結論:栃木県の最低賃金は、2026年(令和8年)10月1日から時間額1,125円になります。現行の1,068円から57円の引き上げで、栃木労働局は「過去2番目に大きい引き上げ」と説明しています。2026年9月30日までは現行の1,068円が適用されます。発効日の10月1日は全国でも最も早いグループで、賃金改定に使える業務改善助成金の申請期限は発効日の前日である9月30日です。この記事では、栃木労働局と厚生労働省の一次資料だけを根拠に、いつから・誰に・いくら適用されるのか、月給の従業員の確認方法、9月中に終えておく準備、生成AIに任せてよい作業と人が決めることを順に整理します。
この記事の要点
- 栃木県最低賃金は1,068円→1,125円(57円引き上げ)。発効は2026年10月1日。9月30日までは1,068円
- 塗料製造業を除く栃木県特定最低賃金は新しい地域別最低賃金を下回るため、10月1日以降は当面の間、該当業種でも1,125円が適用される
- 令和8年度の業務改善助成金は、栃木県の事業者の場合申請も賃上げも9月30日まで。事業場内最低賃金が1,050円未満なら助成率4/5
- 生成AIに任せてよいのは、影響の試算表・改定通知の文案・事業計画のたたき台まで。賃金額の決定と就業規則の改定は人が行う
対象読者:栃木県内でパート・アルバイトを雇っている経営者、総務・人事・経理の担当者。自分の時給や月給が最低賃金を下回っていないか確かめたい従業員の方。
読了後にできること:10月1日までに自社で何を確認し、いつまでに何を終えるかが分かります。業務改善助成金の申請に間に合うかどうかを、9月30日の期限から逆算して判断できます。
栃木県の最低賃金2026を数字で押さえる

栃木労働局は2026年9月1日、「令和8年10月1日から栃木県最低賃金が1,125円に改定されます」と公表しました。厚生労働省がまとめた「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」と合わせると、数字は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改定後の栃木県最低賃金 | 時間額1,125円 |
| 改定前(2026年9月30日まで) | 時間額1,068円 |
| 引き上げ額 | 57円(栃木労働局「過去2番目に大きい引き上げ」) |
| 中央最低賃金審議会の目安 | Bランク・56円(栃木の答申は目安を1円上回る) |
| 発効日 | 2026年(令和8年)10月1日 |
| 全国加重平均 | 1,177円(改定前1,121円・56円引き上げ) |
出典は栃木労働局「令和8年10月1日から栃木県最低賃金が1,125円に改定されます!」(2026年9月1日)と、厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(PDF)です。答申状況の資料には「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」という注記がありますが、栃木労働局は9月1日時点で「令和8年10月1日から発効」と案内しています。
近隣県と並べると、栃木の1,125円は茨城の1,136円、群馬の1,120円と同じ水準帯にあります。埼玉は1,196円、東京は1,280円ですから、県境をまたいで働く人の多い地域では、時給の差が採用にも影響します。
いつから・誰に適用されるのか
最低賃金は、栃木県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員、派遣労働者(派遣先の県の最低賃金が適用)も対象です。年齢や国籍による区別もありません。
適用のタイミングは「発効日以降に働いた時間」です。10月1日以降の労働時間には1,125円以上を支払う必要があり、9月30日までの分は1,068円以上で足ります。締め日が月の途中にある事業場では、同じ給与計算期間の中に旧額の日と新額の日が混ざるため、日付で分けて計算する準備が必要です。
もう1つ、栃木特有の注意点があります。栃木県には産業別に定められた「栃木県特定最低賃金」がありますが、栃木労働局によると、塗料製造業を除く栃木県特定最低賃金は改定後の栃木県最低賃金(1,125円)を下回るため、10月1日以降は当面の間、該当する産業でも1,125円が適用されます。特定最低賃金の額だけを見て「うちは産業別の方が適用だから」と判断すると、地域別の1,125円を下回る恐れがあります。
月給・日給の人も対象|最低賃金以上かを確かめる計算
最低賃金は時間額で示されますが、月給制や日給制の人にも適用されます。厚生労働省の最低賃金特設サイトが示している確認方法は、賃金を時間額に換算して比べる、というものです。
