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中退共の加入促進強化月間は10月|栃木の市町補助と退職金規程

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中退共の加入促進強化月間は10月|栃木の市町補助と退職金規程

この記事の要点

  • 厚生労働省は令和8年10月1日から10月31日を中小企業退職金共済制度(中退共)の加入促進強化月間としています。労働局やハローワークにパンフレットが置かれる時期です。
  • 掛金は5,000円から30,000円までの16種類で全額事業主負担です。新規加入には掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)が加入後4か月目から1年間、国から助成されます。
  • 栃木県内では6市2町が掛金助成自治体等として掲載されています。宇都宮市は掛金の20%、小山市と鹿沼市は従業員1人につき12,000円など、内容は市町ごとに違います。
  • 退職金は納付月数で決まり、11月以下は支給されず、43月から運用利息と付加退職金が加算されます。
  • 生成AIには退職金規程と従業員向け説明文の下書きを任せ、退職金額の試算は中退共の公式ページで行います。

10月の加入促進強化月間で何が行われるか

厚生労働省「10月は中小企業退職金共済制度の加入促進強化月間」(令和8年9月18日)によると、令和8年10月1日から10月31日が加入促進強化月間です。期間中は、中退共・建設業退職金共済・清酒製造業退職金共済・林業退職金共済の各制度のポスターとパンフレットが作成・配布され、都道府県労働局でのポスター掲示、事業主団体への周知・啓発の協力要請、マスメディアやSNSでの広報が行われます。

厚生労働省から加入促進強化月間のポスターとパンフレットが都道府県労働局と事業主団体に届く流れを示す図
厚生労働省が作るポスターとパンフレットが労働局と事業主団体を通じて届く

月間に合わせて動く意味

月間は「この月に申し込まないと損をする」という締切ではありません。国の新規加入助成も月間に関係なく通年で受けられます。月間の意味は、栃木労働局やハローワークにパンフレットが置かれ、商工会議所や商工会でも案内が出やすい時期だという点にあります。退職金制度がない事業者が、社内で「うちも検討しよう」と切り出すきっかけとして使うのが現実的です。

中退共の規模

中小企業退職金共済事業本部「制度の概要」によると、中退共は昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた国の退職金制度で、令和7年度末の加入企業は375,555所、加入従業員は3,571,957人、運用資産額は約5.6兆円です。運営は独立行政法人勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済事業本部が行っています。

中退共の仕組みを数字で確認する

制度の基本は、事業主が中退共と退職金共済契約を結んで毎月の掛金を納め、従業員が退職したときに中退共から従業員へ直接退職金が支払われる、という流れです。社内で退職金の積立や管理をする必要がありません。

納付月数が11月以下、12月以上23月以下、24月以上42月以下、43月からの4段階で退職金の扱いが変わることを階段状に示す図
退職金は納付月数で段階的に決まる

掛金は16種類で全額事業主負担

中小企業退職金共済事業本部「掛金」によると、掛金月額は5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円、22,000円、24,000円、26,000円、28,000円、30,000円の16種類で、事業主が従業員ごとに任意に選べます。短時間労働者(1週間の所定労働時間が通常の従業員より短く、かつ30時間未満)は特例として2,000円、3,000円、4,000円でも加入できます。

掛金は全額を事業主が負担し、一部でも従業員に負担させることはできません。納付は事業主が指定した金融機関の口座から、当月または翌月の18日に口座振替で行われます。掛金月額は加入後いつでも増額できますが、減額は従業員が同意した場合か、継続が著しく困難であると厚生労働大臣が認めた場合に限られます。

国の助成は2種類

厚生労働省「中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成」に整理されているとおり、国の助成は次の2種類です。

助成の種類 内容
新規加入助成 掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間助成。短時間労働者の特例掛金月額(4,000円以下)は、2,000円の場合300円、3,000円の場合400円、4,000円の場合500円を上乗せ
月額変更助成 掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に、増額分の3分の1を増額月から1年間助成。20,000円以上の掛金月額からの増額は対象外

中小企業退職金共済事業本部「制度の特色」には、同居の親族のみを雇用する事業主や、適格退職年金制度から移行してきた事業主などは新規加入助成の対象にならないことも書かれています。助成は対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

