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10月は年次有給休暇取得促進期間|栃木の年休を生成AIで整える

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10月は年次有給休暇取得促進期間|栃木の年休を生成AIで整える

厚生労働省は毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけ、年休を取得しやすい環境づくりを事業主に呼びかけています。栃木県が県内の事業所を対象に実施した労働環境等調査では、年休の取得率は67.4%、そのうち正社員は63.2%で、非正規社員の74.3%より低いという結果が出ています。この記事では県の調査の数字を起点に、10月のうちに手をつけられる制度設計と、その過程で出てくる社内文書のどこまでを生成AIに任せてよいかを整理します。結論から言うと、任せてよいのは「文書の下書きと計算の整形」までで、労使協定の内容と取得日の決定は人が持ちます。

この記事の要点

  • 厚生労働省は毎年10月を年次有給休暇取得促進期間とし、計画的付与制度と時間単位年休の活用を呼びかけている。対象は正社員・パート・シフト制の区分に関係なく、法律の要件を満たすすべての労働者。
  • 栃木県の年休取得率は67.4%(一人当たり平均付与16.9日・平均取得11.6日)。正社員63.2%、非正規社員74.3%で、正社員のほうが低い。
  • 県内では非正規社員の年休について就業規則に規定がある事業所が90.6%。建設業は73.0%、10〜29人規模は79.4%と低い。
  • 週60時間以上の労働者がいる事業所は県全体で10.7%。情報通信業22.2%、運輸業・郵便業20.0%、建設業19.1%、製造業17.0%と業種差が大きい。
  • 生成AIに渡してよいのは制度の条文と自社の集計値。社員個人の取得日数・病名・家庭の事情は入力しない。

10月は年次有給休暇取得促進期間|厚生労働省が呼びかけていること

期間の位置づけ

厚生労働省は10月を年次有給休暇取得促進期間として、集中的な周知を行っています。年休を取得しやすい環境づくりに取り組むよう事業主に呼びかける期間で、法改正の施行日ではありません。つまり10月1日に新しい義務が始まるわけではなく、「年度の後半に入る前に、年休の残日数と取得計画を見直す区切り」として設定されている期間です。

10月の年次有給休暇取得促進期間で挙げられている計画的付与制度と時間単位の年休、対象となる正社員・パートタイム労働者・シフト制労働者を放射状に並べた図
取得促進期間に挙げられている制度と、対象になる働き方

この期間に厚生労働省が挙げている具体策は主に2つで、計画的付与制度と時間単位の年休です。どちらも労使協定が前提になるため、10月に思い立って即日導入できるものではありません。だからこそ、10月のうちに協定案を作り始める意味があります。

対象は雇用形態を問わない

年次有給休暇は、正社員・パートタイム労働者・シフト制労働者などの区分に関係なく、法律の要件を満たしたすべての労働者に付与されます。「パートには年休がない」という誤解は現場にまだ残っていますが、要件を満たせば付与されます。

シフト制で働く人については、シフトが確定していない日に年休を取得したい場合の扱いが実務で問題になりやすい領域です。厚生労働省もシフト制労働者向けの情報を別に出しています。就業規則にシフト制の年休の扱いを書いていない事業所は、ここが10月の宿題になります。

栃木県の年休取得率は67.4%|付与16.9日・取得11.6日

県の調査で分かっていること

栃木県産業労働観光部労働政策課の令和7(2025)年 労働環境等調査結果によると、令和6(2024)年の1年間に付与された年次有給休暇(繰越分を除く)は一人当たり平均16.9日、そのうち労働者が取得した日数は平均11.6日で、取得率は67.4%でした。前回調査の67.0%からわずかに上がっています。

栃木県の年次有給休暇が一人当たり平均付与16.9日・平均取得11.6日・取得率67.4%であることを示した図
栃木県の年次有給休暇の付与と取得(令和6年の1年間)

この調査は、県内の常用労働者10名以上の民営事業所2,000件を対象に、令和7年9月30日を基準日として同年10月に実施されたものです。有効回答は714事業所(有効回答率35.7%)で、令和8年3月にまとめられています。県が自分の県内の事業所に聞いた数字なので、全国平均より自社の実感に近いはずです。

残りの5.3日はどこに消えているか

付与16.9日に対して取得11.6日なので、平均で5.3日が使われずに残っています。繰越が使えるとはいえ、2年で時効になる分は消えます。

10月にやる作業は、この「残っている日数」を人ごとに出すことです。付与日が入社日基準の事業所だと人によって付与日がばらつくため、残日数の一覧を手で作ると時間がかかります。ここは後述のとおり、集計表の整形を生成AIに任せられる場所です。