- 時間給の場合:時間給 ≧ 1,125円
- 日給の場合:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 1,125円
- 月給の場合:月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 ≧ 1,125円
比較する賃金には、通勤手当・家族手当・精皆勤手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、臨時の賃金や賞与は含めません。基本給と、それ以外の毎月決まって支払う手当で比べます。
1か月の平均所定労働時間は、年間の所定労働日数から出します。たとえば1日8時間、年間所定労働日数250日の事業場なら、8時間×250日÷12か月=月平均166.6時間です。この場合、月給が1,125円×166.6時間=187,425円を下回っていれば、10月1日以降は最低賃金割れになります。年間の所定労働日数は事業場ごとに違うので、自社のカレンダーで計算し直してください。計算に自信がない場合は、栃木労働局の労働基準部賃金室(電話028-634-9109)や、厚生労働省「最低賃金制度」の特設サイトにある確認方法が使えます。
9月30日までに終える逆算スケジュール

発効日が10月1日ということは、実務上の準備は9月中に終える必要があります。賃金規程や雇用契約書の改定、給与計算ソフトの単価変更、シフト表の見直しを、期限から逆算して並べると次のようになります。
| 期限の目安 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 9月上旬 | 対象者の洗い出し(時給1,125円未満の人、月給換算で187,425円前後の人) | 総務・経理 |
| 9月中旬 | 改定後の賃金額を決める。賃金規程・雇用契約書の変更案を作る | 経営者・社労士 |
| 9月下旬 | 従業員への通知、給与計算ソフトの単価変更、10月分シフトの人件費確認 | 総務・経理 |
| 9月30日まで | 業務改善助成金を使う場合は、交付申請と事業場内最低賃金の引き上げを完了 | 経営者 |
| 10月1日 | 新しい最低賃金1,125円が発効 | 全員 |
ポイントは、賃金を「最低賃金ちょうど」に合わせるかどうかです。時給1,068円で働いている人を1,125円に上げると、その人と時給1,100円で働いていたリーダー格の人の差が縮まります。こうした「追い抜き」を放置すると不満が出やすいため、賃金表全体を見直す必要が出てきます。ここで役に立つのが、次の業務改善助成金です。
業務改善助成金は「発効日の前日」までが期限(栃木は9月30日)
業務改善助成金は、事業場内で最も低い時間給(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する国の制度です。厚生労働省は2026年9月1日から令和8年度分の受付を始めました。
令和8年度の申請期間は、「9月1日から、申請事業場の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日まで」と定められています。栃木県の発効日は10月1日なので、栃木県内の事業場の申請期限は9月30日です。賃金の引き上げも発効日の前日までに完了している必要があり、厚生労働省のリーフレットは「発効日当日に引き上げた場合は対象外」と例示しています。
| 項目 | 令和8年度の内容 |
|---|---|
| コース | 事業場内最低賃金の引き上げ額に応じて50円・70円・90円の3コース |
| 助成率 | 引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4 |
| 助成上限額 | 引き上げる労働者数とコースで決まり、最大600万円(90円コース・特例事業者が10人以上を引き上げる場合) |
| 対象経費 | 機械設備の導入、コンサルティングなど生産性向上に資する設備投資等。物価高騰等要件に当たる特例事業者はパソコン等の新規導入も対象になる場合あり |
| 事業完了期限 | 交付決定年度の1月31日(納品・支払い・賃上げのすべて) |
出典は厚生労働省「業務改善助成金」と、同ページの「業務改善助成金のご案内」リーフレット(令和8年度・PDF)です。
栃木県内の事業場で、パート・アルバイトの時給を現行の1,068円付近に置いている場合、引き上げ前の事業場内最低賃金は1,050円以上になるため、助成率は3/4の区分に入るケースが多いはずです。逆に、1,050円未満の時給が残っている事業場は4/5の区分に入り、助成上限額の「10人以上」区分も使える特例事業者になります。対象となる場合がありますが、いずれも要件審査があるため、金額の見込みを「実質いくらで導入できる」という形で社内に出さないでください。