税法上の扱いと退職金の決まり方

掛金は、法人企業の場合は損金、個人企業の場合は必要経費として全額非課税です。中小企業退職金共済事業本部「退職金」によると、退職金は基本退職金と付加退職金の2本建てで、納付月数が11月以下の場合は支給されません。12月以上23月以下は掛金納付総額を下回る額、24月以上42月以下は掛金相当額、43月からは運用利息と付加退職金が加算され、長期加入者ほど有利になります。基本退職金は予定運用利回り1.0%として定められ、付加退職金の支給率は令和8年度が0.0061です。

退職金は退職時に60歳以上であれば分割払いも選べ、5年間の分割は退職金の額が80万円以上、10年間の分割は150万円以上が要件です。一時金払いの退職金は税法上「退職手当等」として他の所得と区分して課税されます。

加入できる企業と入れる従業員

中小企業退職金共済事業本部「加入の条件」によると、加入できるのは次の範囲の企業です。個人企業や公益法人等は常時雇用する従業員数で判定されます。

中退共を中心に、金融機関、委託事業主団体、商工会議所、商工会の窓口がつながり、申込金は必要ないことを示す図
申込書の入手と提出は金融機関か委託事業主団体の窓口で行う
業種 常時雇用する従業員数 資本金・出資金
一般業種(製造業、建設業等) 300人以下 または3億円以下
卸売業 100人以下 または1億円以下
サービス業 100人以下 または5千万円以下
小売業 50人以下 または5千万円以下

包括加入の原則と例外

従業員は原則として全員を加入させます。ただし、期間を定めて雇用される従業員、季節的業務に雇用される従業員、試用期間中の従業員、短時間労働者、休職期間中の者、定年などで相当の期間内に雇用関係の終了することが明らかな従業員は加入させなくてもよいとされています。加入することに反対の意思を表明した従業員も除外されます。小規模企業共済制度に加入している方や、特定業種退職金共済制度に加入している方は同じ従業員として両方に入ることはできません。

申込書の入手先と提出先

中小企業退職金共済事業本部「加入手続き」によると、退職金共済契約申込書は金融機関(ゆうちょ銀行、農協、漁協、ネット銀行、外資系銀行を除く)または委託事業主団体の窓口で入手でき、提出先も同じ窓口です。委託事業主団体は、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、青色申告会、労働保険事務組合、労働基準協会などです。申込金は必要ありません。新規加入の際、常時雇用する従業員数が一般業種で250人、卸売業・サービス業で90人、小売業で40人以上の場合は「中小企業者であることの証明」が必要です。

栃木県内の市町が行う掛金の補助

中退共に加入した事業所に独自の補助金を出している自治体があり、中小企業退職金共済事業本部「掛金助成自治体等」(令和8年8月現在)には栃木県の掛金助成自治体等として6市2町が掲載されています。担当課も同ページに載っています。

宇都宮市、小山市、鹿沼市、那須塩原市の4つの箱が右側の掛金助成自治体等の1つの箱に集まり、それぞれの補助内容のタグが付いた図
4市の補助内容は掛金の割合型と従業員1人定額型に分かれる
自治体等 担当課・取扱団体
宇都宮市 商工振興課
佐野市 産業政策課
小山市 工業振興課
那須塩原市 商工振興課
鹿沼市 産業振興課
矢板市 商工観光課
壬生町 壬生町商工会(商工会会員対象)
那須町 観光商工課

このうち市の公式ページで内容を確認できた4市の補助を書き出します。いずれも対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。佐野市・矢板市・壬生町・那須町は各担当課に直接確認してください。

宇都宮市は掛金の20%を1年間

宇都宮市「中小企業退職金共済制度加入促進補助」(令和7年12月3日更新)によると、市内で事業を営み市税に滞納がなく、中退共と新規に共済契約を結んだ事業主が対象です。補助金額は、毎月納める掛金のうち被共済者1人当たり10,000円を限度としてその額に100分の20を乗じた額の合計で、補助限度額は1事業主当たり120,000円です。補助期間は退職金共済契約を結んだ月から1年間、申請は毎年1月で、令和7年度の対象は令和6年2月1日以降に新規加入した市内中小企業主です。担当は経済部商工振興課労政グループ(電話028-632-2444)です。

