューの作成を委託した場合の経費
- 不動産鑑定評価書作成:不動産の時価評価を委託した場合の経費
- 労務関連手続き:最終契約書等に基づき労務関連手続きを委託した場合の経費
- 債務整理手続き:債務整理手続きを委託した場合の経費
- 代表者の変更等に伴う登記手続き:最終契約書等に基づき不動産売買や定款変更、根抵当権解除等の登記を委託した場合の経費
補助対象者の主な要件は、栃木県内に本店を有する中小企業者であること(個人事業者の場合は県内に住所を有すること)、事業承継後も常時使用する従業員の雇用を維持し事業拠点を県内に維持・確保することが見込まれること、みなし大企業ではないこと、そして支援機関から推薦を受けていることです。対象となる場合がありますが、要件審査があります。詳細と可否は必ず交付要領と事務局で確認してください。
実務で効いてくるのは最後の要件です。推薦をもらうには、支援機関に自社の状況を説明できる状態になっている必要がある。そのための資料づくりが、この記事の主題です。なお申請書類には補助事業計画書や申請者の概要といった様式が含まれます。公募要領を読み解いて計画書の骨組みを作る進め方は、補助金の事業計画書を生成AIで書く5手順で扱った手順がそのまま使えます。
いちばん時間を食うのは「見えていないもの」の書き出し

承継の準備を、渡すものの棚卸しとして4つに分けます。
- 人:誰が何をできるか。作業の段取り。取引先との関係が誰と誰の間にあるか
- 取引:相手、品目、取引条件、いつから続いているか、値決めの経緯
- モノ:設備、図面、型、治具、保守の履歴、部品の調達先
- カネと権利:株主構成、借入、経営者保証、不動産、許認可
このうち3と4は、書類として形が残っていることが多い項目です。登記簿、決算書、設備台帳、契約書、許認可の写し。集める手間はかかりますが、探せば出てきます。
問題は1と2です。現経営者の頭の中にしかなく、聞かれないと出てこない。 「あの会社の発注は、先代のころに紹介で始まった」「この工程は、最後に必ず自分が目で見て判断している」「あの材料は、この商社でないと安定して入らない」。この種の情報が書き出されていないと、後継者は同じ判断ができず、外部の専門家も企業の価値を評価できません。
ここで生成AIが役に立ちます。文章を書かせるのではなく、話したことを書き出す作業を減らす使い方です。具体的な手順は後の節で示しますが、原理は単純で、口で説明できることは録音して文字にできる、文字にできれば整理できる、ということです。
専門家に払う仕事と、社内でできる仕事を分ける
県の補助金が対象にしているのは専門家への委託費です。裏を返せば、補助対象にならない作業は社内でやることになります。線引きを表にします。
| 専門家に委託する(補助対象の区分がある) | 社内でやる(生成AIで下ごしらえができる) |
|---|---|
| 株価など企業価値の算定、贈与税・相続税のシミュレーション | 直近3期の決算数値を年ごとに並べ、増減の理由を1行ずつ書き出す |
| デューデリジェンス | 設備・取引・許認可・係争の有無を一覧にして、資料の在りかを添える |
| 最終契約書やレビューの作成 | 取引先ごとの契約の有無と更新時期を表にする |
| 不動産の時価評価 | 所有する不動産の一覧と、登記・測量図の在りかを整理する |
| 労務関連手続き | 就業規則・賃金規程・雇用契約書の最新版がどこにあるかを確認する |
| 債務整理手続き | 借入と保証の一覧を、金融機関ごとに整理する |
| 代表者の変更等に伴う登記手続き | 定款・株主名簿・議事録の所在と最終更新日を確認する |
右側の列に共通するのは、判断ではなく、あるものを探して並べる作業だという点です。生成AIには、集めた断片から表の骨組みを作らせ、抜けている項目を指摘させる使い方が向きます。数値そのものは必ず原資料から転記してください。
やってはいけないのは、左側の列を生成AIで代替しようとすることです。株価の算定にも、税制の適用可否にも、契約書の作成にも、資格に基づく判断が含まれます。契約書まわりでどこまで生成AIに任せてよいかの線引きは、取引先の契約書チェックに生成AIを使う線引きで整理しました。承継の場面では、この線をさらに手前に引いてください。
後継者に渡す引き継ぎ資料を形にする5つの手順

ここが本題です。現経営者の頭の中を、後継者が読める形にする手順を5つに分けます。
手順1:口で説明していることを録音して文字に起こす。 新しく資料を書こうとすると止まります。代わりに、現経営者が誰かに説明している場面を録音します。朝礼、後継者への指示、取引先への電話の後の説明。30分ぶんの音声を文字にして生成AIに渡し、「話題ごとに区切って見出しを付けて」と指示すると、原稿の材料になります。ここで新しい文章を書かせないのが要点です。