9月30日という期限は、この記事を読んでいる時点で残り数週間です。交付申請には賃金引き上げ計画と設備投資の計画が必要で、交付決定後に実施したものだけが対象になります。間に合うかどうかは、次の生成AIの使い方で判断のスピードを上げられます。
生成AIで進める賃上げ対応の3つの場面

賃上げ対応の作業は、数字を集めて並べる作業と、判断する作業に分かれます。生成AIが効くのは前者です。ここでは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIにそのまま渡せる指示文を3つ用意しました。いずれも、個人名や個人の給与額は「Aさん」「1,070円」のように置き換えてから使ってください。
場面1:影響の試算表を作る
栃木県の最低賃金が2026年10月1日に1,068円から1,125円へ上がります。次の一覧は、当社のパート・アルバイトの現在の時給と月の所定労働時間です(個人名は記号に置き換えています)。各人について、10月1日以降に1,125円に引き上げた場合の月額の増加分と、全員分の合計を表にしてください。時給が1,125円以上の人は「対象外」と表示してください。計算式も併記してください。
A:1,068円・80時間/B:1,100円・120時間/C:1,150円・60時間
場面2:従業員向けの改定通知の文案を作る
栃木県の最低賃金改定(2026年10月1日から1,125円)に合わせて、当社のパート・アルバイト全員に配る「時給改定のお知らせ」の文案を作ってください。改定日、新しい時給の決め方(最低賃金以上であること)、10月分の給与から反映されること、質問先が総務であることを含めてください。丁寧で分かりやすい日本語で、300字以内でお願いします。金額は「別紙のとおり」とし、文中には書かないでください。
場面3:業務改善助成金の事業計画のたたき台を作る
当社は栃木県内の食品製造業で従業員12名、うちパート5名の事業場内最低賃金は1,070円です。業務改善助成金の70円コースで申請することを検討しています。厚生労働省の交付申請に必要な「賃金引上げ計画」と「設備投資等の計画」の項目を整理し、生産性向上の根拠として書けそうな内容の候補を、包装工程の自動計量機の導入を例に箇条書きで出してください。助成率や上限額は書かず、「要件は労働局で確認」と注記してください。
3つとも、出てきたものは下書きです。試算表は給与計算ソフトの数字と突き合わせ、通知文は社会保険労務士か労働局に確認し、事業計画は自社の設備の見積書に置き換えてから使ってください。事業計画のたたき台を作る場面では、「補助金の事業計画書を生成AIで書く手順」で整理した、数字の出所を先に固める進め方がそのまま使えます。
入力してはいけない情報と、人が決めること
生成AIに渡してはいけないのは、従業員の氏名、住所、生年月日、個人ごとの給与明細、マイナンバー、健康に関する情報です。試算表を作る場面でも、記号に置き換えた時給と時間数だけを渡せば十分です。社内での線引きがまだ無い場合は「生成AIガイドラインの作り方」の入力区分表を使ってください。
人が決めることも明確です。いくらに上げるか、賃金表全体をどう直すか、就業規則と賃金規程をどう改定するか、労働局に何を申請するかは、経営者と社会保険労務士の仕事です。生成AIは、その判断に使う材料を短時間でそろえる道具として使います。総務・経理の日常業務でどこまで任せられるかは「総務・経理の業務で生成AIが使える場面」も参考になります。
業種別に見る影響と対応の入口
栃木県は自動車・医療機器などの製造業、いちごを中心とした農業、日光・那須の観光業が大きな柱です。最低賃金の引き上げは、パート・アルバイトの比率が高い業種ほど人件費への影響が直接的です。
- 食品製造・部品加工:ライン作業のパート比率が高い事業場では、時給改定と同時に工程の見直しが必要です。業務改善助成金の対象経費に当たる設備(自動計量機、検査機器など)を、生産性向上の根拠とセットで計画すると申請につながります
- 観光・宿泊・飲食:繁忙期のアルバイトを多く抱える事業者は、10月以降のシフトの人件費を先に試算してください。予約対応や案内文の作成に生成AIを使って、1人あたりの作業時間を減らす方向が現実的です
- 農業(いちご農園など):収穫・パック詰めの臨時雇用も最低賃金の対象です。作業記録や出荷の帳票づくりに生成AIを使う入口は「いちご農業のスマート農業とAI」にまとめています
