令和8年度予算のスキャンツール補助事業は、申請受付が令和8年8月7日10時に始まり、令和9年1月29日17時までの先着順です。先着順という条件は、年度末に慌てて申請する運用と相性がよくありません。栃木県内には認証事業場が2,043、指定事業場が587あり、電子制御装置の整備と検査への対応は県内の裾野全体に関わります。この記事ではOBD検査の対象と準備を確認したうえで、補助金の申請書類とお客様への案内文のどこまでを生成AIに任せてよいかを線引きします。結論から言うと、任せてよいのは「説明文と社内手順書の下書き」までで、補助の要件に当てはまるかどうかの判断と、車両ごとの検査の結果は人が持ちます。
この記事の要点
- 令和8年度予算スキャンツール補助事業の申請期間は、令和8年8月7日10時から令和9年1月29日17時まで。先着順。
- 補助率はスキャンツール購入が1/3または1/4(OBD検査のみ対応は1/4)、研修受講費が1/3。1事業場あたりの上限は購入30万円、研修2万円。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。
- 対象経費は令和8年4月1日以降の購入・受講費。事務局はTOPPAN株式会社。
- 栃木県内の認証事業場は2,043、指定事業場は587、自動車検査員は2,115人、整備主任者は4,511人(令和8年3月末現在)。
- 生成AIに渡してよいのは説明文と手順書の下書きまで。お客様の氏名・住所・車台番号・登録番号はプロンプトに入れない。
栃木県の整備工場は認証2,043・指定587|県内の裾野
県別の事業場数を見る
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の都道府県別認証、指定事業場数および検査員、整備主任者数(令和7年度・令和8年3月末現在)によると、栃木県の数値は次のとおりです。

| 区分(令和8年3月末現在) | 栃木県 | 全国 |
|---|---|---|
| 認証事業場 | 2,043 | 92,261 |
| 認定事業場 | 64 | 2,456 |
| 指定事業場 | 587 | 29,788 |
| 自動車検査員 | 2,115 | 100,187 |
| 整備主任者 | 4,511 | 221,887 |
認証事業場が2,043というのは、県内に整備の担い手が広く分散しているということです。大きな工場が数か所あるという構造ではなく、小規模な事業場が地域ごとに点在しています。制度対応の負担は、事業場の規模に比例して軽くなるわけではありません。台数の少ない工場でも、検査機器の導入と手続きは同じだけ発生します。
整備主任者4,511人という規模
整備主任者は4,511人、自動車検査員は2,115人です。県内でこの人数が、電子制御装置の整備と検査に関する知識の更新を続けていることになります。研修や講習の案内を社内でどう回すか、受講の記録をどう残すかは、事業場の規模が小さいほど属人的になりがちな部分です。
栃木は自動車産業の集積がある県
栃木県には日産自動車の栃木工場(上三川町)があり、栃木県の企業立地ポータルでは本田技研工業の四輪R&Dセンター(芳賀町)を含む自動車・航空産業の集積が紹介されています。完成車と部品の側に高度な電子制御の技術が集まっている一方で、路上を走る車を最後に受け止めるのは県内の整備工場です。製造側の生成AI活用は栃木の自動車部品製造×生成AIで扱いました。この記事は整備側の話です。
OBD検査とは|対象になる車と事業者側の準備
対象になる車の条件
国土交通省のOBD検査を実施するにあたって(整備事業者向け)によると、OBD検査の対象になるのは、令和3年10月1日(輸入車は令和4年10月1日)以降に型式指定を受けた新型車です。大型特殊自動車、被牽引自動車および二輪自動車は除かれます。