手順2:「いつ・誰が・何をきっかけに」の形に直す。 業務手順は、この3点がそろって初めて再現できます。「月初に、経理担当が、前月の締めを受けて」のように書き直させます。主語が抜けたまま残っている箇所は、生成AIが質問の形で拾ってくれます。
手順3:例外処理と「この人にしか聞けないこと」を洗い出す。 通常の手順よりも、例外のほうが承継では効きます。「この客先の検収だけは伝票の運用が違う」「この設備は、朝いちばんに空運転してから使う」。手順2でできた原稿を読ませて、「例外・条件付きの記述をすべて抜き出して」と指示すると一覧になります。ここで挙がった項目が、そのまま後継者への引き継ぎ面談の議題になります。
手順4:社内だけで通じる言葉の用語集を作る。 略語、通称、先代からの言い回し。これが分からないと、後継者も新しい従業員も動けません。原稿から社外の人に通じない語を抜き出させ、意味は現経営者が口頭で説明して追記します。
手順5:3か月ごとに直す場所と担当を決める。 一度作った資料は、置き場所が決まっていないと更新されません。共有フォルダのどこに置くか、誰が直すか、いつ見直すかを1行で決めます。この決め方は、小規模事業者向けの生成AI活用で挙げた「指示文の置き場所を決める」やり方と同じです。決めないと続きません。
この5手順は、社内文書の整備という意味では総務・経理の生成AI活用7場面で扱った業務手順書づくりと地続きです。承継の資料づくりを特別なプロジェクトにせず、普段の手順書づくりの延長として始めるほうが、実際には最後まで進みます。
従業員・取引先・金融機関へ、いつ何を伝えるか
承継は、決めたあとの伝え方で結果が変わります。伝える相手と順番、そして生成AIの使いどころを整理します。
| 相手 | いつ伝えるか | 何を伝えるか | 生成AIの使いどころ |
|---|---|---|---|
| 家族・株主 | いちばん先 | 方針と時期の見通し | 使わない(口頭で) |
| 幹部・キーパーソン | 方針が固まったら | 役割の変化と、変わらないこと | 説明の論点を整理する |
| 従業員全体 | 対外公表の前 | 雇用と事業の継続、窓口 | 説明文の骨組みと想定質問 |
| 主要取引先 | 対外公表と同時期 | 担当と窓口の変更、取引条件は変わらない旨 | 相手ごとの案内文の骨組み |
| 取引金融機関 | 早い段階で | 資金と保証の見通し | 説明資料の構成づくり |
| 許認可の官庁 | 手続きの期限に従う | 法定の届出 | 使わない(様式と期限は原本で確認) |
生成AIで作ってよいのは、骨組みと想定質問までです。従業員向けの説明文を丸ごと書かせると、どこかで読んだような文章になり、いちばん伝わってほしい部分が抜けます。「何を約束するか」だけは経営者が自分の言葉で書く。そのほうが短くても伝わります。
想定質問の作成は、生成AIがとくに得意な領域です。従業員向けの説明文を読ませて「この説明を聞いた従業員が不安に思うことを20個挙げて」と指示すると、雇用、給与、役職、取引先との関係、社名、勤務地といった論点が並びます。そのうち答えを用意すべきものを選び、回答は人が書きます。
事業承継税制を使うなら、期限が先に決まっている
株式や事業用資産の移転に税制の特例を使う場合、申請より先に計画の提出期限が来ます。栃木県「経営承継円滑化法に基づく事業承継支援(事業承継税制・金融支援)」は、冒頭で次の注意を掲げています。
- 特例承継計画は2027年9月30日までに提出する
- 個人事業承継計画は2028年9月30日までに提出する
同ページによると、非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予制度は、経営承継円滑化法に基づく栃木県知事の認定を取得していることが前提です(平成29年4月1日の権限移譲により、それ以前は関東経済産業局長)。特例措置と一般措置の違いは次のとおりです。
| 項目 | 特例措置 | 一般措置 |
|---|---|---|
| 事前の計画策定 | 5年以内の特例承継計画の提出(2018年4月1日から2027年9月30日まで) | 不要 |
| 適用期限 | 10年以内の贈与・相続等(2018年1月1日から2027年12月31日まで) | なし |
| 対象株数 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
| 納税猶予割合 | 100% | 贈与100%/相続80% |
| 承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者 | 複数の株主から1人の後継者 |
