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栃木の賃上げ支援金と助成金の早見表|5%と3%で何が変わるか

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栃木の賃上げ支援金と助成金の早見表|5%と3%で何が変わるか

この記事の要点

栃木県内の中小企業が2026年度に賃上げをするとき、県と国で使える制度は3つあり、入口になる賃上げ率がそれぞれ違います。県の「とちぎ賃上げ加速・定着支援金」は令和8年3月31日時点の直近支給額から5%以上の賃上げと男女間格差是正の取組が条件で、従業員1人あたり55,000円、20人分の110万円が上限です。国の「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」は有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定した場合に、中小企業で1人あたり4万円から7万円です。県の「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金」は事業場内最低賃金の50円以上の引上げを条件に設備投資の2分の1、最大200万円を補助します。この記事では、賃上げ率ごとに自社の人件費がいくら増え、支給額がいくらになるかを計算表にし、栃木の窓口と、生成AIで下書きしてよい書類を整理します。いずれも対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

3つの制度を1枚で見る|入口の賃上げ率が違う

県の支援金は5%、国の助成金は3%

制度を選ぶときに最初に見るのは、対象になる賃上げ率の下限です。令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金は、令和8年4月1日以降に従業員1名につき令和8年3月31日までの直近支給額と比較して5%以上賃金を引き上げることが要件です(栃木県「【申請受付中】令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金」(2026年5月12日更新))。一方、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主が対象です(厚生労働省「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)のご案内(リーフレット)」)。

とちぎ賃上げ加速・定着支援金、キャリアアップ助成金、とちぎ賃上げ環境整備促進補助金の3つの箱と、それぞれの右に置いた入口の賃上げ率のタグを示した図
県の支援金は5%以上、国の助成金は3%以上、県の補助金は事業場内最低賃金の50円以上引上げが入口

同じ「賃上げ」でも、県の支援金は正規・非正規を問わず栃木県内で週所定労働時間20時間以上の従業員が対象で、国の助成金は非正規雇用労働者の賃金規定等の改定が対象という違いがあります。正社員だけを5%上げても国の賃金規定等改定コースは使えず、パートの賃金表だけを3%上げても県の支援金の1人55,000円は正社員分には出ません。

3制度の比較

制度 実施主体 入口の賃上げ率 対象者 支給・補助額 申請期限
とちぎ賃上げ加速・定着支援金 栃木県 5%以上 県内の週所定労働時間20時間以上の従業員(正規・非正規) 1人55,000円・上限20人・1事業者110万円 令和9年1月20日(先着順)
キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース) 厚生労働省・栃木労働局 3%以上 有期雇用労働者等 1人4万円から7万円(中小企業)・1年度1事業所100人まで 改定後6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月間
とちぎ賃上げ環境整備促進補助金 栃木県 事業場内最低賃金を50円以上引上げ 県内に事業所を有する中小企業者等 設備投資等の2分の1・最大200万円 令和8年12月21日(先着順)

表の数字は栃木県「令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金」、厚生労働省「賃金規定等改定コースのご案内」、栃木県「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金」(2026年9月15日更新)の記載をそのまま並べたものです。県の2制度はいずれも先着順で、予算額に達した場合は申請受付期間中でも受付を終了します。

とちぎ賃上げ加速・定着支援金|5%以上と男女間格差是正の2つの条件

支給額と上限

令和8年度の支給額は従業員1人あたり55,000円で、専用サイトは前年度比5,000円増と案内しています。対象労働者は上限20人、事業者あたりの上限は110万円です。対象労働者は栃木県内における週所定労働時間20時間以上の従業員で、原則として雇用保険被保険者であれば正規・非正規を問いません(栃木県「令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金」専用サイト)。

賃上げが5%以上と男女間格差是正の2つの門を順に通り、1人55,000円の箱に至る図
5%以上の賃上げと男女間格差是正の取組の2つの門を通って、1人55,000円の支給に至る

申請受付期間は令和8年5月12日から令和9年1月20日までで、支援金専用ホームページからのインターネット申請または郵送で受け付けます。事務局は県が設置し、電話は028-666-7111です(栃木県「令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金」)。