小山市と鹿沼市は従業員1人12,000円

小山市「小山市中小企業退職金共済制度普及補助金について」(2026年6月1日更新)によると、令和6年5月1日以降に中退共に加入し、加入の月から12か月連続して掛金を納付した従業員1人につき12,000円が、同一従業員につき1回限りで交付されます。申請は6月上旬に案内が届き、令和8年度の締切は令和8年6月30日でした。令和6年3月31日までに加入した従業員は旧制度(前年度中に納付した掛金の10%・月4,000円上限・36か月)が続きます。担当は工業振興課工業振興係(電話0285-22-9399)です。

鹿沼市「中小企業退職金共済制度加入促進補助金のご利用を」(令和7年5月30日更新)によると、従業員50人以下の市内事業所が対象で、新たに退職金共済制度に加入して連続12か月となった従業員1人につき12,000円、1事業所あたり30万円が限度です。対象制度には中退共のほか建設業・林業・清酒製造業の退職金共済制度も含まれ、申請期間は毎年度4月1日から6月30日です。担当は経済部産業振興課(電話0289-63-2196)です。

那須塩原市は月額5,000円を上限に20%

那須塩原市「中小企業退職金共済制度加入促進補助金」(2025年2月4日更新)によると、市内に事業所を有し中退共または特定退職金共済制度へ新規に加入した中小企業者、または既に加入していて新たに従業員を追加加入させた者が対象です。補助金額は掛金月額5,000円を上限として掛金月額の100分の20の額で、共済契約を締結した日の属する月から起算して12か月分が補助されます。申請は毎年11月と3月で、担当は産業観光部商工振興課(電話0287-62-7154)です。

栃木県のページは2026年9月時点で見つからない

栃木県の公式サイトには「中小企業退職金共済制度(中退共)のご案内」というページが検索結果に残っていますが、2026年9月26日時点でアクセスするとページが見つかりません。県として独自の掛金補助を行っているかは2026年9月時点で公式に確認できていないため、この記事では市町の補助だけを扱っています。

商工会議所の特定退職金共済との通算

栃木県内の商工会議所や商工会連合会は、中退共とは別に特定退職金共済制度を運営しています。中小企業退職金共済事業本部「通算制度」によると、中退共と特定退職金共済団体との間で退職金相当額を相互に通算でき、通算契約を結んでいる団体は令和8年7月末現在で223団体です。栃木県では小山商工会議所、宇都宮商工会議所、栃木県商工会連合会、鹿沼商工会議所が掲載されています。

中退共と特定退職金共済制度の間を通算の双方向矢印で結び、その下に小山商工会議所、宇都宮商工会議所、鹿沼商工会議所、栃木県商工会連合会を並べた図
中退共と特定退職金共済制度は相互に通算でき、県内4団体が締結先に載っている

過去勤務期間と転職の通算

新規加入時に既に1年以上勤務している従業員は、加入申込み時までの継続した雇用期間を最高10年まで通算でき、通常の掛金とは別に過去勤務掛金を納付します。中退共に加入している企業から別の加入企業へ転職した場合も、掛金が12月以上納付されていること、前の企業を退職した後3年以内に新しい企業で加入すること、前の企業で退職金を請求していないことを満たせば、納付実績を通算できます。

県内で既に商工会議所の特定退職金共済に入っている事業者は、中退共へ切り替えるか、両方の通算を使うかを商工会議所の窓口で相談する流れになります。事業承継の場面で退職金の引き継ぎが問題になるときの整理は栃木の事業承継|引き継ぎ資料を生成AIで整えるで扱っています。

退職金規程と説明文を生成AIで下書きする

中退共に加入すると、退職金額の計算は中退共側で行われるため、社内で用意する文書は「退職金規程」と「従業員向けの説明文」の2つに絞られます。ここが生成AIの出番です。

生成AIのゲートで退職金規程と従業員向けの説明文の下書きは通し、退職金額の試算と補助金の可否は止め、出力は専門家の確認へ進む図
規程と説明文の下書きは通し、退職金額の試算と補助金の可否は通さない

退職金規程に書く項目

生成AIに渡す材料は、この記事で確認した制度の事実です。次の項目を箇条書きにして渡し、「中退共に加入することを前提にした退職金規程の条文案を作って」と指示します。