正社員63.2%・非正規74.3%のねじれをどう読むか

数字の並び

同じ調査の内訳が、直感と逆になっています。

栃木県の年次有給休暇が全体で16.9日・11.6日・67.4%、正社員で18.8日・12.1日・63.2%、非正規社員で14.5日・10.9日・74.3%であることを三段で示した図
雇用形態別の付与日数・取得日数・取得率
区分 一人当たり平均付与日数 一人当たり平均取得日数 取得率
全体 16.9日 11.6日 67.4%
正社員 18.8日 12.1日 63.2%
非正規社員 14.5日 10.9日 74.3%

正社員は付与も取得も非正規社員より多いのに、取得率は11.1ポイント低い。分母である付与日数が大きいので、取得日数が多くても率では負けるという構造です。

率だけを目標にすると判断を誤る

取得率を上げたいという話になると、「非正規のほうが高いから正社員に取らせよう」という結論になりがちです。ただし正社員の付与18.8日に対して取得12.1日ですから、率を非正規と同じ74.3%まで上げるには一人あたり年14日程度の取得が必要になります。実務としては、率ではなく「取得日数の下限」を先に決めるほうが動かしやすい指標です。

年10日以上の年休が付与される労働者については、そのうち5日について使用者が時季を指定して取得させる義務があります(労働基準法39条7項・2019年4月施行)。厚生労働省の年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説に要件がまとまっています。まずこの5日が全員クリアできているかを確認し、そのうえで自社の下限を6日・8日と上げていく順番です。

非正規社員は規定そのものが抜けている場合がある

同じ調査では、年次有給休暇について就業規則に規定がある事業所の割合は、正社員について97.9%、非正規社員について90.6%でした。正社員はほぼ全ての事業所が規定していますが、非正規社員は10件に1件が規定していません。

取得率を上げる前に、規定があるかどうかを確認してください。規定がない状態で運用していると、取得の可否が担当者の判断になり、後から不利益取扱いの争点になります。

県内業種の差|建設業73.0%・情報通信業22.2%という2つの数字

非正規社員の規定は業種で30ポイント近く開く

栃木県の調査で、非正規社員の年休について就業規則に規定がある事業所の割合を業種別に見ると、差が大きく出ます。

栃木県で非正規社員の年休の規定がある事業所が金融業100.0%から学術研究70.0%まで開き、週60時間以上の労働者がいた事業所が情報通信業22.2%から製造業17.0%であることを左右に並べた図
県内の業種で差が出る2つの数字
業種 非正規社員について年休の規定がある事業所
金融業,保険業 100.0%
医療,福祉 97.7%
卸売業,小売業 93.8%
製造業 90.9%
宿泊業,飲食サービス業 88.9%
不動産業,物品賃貸業 75.0%
建設業 73.0%
学術研究,専門・技術サービス業 70.0%

建設業は73.0%で、正社員の98.5%との差が25.5ポイントあります。企業規模別では、非正規社員について規定がある事業所は10〜29人で79.4%、30〜99人で92.3%、100〜299人で98.3%でした。小さい事業所ほど規定が抜けやすい、という県内の実態です。

長時間労働は情報通信・運輸・建設・製造に偏る

もう1つの数字が、週労働時間の状況です。県の調査では、令和7年9月給与締め日前1週間で実際に週労働時間40時間以上の労働者がいた事業所のうち、週60時間以上の労働者がいた事業所は県全体で10.7%(前回12.0%)でした。業種別では次のとおりです。

業種 週60時間以上の労働者がいた事業所
情報通信業 22.2%
運輸業,郵便業 20.0%
建設業 19.1%
製造業 17.0%
金融業,保険業 15.4%
生活関連サービス業,娯楽業 10.5%
教育,学習支援業 7.4%
卸売業,小売業 7.1%
医療,福祉 4.7%
宿泊業,飲食サービス業 4.3%

企業規模別では300人以上が18.1%と最も高く、10〜29人は4.9%でした。週40時間以上の労働者のうち週60時間以上の労働者が占める割合は3.0%で、その内訳は正社員78.1%・非正規社員21.9%です。

栃木県は自動車関連と医療機器の製造集積があり、県北・県南に物流の拠点も多い地域です。上の表で上位に来ている業種は、そのまま県内の主要業種と重なります。年休の取得を進めるときは、この業種では「休ませる日を決める」前に「その日の仕事を誰が持つか」を決めないと機能しません。