| 雇用確保要件 | 弾力化 | 承継後5年間、平均8割の雇用維持が必要 |
適用期限が2027年12月31日、そのための計画提出が2027年9月30日。つまり特例措置を使うなら、残りは約1年です。認定後も、申告期限後5年間は県への年次報告書(年1回)と税務署への継続届出書(年1回)が必要で、6年目以降も3年に1回の届出が続きます。手続きの入口だけでなく、その後の報告まで含めて誰が担当するかを決めておいてください。
なお、同ページによれば、同法に基づく「遺留分に関する民法特例」に係る経済産業大臣の確認は都道府県に権限移譲されておらず、中小企業庁財務課(電話:03-3501-5803)が窓口です。税制の適用可否そのものは税理士に確認する領域で、この記事の範囲外です。
承継の検討を、社外に漏らさないための線引き
承継の検討段階で扱う情報は、社内文書のなかでもとくに機微です。「承継を検討している」という事実そのものが、まだ社内でも一部にしか共有されていないという点が、他のテーマと違います。以下は外部の生成AIサービスに入れる前に立ち止まる対象です。
- 譲渡や承継を検討している事実そのもの:社名や地域と結びつく形では入力しない
- 株主構成と株価に関する情報:誰が何株持っているかは、個人の資産情報でもあります
- 決算書と試算表:数値の整理をさせたいときは、社名・取引先名を外し、金額の桁を保った匿名の表に直してから渡す
- 従業員名簿と給与情報:氏名・生年月日・給与額は入れない。労務の整理は社会保険労務士へ
- 取引先名と取引条件の組み合わせ:どちらか一方ではなく、セットで漏れると影響が大きい
- 家族関係・相続に関する情報:親族内承継では家庭の事情が混ざります。ここは口頭と紙で扱う
サービスの利用規約と、入力したデータが学習に使われるかの設定を確認する手順は、生成AIガイドラインの作り方にまとめてあります。承継の検討に入る会社は、この一項目だけでも先に決めてから作業を始めてください。
県内で相談できる先と、アトツギ向けの学びの場
相談先は、段階によって分かれます。
- 承継全般の入口:栃木県事業承継・引継ぎ支援センター(宇都宮市中央3-1-4 栃木県産業会館7階/電話 028-612-4338)。宇都宮商工会議所が運営する公的な支援機関で、相談は無料・事前予約制です。同センターの支援内容・支援の流れによると、流れは電話・FAX・メールでの申込み、相談日確認の連絡、初回面談(持参資料は会社案内・パンフレット、決算書は任意)、2回目以降の面談、提案、支援へと進みます。同ページは、事業承継・引継ぎ支援センターの特徴として相談件数36,000件超と、譲渡側企業の約7割が小規模事業者であることを挙げています。後継者不在の企業と起業希望者をつなぐ栃木県後継者人材バンクも案内されています
- 補助金の申請:事業承継支援補助金事務局(一般社団法人栃木県商工会議所連合会内・宇都宮市中央3-1-4 栃木県産業会館3階/電話 028-637-3725)。申請は郵送またはメールで、メール申請の場合は2〜3日以内に事務局から受領メールが送られると案内されています
- 後継者本人の学びの場:(公財)栃木県産業振興センターの研修のご案内に「アトツギのためのセミナー」が掲載されています。県内で親族が商売や事業を営んでいる若い世代を対象に、家業の経営資源をベースにした新たな事業の開発について考え方を学ぶ講座です
- 身近な相談:県内の商工会議所・商工会。県の相談窓口ページも、事業承継の相談先として案内しています
- AIの使い方そのもの:とちぎビジネスAIセンター。相談の進め方はとちぎビジネスAIセンターの使い方にまとめています
初回面談の持参資料が「会社案内・パンフレット、決算書(任意)」と軽いのは、手ぶらに近くても始められるという意味です。ただし、この記事の手順1〜3を先にやっておくと、初回で話が一段深くまで進みます。
よくある質問
Q. 後継者が決まっていません。それでも相談してよいですか。
A. 栃木県事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不在の悩みも相談対象として明示しています。同センターは後継者不在の企業と起業を志す人をつなぐ栃木県後継者人材バンクも案内しています。相談は無料・事前予約制です。決まってから相談する場所ではありません。
Q. 県の事業承継支援補助金は、コンサルティング費用にも使えますか。
