TOCHIGI AI JOURNAL

記事を読む 栃木のAI活用・補助金・研修設計を実務で使う
業務改善

10月は高年齢者就業支援月間|栃木の継続雇用と生成AI

⏱ 約12分で読めます
10月は高年齢者就業支援月間|栃木の継続雇用と生成AI

10月は「高年齢者就業支援月間」です。国とJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)が、高齢者の雇用について理解を求める啓発活動をまとめて行う期間で、事業所にとっては自社の定年・再雇用の制度を見直す区切りになります。栃木県は65歳以上の人口の割合が30.9%で、県内で人を採る・残ってもらうという話は、もう高齢者を外して組み立てられません。この記事では月間の中身と県の数字を確認したうえで、制度の確認と説明文書づくりのどこまでを生成AIに任せてよいかを線引きします。結論から言うと、任せてよいのは「説明文書の下書きと手順書の整形」までで、誰をどの条件で再雇用するかの判断と、就業規則の最終的な文言は人が持ちます。

この記事の要点

  • 10月は「高年齢者就業支援月間」。JEEDが厚生労働省等と協力して啓発活動を行い、月間中に「高年齢者活躍企業フォーラム」(厚生労働省との共催)と「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」(都道府県支部で開催)が実施される。
  • 栃木県の年齢3区分別人口の構成比は、15歳未満10.7%、15〜64歳58.4%、65歳以上30.9%(令和7年10月1日現在・県の毎月人口調査)。
  • 65歳までの雇用確保措置は義務で、定年制度の廃止・定年の引上げ・継続雇用制度の導入の3つ。70歳までの就業確保措置は努力義務で、業務委託や社会貢献事業を含む5つ。
  • 制度を実際に変える事業主向けに、JEEDの65歳超雇用推進助成金が3コース用意されている。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。
  • 生成AIに渡してよいのは説明文書の下書きと手順書の整形まで。健康状態や評価、個人を特定できる情報はプロンプトに入れない。

10月は高年齢者就業支援月間|国とJEEDが行う啓発の中身

月間の趣旨

JEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)のイベント・啓発活動のページには、「10月は『高年齢者就業支援月間』です。事業主のみならず、広く国民の皆様に対して高齢者の雇用問題についての理解と協力を要請するため、厚生労働省等と協力して、さまざまな啓発活動を展開しています」と書かれています。

高年齢者就業支援月間を中心に、10月・厚生労働省等と協力の2つと、高年齢者活躍企業フォーラム・生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップの2つの行事を左右に配置した図
高年齢者就業支援月間の実施主体と月間中の2つの行事

「啓発月間」と聞くと自社には関係のない行事に見えますが、この月間は年に一度、高齢者雇用の情報が国の側からまとめて出てくる時期でもあります。制度の見直しを先延ばしにしている事業所にとっては、資料と相談先が揃うタイミングだと考えたほうが実利があります。

月間中に行われる2つの行事

同じページには、月間中の行事として次の2つが挙げられています。

行事 内容
高年齢者活躍企業フォーラム 厚生労働省との共催。表彰式・記念講演等
生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ 都道府県支部で開催

地域ワークショップは都道府県支部で開かれるため、県内の事業所が参加しやすい形の行事です。開催の有無と日程は年度によって変わるので、参加を考える場合はJEEDの支部の案内を直接確認してください。本記事の執筆時点(2026年9月)で、令和8年度の栃木県内の開催日程は公式に確認できていません。

月間を自社の点検に変える

行事に出るかどうかにかかわらず、10月を「自社の定年と再雇用の条件を1回だけ読み返す月」に決めてしまうのが、いちばん手間の少ない使い方です。就業規則の該当条文、再雇用時の労働条件通知書のひな形、本人への説明のタイミング。この3つを毎年10月に見るという運用にしておけば、法改正があった年にも取りこぼしが出にくくなります。

栃木県の65歳以上は30.9%|県内で高齢者雇用を外せない理由

年齢3区分別の構成比

栃木県が2025年11月27日に公表した令和7(2025)年栃木県の人口(栃木県毎月人口調査報告書)によると、令和7(2025)年10月1日現在の県の総人口は1,868,706人、年齢3区分別人口の構成比は次のとおりです。

