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年末年始無災害運動2026|栃木の労働災害の早見表と準備

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年末年始無災害運動2026|栃木の労働災害の早見表と準備

この記事の要点

年末年始無災害運動は、中央労働災害防止協会(中災防)が主唱し、厚生労働省の後援のもとで昭和46年から続く運動です。令和8年度の運動期間は、2026年12月1日から2027年1月15日までです(中災防「第42回 安全衛生標語募集要領」)。

栃木県内の休業4日以上の労働災害は、令和8年8月末で1,334人と、前年同期の1,244人を上回っています。事故の型では「転倒」が394人で最も多く、「墜落・転落」212人、「動作の反動・無理な動作」204人が続きます(栃木労働局「事故の型・起因物別 労働災害発生状況(令和8年8月末)」)。8月末までに亡くなった18人のうち、10人が60歳以上でした。

12月1日の初日までに、経営トップの方針表明、大掃除や機械の再稼働の手順、転倒と腰痛の対策を決めておきます。方針表明の文案やKYシートの枠は生成AIで下書きでき、被災した人や健康の情報は入力しません。

年末年始無災害運動とは|中災防が主唱し、厚生労働省が後援する運動

目的と実施者

中災防「年末年始無災害運動実施要領」によると、この運動は、働く人たちが年末年始を無事故で過ごし、明るい新年を迎えられるよう、事業場の取り組みを促すためのものです。昭和46年から厚生労働省の後援のもとで中災防が主唱し、令和7年度で55回目でした。実施者は各事業場です。

左上に中災防と主唱、左下に厚生労働省と後援の箱があり、中央の年末年始無災害運動の円に矢印が集まり、右の各事業場(実施者)の箱へ矢印が出る図
中災防が主唱し、厚生労働省が後援して、各事業場が実施者として取り組む年末年始無災害運動の関係

要領は、年末年始に危険が増える理由として、大掃除や機械設備の保守点検・再稼働などの作業が増えること、物流の増加に伴う交通・荷役作業時の災害、積雪や凍結による転倒、多忙による焦りや疲労からのミスやエラーを挙げています。全国の状況として、令和6年の休業4日以上の死傷者数は135,718人で4年連続の増加、そのうち60歳以上の割合は30.0%と書かれています。

令和8年度の期間は12月1日から翌年1月15日

令和8年度の運動期間は、令和8年(2026年)12月1日から令和9年(2027年)1月15日までです。中災防が標語を募集した「第42回 安全衛生標語募集要領」に、この期間が書かれています。令和7年度も、12月1日から翌年1月15日まででした。

標語と実施要領の公表状況

第42回の募集は終了しており、中災防は入賞作品(PDF)を公表しています。年末年始の標語として載っているのは「年末年始 はやる気持ちに一呼吸 家族の顔を思いつつ」です。

一方、2026年10月7日の時点で、中災防の実施要領のページに載っているのは令和7年度版(標語「『年末』感謝の総点検 『年始』も笑顔で 無事故の発進」)です。栃木労働局のページも令和7年度の実施要綱のままでした。令和8年度の要領と栃木労働局の要綱が出たら、重点事項に変更がないかを確かめます。

栃木の労働災害の早見表|令和8年8月末は1,334人、転倒が最多

事故の型別の早見表

栃木労働局「事故の型・起因物別 労働災害発生状況」の令和8年8月末の集計(全産業)から、人数の多い事故の型を並べました。新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いた、休業4日以上の死傷者数です。

左に転倒(394人)と動作の反動・無理な動作(204人)の2つの箱をプラス記号でつなぎ、右の行動災害(598人)の箱へ矢印でまとめ、4割を超えるの札を付けた図
転倒394人と動作の反動・無理な動作204人を合わせた598人の行動災害が、全体の4割を超える
事故の型 令和8年8月末 構成比 前年同期
転倒 394人 29.5% 334人
墜落・転落 212人 15.9% 203人
動作の反動・無理な動作 204人 15.3% 150人
挟まれ・巻込まれ 143人 10.7% 137人
交通事故(道路) 82人 6.1% 64人
切れ・こすれ 64人 4.8% 57人
激突され 60人 4.5% 67人
合計(全産業) 1,334人 100.0% 1,244人

