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【2026年最新】運送業で生成AIが使える6つの書類業務|栃木

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【2026年最新】運送業で生成AIが使える6つの書類業務|栃木

運送業で生成AIを使うなら、最初に引くべき線は「法定の記録は作らせない」です。点呼記録や業務の記録は保存義務のある事実の記録であり、AIが書く対象ではありません。使えるのは安全教育の資料、荷主への連絡文、募集文、日報の要約など、記録の周辺にある文章です。栃木県内の事業者を想定して6場面を整理します。

栃木の運送業で、書類は運行の前後に挟まっている

栃木県は、東北自動車道と北関東自動車道が交わり、国道4号・国道50号が通る位置にあります。県が公表している道路施策の資料によると、県内の工業団地等は令和2(2020)年時点で約100か所が稼働中で、これらの高速交通網の沿線に数多く立地しているとされています。県内総生産額に占める製造業比率は40.0%で全国2位(栃木県企業立地ガイド)。荷物が動く量に対して、それを運ぶ事業者の事務作業も比例して増える構造です。

運転時間は削れないが、事務時間は削れる

厚生労働省の資料では、自動車運転の業務について、令和6(2024)年4月から時間外労働の上限が原則月45時間・年360時間、臨時的特別な事情がある場合でも年960時間とされています。あわせて改善基準告示が令和6年4月1日から適用され、トラック運転者の拘束時間・休息期間・運転時間に上限が置かれました。

項目 基準
1年の拘束時間 原則3,300時間以内(労使協定により年6か月までは3,400時間以内)
1か月の拘束時間 原則284時間以内(年6か月までは310時間以内)
1日の拘束時間 13時間以内を原則とし、延長する場合でも最大15時間(一定の場合に例外が定められています)
休息期間 継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない
運転時間 2日を平均して1日当たり9時間、2週を平均して1週当たり44時間以内
連続運転時間 4時間以内

運転できる時間に上限がある以上、同じ売上を保つには運行以外の時間を圧縮するしかありません。運行管理者と事務担当が抱えている文書作業は、その圧縮の余地が最も大きい部分です。

削れる文書と、削れない文書を分けて数える

着手する前に、事務側で発生している文書を1週間だけ書き出してみてください。「何を・週に何回・1回あたり何分」の3列で十分です。この一覧ができると、法令で作成と保存が決まっているもの(削れない)と、社内の都合で作っているもの(削れる、または様式を変えられる)に分かれます。生成AIで短くできるのは後者と、前者の周辺にある説明文だけです。この仕分けを先にやらないと、いちばん触ってはいけない記録から手を付けてしまいます。

法定の記録は生成AIに作らせない|先に線を引く

生成AIに作らせない法定記録と、その保存期間
生成AIに作らせない法定記録と、その保存期間

貨物自動車運送事業輸送安全規則は、記録すべき事項と保存期間を具体的に定めています。これらは「事実の記録」であり、生成AIが文章として組み立てるものではありません。

記録 保存期間
点呼の記録(点呼を行った旨、報告・確認・指示の内容ほか) 1年間
業務の記録(運転者等の氏名、車両の識別表示、業務の開始・終了の地点および日時、主な経過地点と従事した距離、休憩・睡眠の地点および日時、荷主都合で集貨地点等に待機した場合の事項ほか) 1年間
運行記録計による記録(瞬間速度・運行距離・運行時間) 1年間
運行指示書およびその写し 運行の終了の日から1年間
事故の記録 営業所において3年間
運転者等台帳 運転者でなくなった日から3年間
運転者に対する指導及び監督の記録(日時・場所・内容・行った者・受けた者) 営業所において3年間

「記録の作成」と「記録を使った説明文の作成」は別の仕事

ここを混ぜないでください。点呼で何を確認したかは、確認した人が記録します。一方で「1年分の指導及び監督の記録を見て、次回の教育で重点を置くべきテーマを整理する」のは文章の仕事なので、生成AIを使えます。事実を作る側には触れさせず、事実を読み解いて別の文書にする側で使う。運送業ではこの線引きが、他の業種より厳密に必要です。

場面1・2|安全教育の資料と、ヒヤリハットの共有文

輸送安全規則では、運転者に対する適切な指導及び監督を行い、その日時・場所・内容・行った者・受けた者を記録して営業所で3年間保存することが求められています。実施そのものは省けませんが、教材づくりの負担は下げられます。

例:「以下は当社が過去1年間に実施した安全教育のテーマ一覧と、社内で発生したヒヤリハットの記録の要旨です。(1)扱ったテーマと発生事象を突き合わせ、教育で扱えていない領域を挙げてください。(2)次回の教育で扱うテーマ案を3つ、それぞれ狙いを1行で示してください。資料の作成はまだ不要です。」