栃木県の年齢3区分別人口の構成比が15歳未満10.7%、15〜64歳58.4%、65歳以上30.9%で、総人口が1,868,706人であることを3枚のカードで示した図
栃木県の年齢3区分別人口の構成比(令和7年10月1日現在)
区分(令和7年10月1日現在) 構成比
15歳未満 10.7%
15〜64歳 58.4%
65歳以上 30.9%

県民のおよそ3人に1人が65歳以上という数字です。働き手の中心である15〜64歳は58.4%にとどまります。県内の事業所が「若い人を採る」だけで人員計画を立てられる状況ではないことが、この構成比からそのまま読み取れます。

なお、この構成比は県の毎月人口調査にもとづく推計値です。社内資料に載せるときは「令和7年10月1日現在・栃木県毎月人口調査」と基準日と調査名を必ず添えてください。国勢調査の結果とは数値が一致しません。

県の相談窓口は宇都宮のとちぎジョブモール

栃木県が運営する就職支援サイトWORKWORKとちぎによると、とちぎジョブモールは栃木県が運営する就職支援の拠点で、所在地は宇都宮市駅前通り1-3-1 宇都宮ウエストゲート1階、電話は028-623-3226です。利用時間は平日8時30分から17時15分まで、土曜は10時から17時までで、日曜・祝日・年末年始は休館です。

対象は若年者・中高年齢者・障害のある方など幅広く、総合的な相談やキャリアカウンセリングから職場定着までをワンストップで支援するとされています。サイトには中高年・シニア向けのメニューとして、シニア向けセミナー、ミドル世代向けセミナー、ミドル世代巡回セミナー・相談会、生涯現役シニア応援センターぷらっとなどが掲載されています。

求人を出す側の事業所にとっては、「県内でシニアの求職者が実際にどこに集まっているか」を知る窓口になります。求人票の書き方そのものについては求人票と採用文書の生成AI活用6場面にまとめています。

県内の業種構成と重ねて考える

栃木県は自動車部品や医療機器などの製造業の集積があり、現場の技能が個人に蓄積しやすい業種が多い県です。技能の引き継ぎが終わらないうちに定年が来ると、その場しのぎの延長を毎年繰り返すことになります。65歳以上が30.9%という構成比は、県内のどの業種でも「引き継ぎの設計を先に置く」ことを促す数字として読めます。

65歳までは義務、70歳までは努力義務|就業規則を確認する順番

65歳までの雇用確保措置(義務)

厚生労働省の高年齢者雇用対策によると、65歳までの雇用確保措置として事業主に求められているのは次の3つです。

左に65歳までの雇用確保措置として定年制度の廃止・定年の引上げ・継続雇用制度の導入の3つ、右に70歳までの就業確保措置として定年の引上げ・定年制の廃止・継続雇用制度・業務委託契約・社会貢献事業の5つを並べた図
65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置
  • 定年制度の廃止
  • 定年の引上げ
  • 継続雇用制度の導入

このうちどれを採るかは事業主が選べますが、いずれかを講じること自体は義務です。自社の就業規則が「定年60歳・その後は再雇用」という形になっている場合、再雇用の上限年齢が65歳に届いているかを最初に確かめてください。

70歳までの就業確保措置(努力義務)

厚生労働省の高年齢者雇用安定法の改正〜70歳までの就業機会の確保〜によると、令和3年4月1日から、70歳までの就業確保措置が努力義務として設けられています。措置は次の5つです。

  • 70歳までの定年の引上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

同ページには、これは「70歳までの定年年齢の引上げを義務付けるものではありません」と明記されています。努力義務であることと、雇用以外の選択肢(業務委託・社会貢献事業)が含まれていることの2点が、65歳までの措置との違いです。