実際に検査の対象になるかどうかは、車両ごとに次の条件で決まります。
- 型式指定から2年経過していること
- 新規登録から10か月経過していること
- 車検証に「OBD検査対象」と記載されていること
現場で最初に見るのは3つ目です。車検証の記載を確認すれば、その車がOBD検査の対象かどうかが分かります。対象車は年々増えていくため、「今年は数台だった」という感覚のまま翌年を迎えると、対応が追いつかなくなります。
事業者側に必要な準備
事業者側の準備は大きく2つです。ひとつは検査用スキャンツールの用意で、認定を受けた機器の一覧は検査用スキャンツールの認定機器一覧で確認できます。もうひとつはOBD検査システムへの登録で、手続きはOBD検査ポータルから行います。ポータルには必要な準備のページがあり、システム利用申請とインストールの手順が示されています。
機器を買えば終わりではなく、システムの登録が済んでいないと検査は行えません。この2段構えを取り違えて、機器だけ先に入れて止まっている事業場が出やすいところです。順番にすると次のようになります。
- 車検証の記載を確認する
- 検査用スキャンツールを用意する
- OBD検査システムへ登録する
- OBD検査を実施する
電子制御装置整備の認証との関係
分解整備が特定整備に改められて以降、電子制御装置の整備を行うには、電子制御装置整備の認証が必要です。国土交通省の同ページによると、スキャンツール補助事業の対象事業者のうち電子制御装置整備の認証を取得していない事業者は、今後申請を予定している者に限られます。認証の取得と補助金の申請は、順番を意識して進める必要があります。
令和8年度スキャンツール補助事業|申請は先着順
補助の対象と上限
国土交通省が令和8年7月28日に発表した令和8年度予算スキャンツール補助事業を開始します!によると、この事業は自動車整備技術の高度化を図り、自動車の事故防止を推進することを目的としています。補助の内容は次のとおりです。
| 補助対象 | 補助率 | 1事業場あたりの上限 |
|---|---|---|
| スキャンツールの購入 | 1/3または1/4(OBD検査のみ対応は1/4) | 30万円 |
| スキャンツール利活用のための研修の受講費 | 1/3 | 2万円 |
対象経費は令和8年4月1日以降の購入・受講費です。年度が始まってから購入したものが対象になるため、すでに買った機器が対象に入る場合があります。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。要件の当てはめは必ず公式の公募要領で確認してください。
申請期間と先着順という条件
申請期間は令和8年8月7日10時から令和9年1月29日17時までで、先着順です。予算に達した時点で受付が終わる形式なので、期限だけを見て年明けに動くと間に合わない可能性があります。
申請は令和8年度被害者保護増進等事業費補助金のホームページから行います。事務局はTOPPAN株式会社で、令和8年度被害者保護増進等事業費補助金のページに詳細が掲載されています。コールセンターは03-4446-4346(平日9時から18時)です。
申請の前に揃える情報
申請に取りかかる前に、次の情報を1枚にまとめておくと作業が速く進みます。
- 事業場ごとの認証の区分と認証番号
- 電子制御装置整備の認証の有無(未取得なら申請予定の時期)
- 購入したスキャンツールの機種名と、認定機器一覧での該当行
- 購入日と金額(令和8年4月1日以降かどうか)
- 研修を受講した場合はその名称・日付・受講費
この一覧そのものは事実の書き写しなので、社内の誰が作っても同じものになります。補助金の申請書類を整える手順は補助金の事業計画書を生成AIで書く5手順に、県内で使える支援制度の並べ方は栃木県の中小企業向けAI導入補助金・支援制度まとめにまとめています。
申請と社内文書のどこを生成AIに任せるか
下書きに使ってよいもの
整備の現場で生成AIが効くのは、技術の判断ではなく文章の量が多い部分です。次のような作業は下書きを作らせて構いません。

- 補助事業の公募要領を読んだあとの、社内向けの要点メモの整形
- スキャンツールの操作手順を、工程順の手順書の形に整え直す
- 研修の受講記録を表の形に整える
- お客様に配る「OBD検査とは何か」の説明文の下書き
- 求人票に載せる仕事内容の説明文の下書き
4つ目と5つ目は効果がはっきり出ます。整備の説明は専門用語が前提になりやすいので、「車に詳しくない人が読んで分かる言い方に」「1文は40字以内」という条件をつけて書き直させると、そのまま使える水準の下書きが出てきます。
プロンプトに入れてはいけない情報
一方で、次の情報はプロンプトに入れないでください。
- お客様の氏名・住所・電話番号
- 車台番号・登録番号(ナンバー)
- 車検証の画像やPDFをそのまま貼り付けること
- 整備記録簿の個別の内容と所有者の紐づけ
- 従業員の氏名と評価・賃金の情報
車台番号と登録番号は、単体でも車両と所有者をたどれる情報です。説明文の下書きを頼むときは、「車種A」「お客様X」のように置き換えた状態で渡してください。社内の線引きを文書にする手順は生成AIガイドラインの作り方|A4 2枚・必須6項目で扱っています。
人が持つ判断
次の3つは生成AIの出力をそのまま使ってはいけない部分です。
- 補助の要件に当てはまるかどうかの判断
- 車両ごとの検査・整備の結果と、その記録の内容
- お客様に伝える見積の金額と作業内容
生成AIは制度の要件について、もっともらしいが古い内容を返すことがあります。補助率や上限額、申請期間は必ず国土交通省の発表と公募要領で確認してください。
お客様への案内文と入庫予約の説明を整える
車検の案内にOBD検査の一文を足す
車検の案内はがきや予約時の説明に、OBD検査についての一文を足しておくと、当日のやり取りが短くなります。車検証に「OBD検査対象」と記載がある車はスキャナーによる検査が加わること、そのための時間が必要になることを、事前に伝えておく形です。