  • 適用範囲(包括加入の原則と、除外できる従業員の区分)
  • 掛金月額の決め方(16種類のうちどれを使うか、勤続や役職で変えるか)
  • 掛金は全額事業主負担であること
  • 退職金は中退共から従業員へ直接支払われること
  • 過去勤務期間の通算を申し出るかどうか
  • 規程の施行日と改定の手続き

出てきた条文案は、そのまま使わず社会保険労務士など専門家の確認を受けてください。生成AIが作るのは「確認してもらうためのたたき台」です。

従業員向けの説明文

従業員に配る説明文は、「退職金がいくらになるか」を書きたくなりますが、金額は掛金月額と納付月数で決まり、付加退職金の支給率も年度で変わります。説明文には、掛金は会社が全額負担すること、11月以下では支給されないこと、43月からは運用利息と付加退職金が加算されること、退職金は中退共から直接支払われることを書き、金額は中退共の退職金試算ページを案内する形にします。生成AIには「専門用語を使わず、A4一枚で、金額の断定を書かない」という条件を付けて下書きさせます。

総務・経理の書類仕事全般で生成AIをどう分担させるかは総務・経理の生成AI活用7場面|栃木の中小企業にまとめています。

任せない:退職金額の試算と補助金の可否

生成AIに「掛金1万円で20年でいくら」と聞くと、それらしい数字が返ってきますが、基本退職金額表や付加退職金の支給率を正確に反映した値ではありません。試算は中退共の退職金試算ページで行ってください。市町の補助金についても、対象になるかどうかは各担当課の審査で決まります。AIの出力に「補助対象です」と書かれていても、それは判断ではなく文章です。

加入までの手順と10月の使い方

月間に合わせて進めるなら、次の順番が現実的です。

加入できる範囲の確認、従業員の同意、掛金月額、退職金共済契約申込書、補助制度、退職金規程の順に上がっていく6段の経路を示す図
範囲の確認から規程の下書きまでを6段で進める

6つの手順

  1. 自社が加入できる範囲(業種別の従業員数・資本金)に入っているかを確認する
  2. 加入させる従業員と除外する従業員を整理し、従業員の同意を取る
  3. 従業員ごとの掛金月額を16種類から決める
  4. 金融機関または委託事業主団体の窓口で退職金共済契約申込書と預金口座振替依頼書を入手・提出する
  5. 事業所のある市町に掛金の補助制度があるかを確認し、申請時期(宇都宮市は1月、小山市と鹿沼市は6月まで、那須塩原市は11月と3月)を控える
  6. 退職金規程と従業員向け説明文を生成AIで下書きし、専門家の確認を受ける

採用と賃上げの場面につなげる

採用の場面で退職金制度の有無は応募者が見る項目です。求人票に中退共加入を書くときの表現は求人票と採用文書の生成AI活用6場面|栃木県版を参考にしてください。賃上げと合わせて福利厚生を整える場合の支援制度は栃木の賃上げ支援金と助成金の早見表|5%と3%で何が変わるかにあります。

よくある質問

Q. 中退共の加入促進強化月間はいつですか。

A. 令和8年10月1日から10月31日です。厚生労働省が令和8年9月18日に公表しました。月間中に申し込まないと助成が受けられないという制度ではなく、国の新規加入助成は通年です。

Q. 掛金はいくらから始められますか。

A. 掛金月額は5,000円から30,000円までの16種類で、従業員ごとに選べます。短時間労働者は2,000円、3,000円、4,000円の特例掛金月額でも加入できます。掛金は全額事業主負担です。

Q. 国の助成はどのくらいですか。

A. 新規加入した事業主には掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)が加入後4か月目から1年間助成されます。掛金月額18,000円以下から増額した場合は増額分の3分の1が1年間助成されます。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

Q. 栃木県内で市町の補助があるのはどこですか。

A. 中退共のページには令和8年8月現在で宇都宮市、佐野市、小山市、那須塩原市、鹿沼市、矢板市、壬生町、那須町の6市2町が掲載されています。内容は市町ごとに違うため、各担当課で確認してください。

Q. 退職金額を生成AIに試算させてもよいですか。

A. 避けてください。退職金は掛金月額と納付月数で決まり、付加退職金の支給率も年度で変わります。試算は中退共の退職金試算ページで行い、生成AIには規程や説明文の下書きだけを任せてください。

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参考・出典