ヒヤリハットの共有文も同様です。報告してきたドライバーの生の言葉は残しつつ、他の運転者が読んで再現できる形に整えます。例:「以下はドライバーから口頭で報告された内容です。(1)いつ・どこで・何が起きたかを事実として箇条書きにし、(2)他の運転者が同じ場面に遭遇したときに取るべき行動を、報告内容から読み取れる範囲で書いてください。報告にない原因の推測は書かないでください。」

報告にない推測を書かせない

安全に関わる文書で生成AIが最も危ないのは、原因を勝手に補うことです。「前方不注意が原因と考えられます」といった一文が、報告になかったのに入ります。教育資料として配れば、それが社内の事実になってしまいます。指示文に「報告にない原因の推測は書かない」と明記し、配布前に報告者本人に確認してください。

場面3・4|荷主・元請への連絡文と、料金・附帯業務の説明資料

改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)で設けられた主な義務
改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)で設けられた主な義務

改正された貨物自動車運送事業法が令和7(2025)年4月1日から施行され、運送契約の締結時等における書面交付義務、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成・保存義務、委託先の健全な事業運営の確保に資する取組に関する努力義務、運送利用管理規程の作成と運送利用管理者の選任義務などが設けられました。国土交通省は、令和8(2026)年4月1日からは貨物利用運送事業者にも同様の義務が拡大されるとしています。

制度が変わると、荷主や元請への説明文を書く機会が増えます。ここは生成AIの出番です。ただし、書けるのは説明の文章までで、自社の原価や希望額は自分で計算してください。

例:「以下は当社が荷主に説明したい内容の要点です。(1)先方の担当者が社内で共有しやすいように、A4で1枚に収まる説明文にしてください。(2)主張の根拠として当社が示すべき資料を、末尾に箇条書きで挙げてください。(3)金額は【 】のまま残し、こちらで埋めます。(4)相手を責める調子にならないよう、事実と依頼を分けて書いてください。」

交渉の材料は自社の記録から作る

待機や附帯作業の実態を説明するとき、最も強い材料は自社の記録です。輸送安全規則の業務の記録には、荷主の都合により集貨地点等で待機した場合の事項を記録する定めがあります。この記録がそろっていれば、「どの荷主のどの現場で、月に何時間待っているか」を自社のデータとして示せます。生成AIに任せるのは、その集計結果を説明文にする工程だけです。数字そのものは記録から取ってください。

場面5・6|ドライバー募集の文面と、日報・月次報告の要約

ドライバー募集では、車種・運行エリア・1日の流れ・帰庫時間・荷役の有無といった、求職者が本当に知りたい項目が抜けがちです。生成AIには、現役ドライバーに15分話してもらった内容を渡して構成させます。ただし、労働条件の明示事項や年齢・性別に関する表現は、掲載前に人が確認してください。

募集文に必ず入れる6項目

ドライバーの求人で応募が来ない求人票には共通点があります。仕事の中身が読めないことです。次の6項目を指示文に入れておくと、生成AIが書く文章の情報量が安定します。

  • 車種と最大積載量(何を運転するのかが最初に知りたい情報です)
  • 運行エリアと1運行の距離(近距離か長距離か、宿泊の有無)
  • 1日の流れ(出庫から帰庫までを時系列で)
  • 荷役の有無と内容(手積みか、パレットか、附帯作業があるか)
  • 主な荷主の業種(社名は出さず、業種と荷姿の傾向まで)
  • 入社後の流れ(同乗期間、単独運行までの目安)

例:「以下は当社のドライバーに1日の仕事の流れを話してもらった内容です。求人票の仕事内容欄の下書きを作ってください。上の6項目が読み取れる構成にし、素材にない業務内容は追加せず、書けない項目は【要記入】として残してください。400字以内。」

月次の報告資料も、数値を確定させてから文章化させます。例:「以下は当月の運行実績の集計です。(1)前月と比べて動きが大きい項目を3つ挙げ、(2)それぞれについて、資料から読み取れる事実だけを2行で説明してください。原因の推測や対策の提案は書かないでください。」原因と対策を書かせないのがコツです。そこは運行管理者が現場を知ったうえで判断する部分で、AIが埋めると議論の質が落ちます。

入力してはいけない情報|荷主名・貨物の中身・個人情報

運送業で扱う情報と、生成AIへの入力可否
運送業で扱う情報と、生成AIへの入力可否

運送業が扱う情報には、荷主にとっての機密が含まれます。何をいつどこへ運んでいるかは、荷主の生産計画や取引関係そのものです。個人情報保護委員会は令和5年6月2日の注意喚起で、個人情報を含むプロンプトを入力する際は、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力する場合には、そのサービスを提供する事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認することを求めています。