男女間格差是正の4つの取組

この支援金は、賃上げだけでは支給されません。企業内の男女間格差の是正に向けた取組を、次の4分野のいずれかで行うことが要件です。

  • 女性管理職比率の改善
  • 非正規の正規化
  • 法令を超える短時間勤務制度の導入・拡充
  • 女性活躍推進法にもとづく男女賃金差異等の情報公表

4つ目の情報公表は、女性活躍推進法にもとづく4項目以上の情報公開が求められます(栃木県「令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金」専用サイト)。どの分野を選ぶかで用意する書類が変わるので、賃上げの決定と同時に、自社で一番早く形にできる取組を1つ決めておきます。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)|3%以上で1人4万円から

賃上げ率の区分と助成額

賃金規定等改定コースの1人あたりの助成額は、賃金引上げ率が3%以上4%未満で4万円、4%以上5%未満で5万円、5%以上6%未満で6.5万円、6%以上で7万円です(中小企業の場合)。大企業はそれぞれ2.6万円、3.3万円、4.3万円、4.6万円です。1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は100人です(厚生労働省「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)のご案内(リーフレット)」)。

3%以上、4%以上、5%以上、6%以上の4段の階段と、各段の上に置いた4万円、5万円、6.5万円、7万円のタグを示した図
賃上げ率が3%、4%、5%、6%と上がるごとに1人あたりの助成額が4万円から7万円へ上がる

リーフレットには、中小企業がA部門で働くパートタイマー20人の基本給を6%以上引き上げた場合に、70,000円×20人で140万円が支給される例が載っています。令和8年4月8日付のキャリアアップ助成金の案内では、職務評価の手法の活用により増額改定を実施した場合と、有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けた場合に、それぞれ1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます(厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)(リーフレット)」(令和8年4月8日))。

受給条件は3つ

受給条件は次の3つで、すべてに当てはまる必要があります。

  1. 賃金規定等を増額改定する前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、最寄りの労働局へ提出していること
  2. 有期雇用労働者等の基本給を賃金規定等に定めていること
  3. 賃金規定等を3%以上増額改定し、改定後の規定にもとづき6か月分の賃金を支給していること

賃金規定等とは、就業規則や労働協約において賃金額の定めがあるもので、賃金規定のほか賃金テーブルや賃金一覧表も増額改定の対象とみなされます。既存の賃金規定等を改定する場合は、対象労働者が位置づけられていない等級も含めて全て増額改定していることが必要です。支給申請は6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月間です(厚生労働省「賃金規定等改定コースのご案内」)。

順番を間違えやすいのは1番です。先に賃金表を上げてしまい、後からキャリアアップ計画を出しても対象になりません。栃木県内の事業所であれば、計画の提出先は栃木労働局です。相談内容から窓口を探すページでは、助成金に関する相談は労働局の職業安定課・職業対策課と整理されています(栃木労働局「相談内容から窓口をさがす」)。

賃上げ率の計算表|5%と3%で人件費と支給額はいくら変わるか

月給の場合

県の支援金は「令和8年3月31日までの直近支給額と比較して5%以上」なので、比べる基準は一人ひとりの3月時点の支給額です。次の表は、この記事で置いた計算例で、賃上げ後の金額は基準額に率を掛けて算出したものです。制度の支給額は上の節の出典の値をそのまま使っています。

月給200,000円から5%の引上げで年間増加額120,000円に至る左の流れと、右に置いた県の支援金55,000円を対比した図
月給200,000円の5%賃上げは年間120,000円の増加、県の支援金は1回限りの55,000円
3月31日時点の月給 3%の引上げ額 5%の引上げ額 5%賃上げの年間増加額(12か月) 県の支援金(1人)
200,000円 6,000円 10,000円 120,000円 55,000円
220,000円 6,600円 11,000円 132,000円 55,000円
250,000円 7,500円 12,500円 150,000円 55,000円
300,000円 9,000円 15,000円 180,000円 55,000円

支援金は1回限りの55,000円で、賃上げは翌年以降も続きます。月給200,000円の人を5%上げると、初年度だけで120,000円の人件費増に対して支援金が55,000円という関係です。支援金で賃上げの原資をまかなうのではなく、決めた賃上げに対して申請が間に合うかを見る、という順番で使います。