A. 公募ページが挙げている補助対象経費は、弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士等の専門家に業務を委託するための経費で、価格算定、デューデリジェンス、契約書等の作成、不動産鑑定評価書作成、労務関連手続き、債務整理手続き、代表者の変更等に伴う登記手続きの区分が示されています。個別の費用が対象になるかは交付要領と事務局で確認してください。要件審査があります。
Q. 引き継ぎ資料を、生成AIで一気に作ってもらえませんか。
A. できません。生成AIは、渡した材料の中にない事実を作ることがあります。承継の資料でそれが起きると、後継者が誤った前提で判断することになります。この記事の手順1のように、まず現経営者が話したことを録音して文字にし、その範囲だけを整理させてください。生成AIの仕事は書き出しと整理であって、内容の供給ではありません。
Q. 従業員に伝えるのはいつがよいですか。
A. 対外公表より前です。取引先や金融機関から先に伝わると、雇用の不安が先に立ちます。本記事の表で示した順番は、家族・株主、幹部、従業員全体、取引先、金融機関という並びです。生成AIには説明の骨組みと想定質問までを任せ、何を約束するかは経営者が自分の言葉で書いてください。
Q. 事業承継税制の特例措置は、まだ間に合いますか。
A. 栃木県のページは、特例承継計画の提出期限を2027年9月30日、特例措置の適用期限を2027年12月31日までの贈与・相続等と示しています。2026年9月時点では約1年の猶予があります。ただし適用の可否や有利不利の判断は税理士の領域です。計画の提出だけでも先に検討する価値があります。
Q. 決算書を生成AIに読ませて分析させてよいですか。
A. 社名・取引先名を外し、匿名の表に直したうえでなら、増減の整理や説明文の下書きには使えます。ただし企業価値の算定や税額のシミュレーションは、県の補助金でも専門家委託の対象とされている領域です。数値の意味づけと、承継の判断は専門家と経営者が行ってください。
まとめ
栃木の事業承継は、支援の側が9月から11月にかけて動きます。県は11月を事業承継推進月間と定め、専門家費用を対象とする補助金は令和8年11月30日まで随時募集(予算額に達した時点で終了)。事業承継税制の特例承継計画は2027年9月30日が提出期限です。
準備の中身は2つに分かれます。専門家に払うのは、株価算定・デューデリジェンス・契約書・登記といった資格に基づく仕事。社内でやるのは、人と取引の情報を書き出す仕事。 後者は補助金の対象ではありませんが、これがないと専門家も支援機関も動けません。そして、ここにこそ生成AIが効きます。録音を文字にし、いつ・誰が・何をきっかけにの形に直し、例外を洗い出し、用語集を作る。書かせるのではなく、話したことを整理させる使い方です。
まずは30分、現経営者が誰かに仕事を説明している場面を録音するところから始めてください。その30分が、いちばん重い1歩です。
出典・参考
- 栃木県「事業承継に関する支援・相談窓口」(更新日:2026年6月3日・11月の事業承継推進月間、事業承継推進共同宣言)
- 栃木県「令和8(2026)年度栃木県事業承継支援補助金の公募について」(更新日:2026年6月3日)
- 栃木県「経営承継円滑化法に基づく事業承継支援(事業承継税制・金融支援)」
- 栃木県事業承継・引継ぎ支援センター
- 栃木県事業承継・引継ぎ支援センター「支援内容・支援の流れ」
- 中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎポータル」
- 中小企業庁「事業承継・引継ぎ支援」
- 公益財団法人栃木県産業振興センター「令和7(2025)年度 発注企業及び受注企業の現況に関する調査結果」(令和8年3月)(PDF)
- 公益財団法人栃木県産業振興センター「研修のご案内(アトツギのためのセミナー)」
この記事で確認できていないこと
- 栃木県の事業承継推進月間(11月)に開催されるセミナーの日程・会場・申込方法。県のページは「決定次第、順次掲載」としており、2026年9月時点で公表を確認できていません
- 令和8(2026)年度の栃木県事業承継支援補助金の予算額と、9月時点での残枠。随時募集で予算額に達した時点で終了とされているため、申請可能かは事務局への確認が必要です
- 栃木県内の後継者不在率。民間調査の数値は流通していますが、県が公表する数値は2026年9月時点で確認できていません
- (公財)栃木県産業振興センターの「アトツギのためのセミナー」の令和8年度の開催日程・受講料
- 事業承継税制の適用可否、有利不利の判断、株価の算定方法。いずれも税理士・公認会計士の領域で、本記事の範囲外です
- 生成AIを使った引き継ぎ資料づくりの県内での実施状況。事例の集計は2026年9月時点で公式に確認できていません