- 小売・卸売:県内で最も事業所数が多い産業です。レジ・品出しの人員配置と、値札・POPの作成時間をどう減らすかが論点になります
いずれの業種でも、国の支援制度は年度ごとに要件が変わります。現行制度の全体像は「栃木県の中小企業向けAI導入補助金・支援制度まとめ」を参照してください。業務改善助成金そのものの申請手順を詳しく知りたい方は、姉妹サイトの「業務改善助成金とは|最大600万円・助成率4/5の活用ガイド(令和8年度)」が参考になります。
県内で相談できる先
- 栃木労働局 労働基準部 賃金室(電話028-634-9109):最低賃金の適用範囲、特定最低賃金との関係、月給の換算方法の確認先です。改定の告知ページは栃木労働局のお知らせにあります
- 業務改善助成金コールセンター:申請の要件や様式の確認は、厚生労働省の業務改善助成金のページに記載のコールセンターへ。交付申請の提出先は栃木労働局の雇用環境・均等室です
- 社会保険労務士:賃金規程・就業規則の改定と、賃金表全体の見直しは社労士の領域です。生成AIで作った試算表と通知文の下書きを持ち込むと、確認の時間を短くできます
- とちぎビジネスAIセンター:生産性向上の設備やAI導入の相談窓口です。使い方は「とちぎビジネスAIセンターの使い方」にまとめています
よくある質問
栃木県の最低賃金はいつから1,125円になりますか。
2026年(令和8年)10月1日からです。9月30日までは現行の1,068円が適用されます。栃木労働局が2026年9月1日に公表しました。
月給制の正社員にも最低賃金は関係ありますか。
関係あります。月給を1か月の平均所定労働時間で割った時間額が1,125円以上である必要があります。通勤手当や割増賃金は計算に含めません。
特定最低賃金の対象業種なら、1,125円より低くてもよいですか。
栃木労働局によると、塗料製造業を除く栃木県特定最低賃金は改定後の地域別最低賃金を下回るため、10月1日以降は当面の間、該当業種でも1,125円が適用されます。
業務改善助成金はいつまでに申請すればよいですか。
令和8年度の申請期間は、地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日までです。栃木県は発効日が10月1日なので、9月30日までです。賃金の引き上げも発効日の前日までに完了している必要があります。
時給を1,125円ちょうどにすれば問題ありませんか。
法令上はそれで最低賃金を満たしますが、既に1,100円前後で働いている人との差が縮まり、賃金表全体の見直しが必要になることが多いです。生成AIで影響の試算表を作り、社労士と相談して決めるのが現実的です。
生成AIに給与データを入力しても大丈夫ですか。
個人名や個人ごとの給与額はそのまま入力しないでください。記号に置き換えた時給と労働時間だけを渡せば、試算表は作れます。
まとめ
栃木県の最低賃金は2026年10月1日から1,125円になり、現行の1,068円から57円上がります。発効日が全国でも早いグループに入るため、賃金改定の準備は9月中に終える必要があり、業務改善助成金を使うなら申請と賃上げの両方を9月30日までに完了しなければなりません。
生成AIの居場所は、影響の試算表、改定通知の文案、事業計画のたたき台までです。いくらに上げるか、就業規則をどう直すか、労働局に何を申請するかは人が決めます。まず今日、時給1,125円未満の人と、月給換算で187,425円前後の人の一覧を作ることから始めてください。そこから先は、この記事のスケジュール表のとおりに進められます。
出典・参考
- 栃木労働局「令和8年10月1日から栃木県最低賃金が1,125円に改定されます!」(2026年9月1日)
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(PDF)
- 厚生労働省「業務改善助成金」(令和8年度の受付開始のお知らせ・2026年9月1日)
- 厚生労働省「業務改善助成金のご案内」(令和8年度リーフレット・PDF)
- 厚生労働省「最低賃金制度」特設サイト(最低賃金以上かどうかを確認する方法)
- 栃木労働局「最低賃金・家内労働関係」
本記事で確認できていない事項
- 栃木県特定最低賃金の各業種の改定額と改定時期。2026年9月4日時点で、栃木労働局は「塗料製造業を除き地域別最低賃金を下回る」とだけ案内しています
- 発効日は答申公示後の異議申出の状況により変更される可能性があると厚生労働省の資料に注記されています。最終的な官報公示は栃木労働局の案内で確認してください
- 月給換算の例(187,425円)は1日8時間・年間所定労働日数250日という仮定で計算したもので、事業場ごとの所定労働時間で計算し直す必要があります