行動災害が4割を超える

転倒の394人と、腰痛やひねりにつながる「動作の反動・無理な動作」の204人を合わせると598人で、全体の1,334人の4割を超えます。栃木労働局は令和7年度の実施要綱で、転倒や腰痛・捻挫など作業行動に起因する「行動災害」が全体の4割を占めると書いています(栃木労働局「年末年始無災害運動」実施要綱(令和7年度・PDF))。

前年同期と比べて増え方が大きいのは、「動作の反動・無理な動作」(150人→204人)、「転倒」(334人→394人)、「交通事故(道路)」(64人→82人)です。

死亡災害は18人、60歳以上が10人

栃木労働局「令和8年 栃木県内における死亡労働災害発生状況」(8月末日現在・PDF)には、18件の死亡災害が載っています。被災者の年代は60代が7人、70代が3人、50代が6人、20代が2人で、60歳以上が10人です。

令和7年度の実施要綱によると、令和7年は8月末時点の死亡者が12人で、栃木労働局は9月1日から12月31日まで「死亡労働災害多発警報」を発令していました。令和8年は、同じ8月末の時点で18人です。

早見表を読むときの注意

8月末の数字は年の途中の集計で、1年分の確定値は翌年に公表されます。令和7年の確定値は休業4日以上が2,200人(令和6年は2,234人)で、そのうち転倒は602人(27.4%)でした(栃木労働局「事故の型・起因物別 労働災害発生状況(令和7年確定値)」(PDF))。構成比は全産業の合計に対する割合で、業種ごとの内訳は同じページの業種別の表で確かめます。

栃木労働局の重点|「ころばNiceとちぎ」と「Aない声かけ運動」

令和7年度の要綱が挙げた5つの重点

栃木労働局は令和7年度の年末年始無災害運動で、次の5つを労働災害防止の重点事項にしました(実施要綱・PDF)。

中央の栃木労働局の円と独自運動の札から、ころばNiceとちぎ、痛めNiceとちぎ、Aない声かけ運動、STOP!建設3大災害の4つの箱へ線が伸びる図
栃木労働局が年末年始無災害運動で展開する4つの独自運動
  1. 死亡災害及び身体に障害が生ずる重篤な災害の撲滅
  2. 高年齢労働者における災害の防止
  3. 「転倒」及び腰痛等の「動作の反動、無理な動作」による行動災害の防止
  4. 高所作業における「墜落、転落」による災害の防止
  5. 機械設備による「はさまれ・巻き込まれ」による災害の防止

令和8年8月末の早見表で人数の多い事故の型と、ほぼ重なっています。60歳以上の死亡が多い点も、2つ目の重点と同じ向きです。

栃木労働局の独自運動

要綱は、事業場の実施事項に栃木労働局の独自運動を入れています。栃木労働局「年末年始無災害運動を展開!」のページから、それぞれのリーフレットを入手できます。

  • 「ころばNice(ないっす)とちぎ」転倒予防体操
  • 「痛めNice(ないっす)とちぎ」腰痛予防体操
  • 「A(えー)ない声かけ運動!」
  • 「STOP!“建設3大災害”」

同じページには、エイジフレンドリーガイドラインと、はしごや脚立からの墜落・転落災害を防ぐリーフレットも並んでいます。高年齢の従業員がいる職場は、この2つもあわせて使います。

年末年始に増える作業と危険|大掃除・再稼働・物流・積雪

大掃除と機械の保守点検・再稼働

栃木労働局の要綱は、年末年始に慣れない機械設備の保守点検・再稼働や、はしご・脚立を使った掃除や飾りつけなどの非定常作業が増えると書いています。普段やらない作業は手順書がないことが多く、挟まれ・巻込まれや墜落・転落につながります。年末の最終日と年始の初日は、点検と再稼働の手順を紙1枚にまとめ、担当と確認者を決めておきます。

