この記事の要点
厚生労働省の働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は、令和8年度の交付申請の締切が2026年11月30日(月)17時です。予算の状況によっては、それより前に予告なく締め切られる場合があります(厚生労働省)。
36協定の時間外・休日労働の上限を下げる成果目標は最大150万円、年休の計画的付与と時間単位年休はそれぞれ25万円が上限で、賃上げ加算と割増賃金率加算があります(リーフレット(PDF))。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。
栃木の令和7年の年間所定外労働時間は129時間で、全国の117時間より12時間長く(栃木労働局(PDF))、県の調査の年休取得率は67.4%です(栃木県(PDF))。数字は2026年10月8日に確認しました。
労働時間短縮・年休促進支援コースとは|令和8年度の締切は11月30日
対象になる中小企業
このコースは、生産性を高めながら、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進に取り組む中小企業を支援します。中小企業かどうかは、業種ごとの資本金か労働者数のいずれかで判断します(厚生労働省)。

| 業種 | 資本金 | 常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の事業 | 3億円以下 | 300人以下 |
医療・福祉のうち、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院は、労働者数300人以下が基準です。
交付申請の前に整えておくこと
厚生労働省は、対象事業主の条件として次の4つを挙げています。
- 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
- すべての対象事業場で、年次有給休暇管理簿を作成していること(付与の実績の有無を問わない)
- 常時10人以上の対象事業場は、年休の時季指定の定めを置いた就業規則を作り、交付申請の前に所轄の労働基準監督署へ届け出ていること
- 労働時間等設定改善法と同指針に沿った取組を、事業実施計画に含めること
年休管理簿と就業規則の届出は、申請書を書く前に確かめておく項目です。
申請から支給までの日程
| 段階 | 期限 |
|---|---|
| 交付申請(栃木労働局 雇用環境・均等室へ) | 2026年11月30日(月)17時 |
| 改善事業の実施 | 交付決定後から2027年1月31日(日)まで |
| 支給申請 | 事業実施予定期間が終わった日から30日後か、2027年2月5日(金)のいずれか早い日 |
令和8年度の申請受付は2026年4月13日(月)に始まっています。補助金の電子申請システム「Jグランツ」からも申請できます。
上限額の早見表|成果目標ごとの金額と加算
成果目標①:36協定の時間外・休日労働を減らす
成果目標①は、2026年4月1日から2027年3月31日までの間に有効期間が始まる36協定で、時間外・休日労働の時間数を下げて設定し、所轄の労働基準監督署へ届け出るものです。上限額は、事業実施前と実施後の設定時間数の組み合わせで決まります(リーフレット)。

| 事業実施前の設定時間数 | 実施後:月60時間以下 | 実施後:月60時間を超え月80時間以下 |
|---|---|---|
| 月80時間超 | 150万円 | 50万円 |
| 月60時間を超え月80時間以下 | 100万円 | ―(金額の設定なし) |
成果目標②③:年休の制度を新しく入れる
| 成果目標 | 上限額 |
|---|---|
| ② 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入 | 25万円 |
| ③ 時間単位の年次有給休暇制度と、特別休暇を1つ以上新規導入 | 25万円 |
成果目標は1つ以上を選びます。①と②のように組み合わせることもできます。
賃上げ加算
成果目標の達成に加えて、1時間当たりの賃金を引き上げると、上限額に次の金額が加算されます。表は常時使用する労働者が30人を超える事業主の場合で、人数は賃金を引き上げる労働者の数です。
| 引上げ率 | 1〜3人 | 4〜6人 | 7〜10人 | 11〜30人 |
|---|---|---|---|---|
| 3%以上 | 6万円 | 12万円 | 20万円 | 1人当たり2万円(上限60万円) |
| 5%以上 | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円(上限240万円) |
| 7%以上 | 36万円 | 72万円 | 120万円 | 1人当たり12万円(上限360万円) |
常時使用する労働者が10人以上30人以下の事業主は、5%以上と7%以上の引上げで、上の表の2倍の上限額が加算されます。10人未満の事業主は2.5倍です。
割増賃金率加算と、助成額の決まり方
月60時間以内の時間外労働に係る所定の割増賃金率を5%以上引き上げると25万円が加算されます。月45時間を超え60時間以内の時間外労働の割増賃金率を5割以上にし、かつ、交付申請後から事業実施予定期間の終わりまでのいずれか1か月の時間外労働を、交付申請日の属する月と比べて労働者1人あたり10時間以上削減すると75万円が加算されます。
助成額は、選んだ成果目標の上限額に加算額を足した金額と、対象経費の合計に補助率4分の3を掛けた金額の、いずれか低い金額です。常時使用する労働者が30人以下で、労務管理用ソフトウェアなどの導入(改善事業の⑥)か、労働能率の増進に資する設備・機器の導入(⑦)を行い、その所要額が30万円を超える場合は、補助率が5分の4になります。
栃木の数字で見る|残業は全国より長く、年休取得率は67.4%
年間の労働時間は全国より45時間長い
栃木労働局が毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上)をもとにまとめた「労働時間の現状」によると、令和7年の県内労働者1人平均の年間総実労働時間は1,666時間で、前年より7時間減りました。全国は1,621時間で、栃木は全国より45時間長く、前年の差の30時間から15時間広がっています。