時給の場合(有期雇用労働者等の賃金表)

国の賃金規定等改定コースは、パートやアルバイトの賃金表そのものを3%以上上げるものです。リーフレットには、等級1の改定前時給1,110円を1,150円に、等級10の1,290円を1,330円にする賃金一覧表の例が載っています(厚生労働省「賃金規定等改定コースのご案内」)。次の表は、この記事で置いた計算例です。

改定前の時給 3%(4万円の区分) 4%(5万円の区分) 5%(6.5万円の区分) 6%(7万円の区分)
1,150円 34.5円 46円 57.5円 69円
1,200円 36円 48円 60円 72円
1,300円 39円 52円 65円 78円

引上げ額に端数が出る場合、助成対象になるのは「3%以上」なので、切り上げて表を作ります。時給1,150円なら34.5円ではなく35円以上の引上げにしておくと、率の判定で3%を割る心配がありません。また、賃上げ率が5%以上になると県の支援金の入口にも届くので、パートの賃金表を5%上げる場合は、県の支援金(1人55,000円)と国の助成金(1人6.5万円)の両方の要件を確認する価値があります。併給の可否は制度ごとに要件が異なるため、申請前に県の事務局と栃木労働局のそれぞれに確認してください。

とちぎ賃上げ環境整備促進補助金|賃上げと設備投資を同時に行う会社向け

要件と補助額

とちぎ賃上げ環境整備促進補助金は、県内企業の持続的な賃上げ環境の整備を図るため、生産性向上や労働能率の増進に資する設備投資等とともに賃金の引上げを行う事業者に補助金を支給する制度です。対象者は県内に事業所を有する中小企業者等で、支給要件は、令和7年10月1日以降に事業場内最低賃金を50円以上引き上げていること、賃金引上げ前の事業場内最低賃金が地域別最低賃金より51円以上高く1,500円以下であること、の両方です。補助率は2分の1、補助限度額は最大200万円で、申請期間は令和8年5月18日から令和8年12月21日まで、先着順です(栃木県「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金」(2026年9月15日更新))。

県のページには、2026年10月1日から栃木県最低賃金が改定される予定のため要件の範囲が変更される旨の注記があります。自社の事業場内最低賃金がどの範囲に入るかは、申請前に県の労働政策課(028-623-3536)で確認してください。県のチラシには、この補助金ととちぎ賃上げ加速・定着支援金は併給可能(要件あり)と書かれています(栃木県「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金 チラシ(令和8年度)」)。

対象になる設備の例

補助対象経費は、生産性向上に資する設備投資等と、労働環境改善に資する設備投資等です。県のチラシでは、POSレジシステム導入、リフト付き特殊車両の導入、飲食店での配膳ロボットの導入が生産性向上の具体例、キッズルームの設置、段差のスロープ化、床の防滑加工が労働環境改善の具体例として挙げられています。交付決定日以降の納品・支払いが対象で、交付決定前のものは対象外です(栃木県「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金 チラシ(令和8年度)」)。県内の自動車部品や医療機器の工場で検査工程の省力化設備を入れる計画があるなら、賃上げの時期と発注の時期を交付決定に合わせて組み直す必要があります。

栃木の窓口|県の2制度と国の助成金で相談先が分かれる

県の制度は労働政策課と支援金事務局

とちぎ賃上げ加速・定着支援金は、県が設置した支援金事務局(電話028-666-7111、平日9時から17時)が申請の受付と問い合わせに対応します。とちぎ賃上げ環境整備促進補助金は、栃木県産業労働観光部労働政策課の労働経済・福祉担当(電話028-623-3536、受付9時から17時)が窓口で、事前の相談はメールでも受け付けています(栃木県「とちぎ賃上げ環境整備促進補助金」)。同じ県でも制度ごとに番号が違うので、支援金の質問を補助金の窓口にかけないよう、電話する前に制度名を確認します。

支援金事務局、労働政策課、栃木労働局の3つの箱が中央の賃上げの箱を囲み、それぞれに制度名のタグを付けた図
制度ごとに窓口が違う。支援金は支援金事務局、補助金は労働政策課、助成金は栃木労働局