左に大掃除・再稼働・物流の増加・積雪や凍結の4つの箱、右に墜落・転落・挟まれ・巻込まれ・交通事故(道路)・転倒の4つの箱を置き、同じ行どうしを矢印でつないだ図
年末年始に増える作業や条件と、それぞれにつながる事故の型

物流の増加と交通・荷役

物流の増加に伴う交通事故や荷役作業時の事故も、要綱が挙げる危険です。県内の交通事故(道路)による休業4日以上の災害は、8月末で82人と前年同期の64人を上回っています。配送の多い事業場は、秋の交通安全運動の記事で整理した安全運転管理の点検を、12月の繁忙期の前にもう一度行います。

積雪と凍結による転倒

要綱は、積雪や凍結による転倒の危険にも触れています。日光や那須の山あいにある事業所や、早朝に駐車場や通路を歩く職場は、凍結しやすい場所を構内図に書き出し、融雪剤や滑りにくい靴を12月までに用意します。転倒は早見表で最も多い事故の型で、令和7年の1年間でも602人(全体の27.4%)でした。

業種別に見る栃木の準備|製造業・運送業・小売と宿・建設業

業種ごとに先に手を付けるところ

早見表の事故の型を、年末年始に作業が増える業種に当てはめると、先に手を付けるところが見えてきます。人数は全産業の合計で、業種ごとの内訳ではありません。

業種 年末年始に増える作業 関係する事故の型(全産業の人数) まずやること
製造業(自動車部品・医療機器など) 設備の一斉点検、年始の再稼働 挟まれ・巻込まれ(143人) 再稼働の手順と確認者を決める
運送業 配送の増加、荷役 交通事故(道路)(82人) 運行前点検と荷役の手順を見直す
小売・飲食・宿泊 繁忙期の売り場と客室、大掃除 転倒(394人) 通路と駐車場の段差と凍結を点検する
建設業 年内の工期の追い込み、年始の作業再開 墜落・転落(212人) 「STOP!“建設3大災害”」で点検する

日光・那須の宿と観光施設

栃木県の「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」(PDF)によると、2025年の県内の観光客入込数は9,076.2万人で、日光市が1,073.5万人、那須塩原市が830.6万人でした。年末年始に繁忙期を迎える宿や観光施設は、客室の清掃や雪かきを短い時間で回すため、転倒と腰痛が重なりやすい職場です。「ころばNiceとちぎ」と「痛めNiceとちぎ」の体操は、始業前の朝礼に組み込めます。

自動車部品と医療機器の工場

県内の自動車部品や医療機器の工場で、年末に設備の保守点検をまとめて行い、年始に再稼働させる場合は、初日の段取りが要になります。中災防の要領も栃木労働局の要綱も、年始の作業再開時の安全確認を実施事項に入れています。再開の初日は、立ち上げの順番、試運転の立会い、非常停止の確認を手順書に書いておきます。

生成AIで整える準備|方針表明・KYシート・朝礼の話・掲示

生成AIに任せてよい下書き

  • 経営トップの安全衛生方針(決意表明)の文案。自社の重点を3つ渡し、朝礼で1分で読める長さにします
  • 非定常作業のKYシートの枠。「作業名・手順・起こりうる危険・対策・確認者」の欄だけ作らせ、危険の中身は現場の人が書きます
  • 朝礼で話す1分の話。早見表の数字(転倒394人など)を渡し、数字は書き換えないよう指示します
  • 掲示物。「Aない声かけ運動」の呼びかけを、やさしい日本語や外国語にします。作り方は外国人材の手順書の記事で整理しています
  • 年始の作業再開時のチェックリスト