取組は96.1%が実施しているが中身が「把握」に寄っている

同じ調査で、労働時間等の見直しのための取組を実施していると回答した事業所は96.1%でした。取組の内容で最も多いのは「実労働時間の把握」が79.8%、次いで「年次休暇の取得促進」75.5%、「長時間労働者への注意、助言」55.2%です。

ほとんどの事業所が何かはやっている。ただし一番多いのが「把握」なので、測ってはいるが配り直すところまで届いていない事業所が相当あると読めます。県内の書類仕事そのものを減らす観点は小規模事業者向け生成AIで一人でも回る5つの型と総務・経理の生成AI活用7場面で扱っています。

計画的付与と時間単位年休|労使協定で決めること

計画的付与は5日を残して割り振る

計画的付与制度は、労働者に与えた年休の日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定で計画的に取得日を割り振れる仕組みです。付与日数が18日の人なら、13日までを協定で割り振れます。5日は労働者が自由に使える分として必ず残します。

計画的付与と時間単位年休について労使協定で決める項目を、割り振る日数・残す5日・対象者・1日分に相当する時間数・年5日の範囲内として放射状に並べた図
労使協定で決める項目

割り振り方は主に3つです。

  1. 事業所全体を一斉に休みにする(一斉付与方式)
  2. 班やグループごとに交替で休む(交替制付与方式)
  3. 個人ごとに計画表を作る(個人別付与方式)

先に見た業種の数字を踏まえると、情報通信業・運輸業・建設業・製造業では一斉付与が組みにくい場面が多いはずです。その場合は交替制か個人別に寄せます。

時間単位年休は年5日の範囲内

時間単位の年休は、労使協定を結べば年5日の範囲内で時間単位での取得ができる仕組みです。1日単位では取りにくい通院や家族の用事を吸収できます。

導入時に協定で決めるのは、時間単位年休の対象者、日数(年5日以内)、1日分に相当する時間数、1時間以外の単位で与える場合はその時間数です。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、残時間の計算が合わなくなります。

年5日の時季指定義務との関係

計画的付与で割り振った日は、年5日の時季指定義務の日数に充当できます。つまり計画的付与を5日分入れておけば、時季指定義務の対応はその時点で満たされる設計になります。

逆に、計画的付与を入れていない事業所は、年度末に近づいてから「あと何日足りない人がいるか」を人ごとに数える作業が発生します。10月に手をつける価値があるのはこの点です。

年休の社内文書を生成AIで整える|任せる範囲と入れない情報

下書きを任せてよい文書

10月から年度末までに出てくる文書のうち、生成AIに下書きを任せられるものは限られています。

年休の社内文書のうち生成AIに任せてよい下書き・骨子・整形と、人が持つべき労使協定の決定・取得日の決定・取得理由の情報を左右に分けた図
生成AIに任せる範囲と、人が持つ範囲
任せてよい 人が持つ
年休取得を呼びかける社内通知の下書き 労使協定の内容の決定
計画的付与制度の説明資料の骨子 誰がいつ休むかの決定
従業員向けQ&Aの素案 就業規則の条文の最終確認
残日数一覧表の見出しと並べ替えの整形 個人の取得日数の突き合わせ
労使協定の様式に沿った項目の抜け漏れチェックリスト 労働基準監督署への届出の判断

就業規則の条文そのものを生成AIの出力のまま使うのは避けてください。年休は条文の書き方で運用が変わるため、最終形は社会保険労務士か、後述の県内の無料相談窓口で確認する領域です。

入力しない情報

次の情報は入力しません。

  • 社員の氏名と、個人別の年休取得日数・残日数の組み合わせ
  • 取得理由として聞いた病名・通院先・家族の事情
  • 人事評価やマイナス評価の記録
  • 労使協定の締結相手(過半数代表者)の個人情報

残日数の計算を手伝ってもらいたい場合は、氏名を「A」「B」のような記号に置き換えたうえで、日数だけを渡します。氏名と日数を一緒に渡す必要はありません。社内で入力してよい情報の線引きは生成AIガイドラインの作り方に整理しています。

そのまま使える指示文の型

計画的付与の社内周知文の下書きを作るときの指示文です。角かっこは自社の内容に置き換えてください。

あなたは中小企業の就業規則と社内通知を整える編集者です。
以下の条件で、従業員向けの社内通知文の下書きを作ってください。

【前提】
- 目的:年次有給休暇の計画的付与制度を来年度から導入する意向を伝える
- 方式:[交替制付与方式/個人別付与方式]
- 割り振る日数:[ 日](5日は本人が自由に使う分として残す)
- 労使協定の締結予定:[ 年 月]