国の助成金は栃木労働局

キャリアアップ助成金の計画提出と支給申請は、事業所の所在地を管轄する労働局です。栃木県内の事業所なら栃木労働局で、キャリアアップ計画の提出は窓口への持参、郵送、電子申請のいずれでもできます(厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)(リーフレット)」)。労働局の相談窓口は栃木労働局「相談内容から窓口をさがす」で確認できます。研修と組み合わせて賃上げを計画する場合は、人材開発支援助成金で生成AI研修|栃木の窓口と計画届の手順で扱った賃金要件との関係も見ておくと、同じ賃上げを複数の制度の要件に使えるかを整理できます。

申請書類の下書きに生成AIをどこまで使うか

下書きに使ってよいもの

賃上げの申請では、制度の要件そのものは動かせませんが、社内向けの文書は型が決まっているので生成AIの下書きが役に立ちます。

人が決めること、下書きに使ってよいもの、入力してはいけない情報の3層を積んだ図
上から順に、人が決める層・下書きに使う層・入力しない層
  • 従業員向けの賃上げ通知文(改定日、対象者の範囲、新しい賃金表の見方)
  • 賃金一覧表の様式(等級・改定前・改定後の3列を、改定前の金額から率で計算した表)
  • 男女間格差是正の取組を選ぶための社内メモ(4分野それぞれで自社に必要な準備の洗い出し)
  • 設備投資の事業計画書の構成案(目的、導入設備、賃上げとの関係、スケジュール)

賃金一覧表は、改定前の時給を入れて「3%以上になるよう切り上げた改定後の時給を出して」と指示すれば計算の下書きができます。ただし、最終的な表は上の計算表と同じように人が検算し、率の判定が制度の区分どおりになっているかを確認します。総務・経理の文書全般で生成AIを使う場面は総務・経理の生成AI活用7場面|栃木の中小企業にまとめています。

入力してはいけない情報

  • 従業員の氏名と個人別の賃金額(等級と金額だけの匿名の表にする)
  • 雇用保険被保険者番号、マイナンバー、口座情報
  • キャリアアップ計画や交付申請書に書く前の、社外に出ていない賃上げの決定内容

人が決めること

  • 賃上げ率を3%にするか5%にするか
  • 対象者の範囲(正社員も含めるか、有期雇用労働者等の賃金表だけか)
  • 男女間格差是正の4分野のどれを選ぶか
  • 設備投資と賃上げの順番

賃上げは一度決めると戻せません。生成AIは通知文と表の型を作る役に限り、率と対象者の判断は経営者が持ちます。

よくある質問

Q. 正社員だけを5%賃上げした場合、県の支援金は使えますか。

とちぎ賃上げ加速・定着支援金の対象労働者は栃木県内で週所定労働時間20時間以上の従業員で、正規・非正規を問いません。正社員だけの賃上げでも、5%以上の要件と男女間格差是正の取組の要件を満たせば申請できる場合があります。国のキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は有期雇用労働者等の賃金規定等の改定が対象なので、正社員だけの賃上げでは使えません。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

Q. パートの賃金表を上げた後にキャリアアップ計画を出してもよいですか。

賃金規定等を増額改定する前日までにキャリアアップ計画を労働局へ提出していることが受給条件です。改定後に提出した計画では対象になりません。改定日の前に提出を済ませてください。

Q. 県の支援金と国の助成金は同時に受けられますか。

制度ごとに要件と対象者が異なり、併給の可否は各制度の要綱・支給要領で判断されます。この記事で確認した公開資料には両制度の併給可否の明記が見当たらなかったため、申請前に支援金事務局と栃木労働局のそれぞれに確認してください。

Q. 支援金の申請はいつまでですか。

令和8年度とちぎ賃上げ加速・定着支援金は令和9年1月20日まで、とちぎ賃上げ環境整備促進補助金は令和8年12月21日までで、どちらも先着順です。予算額に達した場合は期間中でも受付を終了します。

Q. 賃上げの通知文を生成AIで作っても問題ありませんか。

通知文の型を作るのは問題ありません。氏名や個人別の賃金額は入力せず、改定日・対象者の範囲・賃金表の見方だけを書いた下書きを作り、金額は人が入れて検算してください。

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参考・出典

関連記事: 10月の給与で社会保険料が変わる理由|栃木の料率と計算表