| 項目(令和7年・年間) | 栃木県 | 全国 | 栃木と全国の差 |
|---|---|---|---|
| 総実労働時間 | 1,666時間 | 1,621時間 | 45時間 |
| 所定内労働時間 | 1,537時間 | 1,504時間 | 33時間 |
| 所定外労働時間 | 129時間 | 117時間 | 12時間 |
所定外労働時間は前年より5時間増え、全国との差は前年の4時間から8時間広がりました。県内の数字の推移は栃木の賃金・労働時間データの読み方でも詳しく扱っています。
年休の取得率は67.4%
栃木県の令和7(2025)年 労働環境等調査では、労働者が取得した年次有給休暇は平均11.6日、取得率は67.4%でした。調査対象は2,000事業所で、回答した809事業所のうち、常用労働者が10人未満の事業所などを除いた714事業所を集計しています。回答した事業所の数字なので、県内のすべての会社の平均とは限らない点を前提に読みます。
県の数字から考える成果目標の選び方
統計の数字は県内の平均です。自社の36協定と年休の実績を並べてから、どの成果目標に当てはまるかを決めます。
| 自社の状況 | 当てはまりやすい成果目標 | 栃木での例 |
|---|---|---|
| 36協定の時間外・休日労働の上限が月60時間を超えている | ① 36協定の時間数を下げる | 自動車部品や医療機器の工場で、繁忙期に合わせて上限を高く設定している |
| 年休の取得が特定の人や時期に偏っている | ② 計画的付与制度 | 店舗や事務所で、休みを取る日を前もって決めにくい |
| 半日・数時間だけ休みたいという声がある | ③ 時間単位年休と特別休暇 | 日光・那須の宿泊施設や介護の現場で、通院や子どもの行事に合わせて休みたい |
所定外労働時間が全国より長い県内では、①を軸に、②か③を組み合わせる会社が考えられます。どの組み合わせが自社に合うかは、後で紹介する栃木働き方改革推進支援センターに相談できます。
助成の対象になる取組|勤怠管理ソフトや研修、就業規則の整備
対象になる9つの取組
成果目標を達成するために行う「改善事業」として、厚生労働省は次の取組を挙げています。1つ以上を実施します。

- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の整備
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェア等の導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 上の3つに当たらない、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
研修には、勤務間インターバル制度に関するものと業務研修も含まれます。勤務間インターバルを新しく入れる取組は、別の「勤務間インターバル導入コース」もあります。
対象になりにくいもの
乗用車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は、原則として対象外です。始業・終業の時刻を記録する勤怠管理のソフトウェアや機器、運送業のデジタコは、取組の一覧に入っています。
生成AIのツールの扱い
生成AIのツールの利用料が「労務管理用ソフトウェア等」や「労働能率の増進に資する設備・機器等」に当たるかどうかは、厚生労働省のコースのページとリーフレットに個別の記載がありません(2026年10月時点で公式に確認できていない)。計画に入れたい場合は、交付申請の前に栃木労働局 雇用環境・均等室か、栃木働き方改革推進支援センターに確かめます。
生成AIで準備を進める手順|就業規則の下書きと勤怠データの集計
下書きに使えるもの
生成AIは、申請に必要な書類の下書きと、勤怠データの集計表づくりに使えます。