【条件】
- 600字以内、見出しなし、本文のみ
- 制度の根拠として労働基準法の年次有給休暇の規定に触れるが、条文番号は書かない
- 「5日は本人が自由に使える分として残す」ことを必ず本文に入れる
- 取得理由の申告を求める表現を使わない
- 決定済みでない事項を断定しない
- 社名・部署名・個人名は [ ] のまま残す

出てきた文章は、残す5日の記述があるか、取得理由を聞く表現が混ざっていないかを目で確認します。この2点は年休の運用で争点になりやすい箇所です。

10月中に動かす順番と県内の窓口

進める順番

10月のうちに全部を終わらせる必要はありません。順番だけ決めておけば十分です。

10月に進める順番を、就業規則の規定の確認から説明の場の設定まで7段の階段で示した図
10月に進める順番
  1. 就業規則に年休の規定があるかを、正社員と非正規社員の両方について確認する
  2. 年10日以上付与される人について、年5日の取得状況を人ごとに確認する
  3. 残日数の一覧を作る(氏名は記号化して集計を整形する)
  4. 計画的付与を入れるか、時間単位年休を入れるかを決める
  5. 労使協定の項目を書き出し、抜けがないかを確認する
  6. 従業員向けの周知文を用意する
  7. 協定の締結相手を決め、説明の場を設定する

3と6が生成AIを使う場所です。1・2・4・5・7は人の仕事です。

県内で相談できる窓口

厚生労働省の委託事業として全国社会保険労務士会連合会が設置している栃木働き方改革推進支援センターは、労務管理の専門家が無料で個別相談に応じます。電話は0120-800-590、平日9時から17時です。時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、職場環境の整備による人材の確保・定着などを扱うため、年休の制度設計もこの窓口の範囲に入ります。

栃木県側では、働き方改革に関する県のページに「いい仕事いい家庭つぎつぎとちぎ宣言」や「とちぎ働きやすい企業」といった宣言・認証の仕組みが載っています。年休の取得を進める取組を外向きに示したい事業所は、こちらも合わせて確認してください。問い合わせは県労働政策課(電話028-623-3536)です。

生成AIの導入そのものについては、栃木県産業振興センターが運営するとちぎビジネスAIセンターが相談先になります。労務の相談とAIの相談を別の窓口に分けて持ち込むと、それぞれ話が早く進みます。

よくある質問

Q. 10月1日から何か新しい義務が始まるのですか。

年次有給休暇取得促進期間は周知のための期間で、法改正の施行日ではありません。10月1日に年休の新しい義務が始まるわけではありません。年度後半に入る前に年休の残日数と取得計画を見直す区切りとして使う期間です。

Q. パートタイムの従業員にも年休を与える必要がありますか。

あります。年次有給休暇は正社員・パートタイム労働者・シフト制労働者などの区分に関係なく、法律の要件を満たしたすべての労働者に付与されます。付与日数は所定労働日数に応じて変わります。

Q. 栃木県の年休取得率67.4%はどの調査の数字ですか。

栃木県産業労働観光部労働政策課の「令和7(2025)年 労働環境等調査結果」です。県内の常用労働者10名以上の民営事業所2,000件を対象に令和7年10月に実施され、有効回答714事業所を集計したものです。令和6(2024)年の1年間の付与・取得状況が対象です。

Q. 計画的付与を入れると、社員が自由に取れる日がなくなりませんか。

なりません。計画的付与で割り振れるのは、付与日数から5日を除いた残りです。5日は本人が自由に使う分として必ず残ります。

Q. 時間単位の年休は何日分まで認められますか。

労使協定を結べば年5日の範囲内で時間単位の取得ができます。協定では対象者、日数、1日分に相当する時間数などを定めます。

Q. 残日数の一覧を生成AIに作らせてもよいですか。

集計表の見出しづけや並べ替えの整形は任せられます。ただし氏名と個人別の取得日数を組み合わせて入力しないでください。氏名を記号に置き換え、日数だけを渡せば整形の目的は達せられます。

Q. 就業規則の条文を生成AIに書かせてもよいですか。

下書きの叩き台までにとどめてください。年休は条文の書き方で運用が変わります。最終形は社会保険労務士か、栃木働き方改革推進支援センターなどの窓口で確認する領域です。

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参考・出典