入力しない情報

  • 被災した従業員の氏名、けがの状況、通院先
  • 健康診断の結果や持病などの健康情報
  • 氏名付きの勤怠や残業時間の一覧
  • 取引先から預かった図面や仕様書

健康情報の線引きは、全国労働衛生週間の記事でも整理しています。

左の列に方針表明の文案・KYシートの枠・朝礼で話す1分の話・掲示物、右の列に被災した従業員の氏名・健康診断の結果を置き、中央の縦線で分けた図
生成AIに任せてよい下書きと、入力しない情報の線引き

指示文の例

あなたは栃木県内の金属部品工場の安全衛生担当です。
年末の大掃除と設備の保守点検(12月下旬)で使うKYシートの枠を作ってください。
条件:
- 列は「作業名」「手順」「起こりうる危険」「対策」「確認者」
- 危険の欄は空欄にし、記入例を1行だけ入れる
- 重点は「挟まれ・巻込まれ」「墜落・転落」「転倒」
- 法令名と数字は書かない

人が確かめること

  • 手順と危険は、その作業をする人が現場で確かめる
  • 数字は栃木労働局の原表と照らし合わせる
  • 保護具や設備の点検基準は、メーカーの取扱説明書と社内の基準に合わせる

12月1日から逆算した段取り

時期ごとのやること

時期 やること
10月〜11月上旬 早見表を見て、転倒・腰痛、墜落・転落、挟まれ・巻込まれから自社の重点を選ぶ
11月中旬 大掃除・保守点検・再稼働の作業を洗い出し、KYシートを作る
11月下旬 方針表明の文、掲示物、朝礼の話をそろえる。中災防と栃木労働局の令和8年度の資料を確かめる
12月1日 経営トップの方針表明、安全衛生パトロール
12月下旬 大掃除と設備の一斉点検、最終日の火気の点検
1月の作業再開日 再開時の安全確認、朝礼で年始の話
1月15日 期間の終わり。ヒヤリハットと災害の有無を振り返る

小さな事業場は3つに絞る

従業員が少ない事業場は、全部をやろうとせず、方針表明、転倒と腰痛の対策、年始の作業再開時の安全確認の3つに絞ります。リーフレットは栃木労働局のページから入手でき、教育の資料づくりは安全衛生教育の記事の手順で進められます。

よくある質問

Q. 年末年始無災害運動は法律上の義務ですか?

A. 中災防が主唱し、厚生労働省が後援する運動で、実施者は各事業場です。運動への参加そのものを定めた法律はありません。ただし要領が挙げる実施事項には、作業前の点検や保護具の整備など、法令や社内の基準で求められている内容と重なるものがあります。

Q. 令和8年度の期間と標語は?

A. 期間は2026年12月1日から2027年1月15日までです。中災防の第42回安全衛生標語の入賞作品では、年末年始の標語として「年末年始 はやる気持ちに一呼吸 家族の顔を思いつつ」が載っています。令和8年度の実施要領は、2026年10月7日の時点ではまだ掲載されていませんでした。

Q. 栃木の労働災害の最新の数字はどこで見られますか?

A. 栃木労働局の「労働災害発生状況・死亡災害発生事例」のページに、署別・業種別、事故の型別、第3次産業、死亡災害の事例がPDFで載っています。この記事の数字は令和8年8月末の集計です。

Q. 従業員10人ほどの会社は何から始めればいいですか?

A. 経営トップの方針表明、転倒と腰痛の対策、年始の作業再開時の安全確認の3つから始めます。転倒は県内で最も多い事故の型で、栃木労働局の転倒予防体操と腰痛予防体操は朝礼で使えます。

Q. ポスターやのぼりはどこで手に入りますか?

A. 中災防は主唱者の実施事項として、ポスターやのぼりなどの頒布を挙げています。栃木労働局の独自運動のリーフレットは、労働局のページからダウンロードできます。

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参考・出典

数字は2026年10月7日に、次の公表資料で確認しました。