伝える内容は事実だけで足ります。書き方に迷ったら、次の順で並べると読みやすくなります。
- 何が変わるのか(電子制御装置の検査が加わる)
- 自分の車が対象かどうかの見分け方(車検証の記載)
- 当日に必要になること(時間の目安は自社の実績で書く)
- 問い合わせ先
案内文に書くのはこの4つで、金額と所要時間は空欄のままにするのが安全です。時間の目安は自社で実際に測った数字を使ってください。他社の記事や生成AIが出してきた分数をそのまま載せると、現場との食い違いが起きます。
説明文の言い換えを頼むときの条件
生成AIに案内文の下書きを頼むときは、条件を細かく指定したほうが手戻りが減ります。実際に使いやすい条件は次の4つです。
- 専門用語を使う場合は、初出でかっこ書きの説明を添える
- 1文は40字以内にする
- 不安をあおる表現を使わない
- 金額と所要時間は空欄にして、こちらで埋める形にする
4つ目が重要です。金額や時間を空欄にしておけば、生成AIが作った数字が案内文に紛れ込む事故を防げます。小さな事業所で生成AIを回す型は栃木の小規模事業者向け生成AIにまとめました。
栃木の整備工場が確かめる順番と相談先
確かめる順番
作業の順番は次のとおりです。

- 自社の事業場の認証の区分を確認する
- 電子制御装置整備の認証の有無を確認する
- OBD検査システムへの登録が済んでいるかを確認する
- 購入済みのスキャンツールが認定機器一覧に載っているかを確認する
- 令和8年4月1日以降の購入・受講費を集計する
- 公募要領を読み、申請の可否を判断する
先着順である以上、6まで一気に進める体制を作るほうが安全です。1から5は事実の確認なので、担当を1人決めれば半日で終わります。
県内の相談先
制度と手続きの相談先は、一般社団法人栃木県自動車整備振興会(宇都宮市八千代1-9-10/028-659-4370)です。同会のサイトには検査員教習や研修会の案内、整備工場の検索などが掲載されています。
補助金の申請そのものについては事務局のコールセンター、制度の解釈は振興会、社内文書づくりの進め方はとちぎビジネスAIセンター、と相談先を分けて使うと話が早く進みます。とちぎビジネスAIセンターの使い方はとちぎビジネスAIセンターの使い方にまとめています。
社内に残す形
確認した内容は1枚にまとめて残してください。次の3点があれば、翌年度の補助事業が始まったときにそのまま使えます。
- 事業場ごとの認証の区分と認証番号
- 導入済みのスキャンツールの機種名と購入日
- 研修の受講者と受講日
この1枚の整形は生成AIに頼んで構いません。中身を決めるのは人です。書類仕事そのものを減らす考え方は運送業で生成AIが使える6つの書類業務も参考になります。
よくある質問
Q. 令和8年度スキャンツール補助事業の申請期限はいつですか。
A. 令和8年8月7日10時から令和9年1月29日17時までで、先着順です。予算に達した時点で受付が終わる形式のため、期限だけを見て動くのは避けてください。
Q. 補助率と上限額はいくらですか。
A. スキャンツールの購入は1/3または1/4(OBD検査のみ対応は1/4)で、1事業場あたりの上限は30万円です。研修の受講費は1/3で、上限は2万円です。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。
Q. すでに買ったスキャンツールも対象になりますか。
A. 対象経費は令和8年4月1日以降の購入・受講費とされています。購入日が基準日以降かどうかを確認したうえで、公募要領で要件を確認してください。
Q. OBD検査の対象になる車はどう見分けますか。
A. 車検証に「OBD検査対象」と記載されているかで判断します。対象は令和3年10月1日(輸入車は令和4年10月1日)以降に型式指定を受けた新型車で、型式指定から2年経過し、新規登録から10か月経過していることが条件です。大型特殊自動車、被牽引自動車、二輪自動車は除かれます。
Q. 栃木県内にはどれくらいの整備工場がありますか。
A. 令和8年3月末現在で、認証事業場が2,043、指定事業場が587です。自動車検査員は2,115人、整備主任者は4,511人です(日本自動車整備振興会連合会の都道府県別データ)。
Q. お客様への案内文を生成AIに作らせてよいですか。
A. 下書きとして使う分には問題ありません。ただしお客様の氏名・住所・電話番号・車台番号・登録番号は入れず、金額と所要時間は空欄にして自社で埋めてください。
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参考・出典
- 国土交通省「OBD検査を実施するにあたって(整備事業者向け)」
- 国土交通省「令和8年度予算スキャンツール補助事業を開始します!」(令和8年7月28日発表)
- 独立行政法人自動車技術総合機構「OBD検査ポータル」
- 一般社団法人日本自動車機械工具協会「スキャンツール関連情報(検査用スキャンツールの認定機器一覧)」
- 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「都道府県別認証、指定事業場数および検査員、整備主任者数」(令和7年度・令和8年3月末現在)
- 一般社団法人栃木県自動車整備振興会「公式サイト」
- 栃木県「企業立地ポータル」