- 年休の計画的付与の労使協定や、時間単位年休の就業規則の条文の下書き
- 36協定の時間外・休日労働の実績を、月ごとに並べる集計表の作り方
- 労働者に配る、制度の変更を知らせる周知文の下書き
できた下書きは、厚生労働省のモデル規定や社会保険労務士の確認で整えます。条文や協定の中身を決めるのは会社と労働者の代表です。
入力しないもの
従業員の氏名、社員番号、健康の情報、給与明細は生成AIに入力しません。勤怠データを集計に使うときは、氏名の列を消し、「Aさん」「Bさん」のような記号に置き換えてから扱います。36協定や年休管理簿の原本は社内で保管し、AIに渡すのは数字の表だけにします。
集計に使うプロンプトの例
次の表は、当社の部署別・月別の時間外労働と休日労働の合計時間です。
氏名は記号に置き換えてあります。
1. 部署ごとに、月の合計が最も多かった月と時間数を表にしてください
2. 月60時間を超えた月がある部署を挙げてください
3. 計算した数字は、元の表のどの行から出したかを書いてください
(ここに表を貼る)
AIが出した数字は、元の表で人が確かめます。成果目標①を選ぶかどうかは、この集計と現在の36協定を並べて判断します。
栃木の申請窓口と相談先|労働局とセンターの使い分け
申請は栃木労働局 雇用環境・均等室
交付申請書と支給申請書の提出先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。栃木県内の事業主は栃木労働局 雇用環境・均等室に提出します。栃木労働局の「各種助成金関係」のページからも、働き方改革推進支援助成金の案内に進めます。

相談は栃木働き方改革推進支援センター(無料)
栃木働き方改革推進支援センターは、厚生労働省の委託事業として全国社会保険労務士会連合会が運営する相談窓口です。社会保険労務士などの専門家が、中小企業の労務管理の相談に無料で応じ、秘密は守られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 宇都宮市西川田町923-20 リーガルビル2階 |
| 開所時間 | 平日9時〜17時(年末年始を除く) |
| 電話 | 0120-800-590 |
| 相談の方法 | 来所・電話・メールの相談、企業への訪問相談、セミナー |
センターは、残業の減らし方、36協定の作り方、就業規則の見直しの相談を受け付けています。成果目標の選び方や、申請前の年休管理簿と就業規則の整備も、ここで確かめられます。
AIの使い方の相談は「とちぎビジネスAIセンター」
勤怠の集計や書類の下書きに生成AIをどう使うかという相談は、とちぎビジネスAIセンターでも受けられます。助成金の要件は労働局とセンター、AIの使い方はAIセンターと、相談先を分けておくと話が早く進みます。
よくある質問
Q. 11月30日より前に締め切られることはありますか?
A. あります。厚生労働省は、国の予算額に制約があるため、11月30日以前に予告なく受付を締め切る場合があるとしています。交付申請は日程に余裕をもって出します。
Q. 従業員が10人未満の会社でも使えますか?
A. 労災保険の適用を受ける中小企業で、すべての対象事業場で年休管理簿を作っていれば対象になり得ます。就業規則の届出の条件は常時10人以上の事業場が対象です。賃上げ加算は、10人未満の事業主の場合、5%以上と7%以上の引上げで2.5倍の上限額が加算されます。
Q. パソコンやタブレットは助成の対象になりますか?
A. 乗用車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は、原則として対象外です。勤怠管理のソフトウェアや機器、デジタコの導入・更新は、対象になる取組の一覧に入っています。
Q. 生成AIのツールの利用料は対象になりますか?
A. 厚生労働省のコースのページとリーフレットには、生成AIのツールについての個別の記載がありません。交付申請の前に、栃木労働局 雇用環境・均等室か栃木働き方改革推進支援センターに確かめます。
Q. 申請すれば必ず助成されますか?
A. 助成額は成果目標の達成状況に応じて決まり、交付申請は審査されます。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。
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参考・出典
金額・期限・数字は2026年10月8日に、次の公表資料で確認しました。
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
- 厚生労働省「令和8年度 働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」(PDF・2026年4月)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」
- 栃木労働局 労働基準部監督課「労働時間の現状(令和8年5月)」(PDF)
- 栃木県 産業労働観光部労働政策課「令和7(2025)年 労働環境等調査結果」(PDF・令和8年3月)
- 栃木労働局「各種助成金関係」
- 厚生労働省 働き方改革特設サイト「栃木働き方改革推進支援センター」
- 「Jグランツ」(補助金の電子申請システム)
- とちぎビジネスAIセンター