  • 入力しない: 荷主名・納入先名、貨物の品名と数量、運賃の単価表、ドライバーの氏名・免許情報・健康情報、事故の相手方に関する情報
  • 加工してから入力: ヒヤリハットの報告文、日報の記述、荷主とのやり取りの文面(社名・地名・金額を記号に置き換える)
  • そのまま入力してよい: 公開されている法令・告示の条文、自社が作成した一般的な社内通知の下書き

この線引きを社内ルールとして文書にしてください。項目立ては「生成AIガイドラインの作り方」に6項目の雛形としてまとめています。どのサービスを選ぶかで入力データの扱いも変わるため、判断軸は「生成AIツールの比較と選び方」を参照してください。

30日で始める進め方と、県内の相談先

運送業は日々の運行が止められないため、大がかりな導入計画は現実的ではありません。営業所1か所・場面2つ・30日で回してください。

時期 やること
1〜10日目 入力してよい情報の線引きを紙1枚にして、運行管理者と事務担当に配る。使う場面を2つ選ぶ
11〜20日目 選んだ2場面を実際に回す。うまくいった指示文をファイルに貯める
21〜30日目 作業にかかった時間を前後で比べ、続ける場面とやめる場面を決める。続ける場面は手順書に1行書き足す

進め方の相談先としては、県が設置した「とちぎビジネスAIセンター」(宇都宮市ゆいの杜1-5-40 とちぎ産業創造プラザ内)が個別相談・ワークショップ・研修講座を扱っています。手順は「とちぎビジネスAIセンターへの相談の進め方」にまとめました。社員向けの研修を行う場合、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象となる場合があります(要件審査があります)。制度の全体像は「栃木県の中小企業が使えるAI導入補助金・支援制度まとめ」に整理しています。なお、労務管理や輸送安全に関する法令の当てはめは、社会保険労務士や運輸支局・労働基準監督署に確認してください。

よくある質問

Q1. 点呼記録をAIに下書きさせてもよいですか?

やめてください。点呼の記録は、点呼を行った旨と報告・確認・指示の内容を記録するもので、1年間の保存義務があります。これは実際に行った事実の記録であり、下書きという概念がありません。AIに任せてよいのは、たとえば1年分の記録を読んで傾向を整理する、記録の書き方を新任の運行管理者向けに説明する文章を作る、といった記録の周辺の作業です。

Q2. 日報の文字起こしと要約に使うのは問題ありませんか?

要約の対象と入力する内容次第です。日報には荷主名・納入先・貨物の品名が入っていることが多く、そのまま貼るのは避けてください。社名・地名・品名を記号に置き換えてから入力するか、そもそも要約が必要なのは月次のまとめだけではないかを見直すほうが早い場合もあります。なお、業務の記録そのものは輸送安全規則に基づき1年間保存する必要があるため、要約に置き換えることはできません。

Q3. 安全教育の教材をAIで作ると、指導及び監督の要件を満たしますか?

教材の作り方について、要件を満たすかどうかを本記事で判断することはできません。輸送安全規則が求めているのは、国土交通大臣が告示で定めるところにより適切な指導及び監督を行い、その日時・場所・内容・行った者・受けた者を記録して営業所で3年間保存することです。教材をどう作ったかではなく、実施と記録が要件です。内容が告示の定めに沿っているかは、運輸支局や実施している教育機関に確認してください。

Q4. 荷主との運賃交渉の文面をAIに作らせても大丈夫ですか?

文面のたたき台としては使えます。ただし、根拠となる原価・待機時間・附帯作業の実績は、自社の記録から自分で集計してください。AIに数字を出させると、もっともらしい桁の値が入ります。交渉の場でその数字の出どころを聞かれて答えられなければ、かえって信用を失います。また、令和7年4月に施行された改正貨物自動車運送事業法で書面交付義務が設けられているため、契約書面の作成については運輸支局や専門家に確認したうえで進めてください。

Q5. 小規模な事業者でも、どこから手を付ければよいですか?

事務担当が毎月同じ形式で作っている文書から始めてください。安全教育の案内、月次の報告資料、ドライバー募集の文面などです。去年の文面が素材としてそのまま使えるため準備が要らず、成果も1回で分かります。法定の記録に関わる領域は、慣れてからでも遅くありません。

参考・出典

まとめ|記録は人が作り、記録の周りの文章を任せる

運送業での生成AIの使いどころは、安全教育の資料、ヒヤリハットの共有文、荷主・元請への連絡文、料金や附帯業務の説明資料、ドライバー募集の文面、日報や月次報告の要約の6場面です。共通しているのは、点呼記録・業務の記録・運行指示書・運転者等台帳・指導及び監督の記録といった保存義務のある事実の記録には触れさせないという原則でした。運転時間の上限が動かせない以上、削れるのは事務時間のほうです。線を引いたうえで使えば、営業所単位でも1か月で結果が見えます。栃木県内での進め方について相談したい場合は、運営会社の事業内容をご確認のうえ、お問い合わせからご連絡ください。