確認する順番

就業規則を開く前に、次の順で事実を並べるほうが話が早く進みます。

  1. 現在の定年年齢と、再雇用の上限年齢を書き出す
  2. 直近3年で定年を迎えた人数と、実際に再雇用した人数を数える
  3. 今後3年で定年を迎える人の人数と、その人が持っている業務を一覧にする
  4. 65歳までの措置が満たされているかを確認する
  5. 70歳までの措置について、自社で現実的に採れる選択肢を1つ以上挙げる

4と5の判断は社会保険労務士に相談する部分です。1から3の集計と一覧の整形は、社内の誰でも手を動かせます。

制度を変えるときに使える国の助成金

65歳超雇用推進助成金の3コース

JEEDの65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が年齢に関わりなく働ける社会の実現を目的に、定年引上げや雇用管理制度の整備、有期契約労働者の無期雇用転換を行う事業主を助成する制度です。コースは次の3つです。

コース 主な内容
65歳超継続雇用促進コース 65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 高年齢者の雇用管理制度の整備
高年齢者無期雇用転換コース 有期契約労働者の無期雇用への転換

65歳超継続雇用促進コースの支給額は、引き上げる年齢の幅と対象となる高年齢者の人数の区分で決まります。区分ごとの金額は65歳超継続雇用促進コースのページに一覧があるので、自社の条件に当てはめて確認してください。対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

申請期限の数え方に注意する

65歳超継続雇用促進コースの申請期限は、同ページによると「制度の実施日の属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日」までです。制度を変えた日を基点に数えるため、「就業規則を変えてから何か月も経ってしまった」という状態だと申請自体ができません。

支給対象の事業主には、就業規則等で対象措置を実施し労働基準監督署へ届け出ていること、高年齢者雇用推進者を選任したうえで職業訓練の実施や作業施設の改善など定められた項目のうち1つ以上を実施していることなどの要件があります。制度変更を考えている場合は、就業規則の改定に着手する前に要件を読む順番が安全です。

補助金・助成金の申請書類そのものを整える手順は補助金の事業計画書を生成AIで書く5手順で扱っています。

生成AIに任せてよい範囲|説明文書の下書きと手順書の整形

任せてよい作業

高齢者雇用まわりの仕事は、判断の部分よりも文書の分量のほうが多くなりがちです。次のような作業は生成AIに下書きを作らせて構いません。

生成AIに任せてよい範囲として再雇用の条件を説明する文書・定年到達者への面談案内文・高齢の従業員に向けた作業手順書・想定質問と回答案を、入れてはいけない情報として従業員の氏名や健康診断の結果や人事評価や賃金台帳の個人別の金額を2列2行の表で示した図
生成AIに下書きを任せてよい文書と、プロンプトに入れてはいけない情報
  • 再雇用の条件を本人に説明する文書の下書き(勤務日数・時間・賃金・業務内容の項目立て)
  • 定年到達者への面談案内文の下書き
  • 高齢の従業員に向けた作業手順書を、短い文と大きな見出しに整え直す
  • 引き継ぎのために口頭で聞き取ったメモを、工程順の手順書の形に整形する
  • 社内説明会の想定質問と回答案を並べる

とくに3つ目は効果がはっきり出ます。長年かけて作られた手順書は一文が長く、前提が省略されていることが多いので、「1文を40字以内にして、主語を省略しない」という条件で書き直させるだけで読みやすさが変わります。

入れてはいけない情報

一方で、プロンプトに入れてはいけない情報があります。

  • 従業員の氏名・生年月日・住所・社員番号
  • 健康診断の結果、持病、服薬、通院の内容
  • 人事評価の点数や評価コメント
  • 賃金台帳の個人別の金額
  • 面談で本人が話した家庭の事情

高齢の従業員の処遇は、健康状態や家庭の事情と結びついて話が進みやすい領域です。だからこそ、生成AIに渡す文書からはその部分を外し、条件と手順だけを渡す形に慣れておく必要があります。社内の線引きを文書にする手順は生成AIガイドラインの作り方|A4 2枚・必須6項目にまとめました。

人が持つ判断

次の3つは生成AIの出力をそのまま使ってはいけない部分です。

  1. 誰をどの条件で再雇用するかの決定
  2. 就業規則に載せる最終的な文言
  3. 助成金の要件に当てはまるかどうかの判断

1は人事の判断、2と3は専門家に確認する領域です。生成AIの出力は「たたき台」としては十分に使えますが、根拠を示さずに断定してくることがあるため、制度の要件は必ず一次情報に当たってください。

栃木の事業所が10月までに動かす順番

動かす順番は次の6つです。

定年を迎える人を数えるところから説明文書と手順書を整えるまでの6つの手順を階段で示した図
9月から11月以降にかけて動かす順番
  1. 定年を迎える人を数える
  2. その人が持つ業務を一覧にする
  3. 就業規則の定年と再雇用の条文を読む
  4. 65歳までの措置を確認する
  5. 70歳までの選択肢を1つ挙げる
  6. 説明文書と手順書を整える

9月中に数える

まず数えるところから始めます。今後3年で定年を迎える人が何人いて、その人たちが持っている業務が何かを一覧にする。ここができていないと、制度をどう変えても議論が空回りします。

10月に確認する

10月は制度の確認に充てます。就業規則の定年・再雇用の条文を読み、65歳までの措置が満たされているかを見る。あわせて70歳までの措置について、自社で採れる選択肢を1つ以上挙げておきます。高齢の従業員が増えれば、健康管理と安全衛生の負荷も増えます。この点は健康経営優良法人2027の申請は10月16日までと安全衛生教育の資料づくりに生成AIを使うで扱っています。

11月以降に文書にする

制度を変えると決めたら、就業規則の改定と労働基準監督署への届出、そして助成金の要件確認に進みます。本人への説明文書と手順書の整備はこの段階です。下書きは生成AIで作り、最終的な文言は人が決める。この分担を最初に決めておくと、作業が止まりません。

障害のある人の雇用と高齢者の雇用は、仕事の切り出しという点で考え方が重なります。切り出しの進め方は障害者の法定雇用率2.7%|栃木で始める仕事の切り出しにまとめています。日々の総務・経理まわりの文書を軽くする方法は総務・経理の生成AI活用7場面を参照してください。

よくある質問

Q. 高年齢者就業支援月間はいつですか。
A. 10月です。JEEDが厚生労働省等と協力して啓発活動を行う月間で、月間中に高年齢者活躍企業フォーラム(厚生労働省との共催)と、生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ(都道府県支部で開催)が実施されます。

Q. 65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置は何が違いますか。
A. 65歳までの措置(定年制度の廃止・定年の引上げ・継続雇用制度の導入)は義務です。70歳までの措置は令和3年4月1日から設けられた努力義務で、雇用以外に業務委託契約と社会貢献事業の選択肢が含まれます。

Q. 栃木県の65歳以上の割合はどれくらいですか。
A. 令和7(2025)年10月1日現在で30.9%です。15歳未満は10.7%、15〜64歳は58.4%で、県の総人口は1,868,706人です(栃木県毎月人口調査)。

Q. 定年を延長すると助成金がもらえますか。
A. JEEDの65歳超雇用推進助成金に65歳超継続雇用促進コースがあり、対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。就業規則の届出や高年齢者雇用推進者の選任などの要件があるため、制度変更の前にコースのページで要件を確認してください。

Q. 再雇用の条件を説明する文書を生成AIに作らせてよいですか。
A. 下書きとして使う分には問題ありません。ただし本人の氏名・健康診断の結果・人事評価・個人別の賃金額はプロンプトに入れず、勤務日数や業務内容といった条件と項目立てだけを渡してください。最終的な文言は人が決めます。

Q. 県内でシニアの採用について相談できる窓口はありますか。
A. 栃木県が運営するとちぎジョブモール(宇都宮市駅前通り1-3-1 宇都宮ウエストゲート1階/028-623-3226)が、中高年齢者を含む幅広い求職者を対象に相談を受けています。シニア向け・ミドル世代向けのセミナーや相談会も案内されています。

運営元 Uravation より自社に近い業務から着手先を選ぶ材料として、業務別の生成AI活用事例50例を無料で公開しています。 生成AI活用事例 業務別50選を受け取る(無料)

参考・出典