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栃木の観光統計の読み方|秋の準備に使う3つの数字

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栃木の観光統計の読み方|秋の準備に使う3つの数字

この記事の要点

栃木県が毎年公表する観光統計は、観光客入込数・観光客宿泊数・外国人宿泊数の3つに分かれていて、それぞれ数えているものも調べ方も違います。令和7(2025)年の入込数は9,076.2万人、宿泊数は延べ872.9万人、外国人宿泊数は延べ32.8万人でした。秋の準備で見るべきなのは全体の合計ではなく、月別と市町別です。入込数は8月に次いで11月が多く、宿泊数は8月の次が10月・11月です。自社の予約や売上と同じ粒度に揃えてから並べると、人を厚くする週と多言語の優先言語が決まります。生成AIは、公表値を自社の表に写した後の要約・比較文・説明資料の下書きには使えますが、宿泊者名簿や予約者の個人情報は入れません。

栃木県の観光統計は3つの数字でできている

栃木県産業労働観光部観光交流課は、毎年「栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」を公表しています(栃木県「栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。ここに載っている数字は3種類あり、混ぜて使うと話が合わなくなります。

入込数、宿泊数、外国人宿泊数の3層を上から積み、各層に数える対象のラベルを置いた図
入込数・宿泊数・外国人宿泊数は数えている対象が違う3つの層

入込数|観光地点を訪れた人の延べ数

観光客入込数は、県内各市町を訪れた観光客について各市町が推計し、報告のあったものを県が分類集計したものです。市町管内で観光を目的とした入込が年間1,000人以上ある地点が対象で、自然、文化・歴史、産業観光、スポーツ・レクリエーション施設、温泉、買物・食、行祭事・イベント、その他の8分類に分けられています(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

対象から外れるものも決まっています。パチンコ店やボウリング場などの都市レジャー施設、地元住民の利用が大半を占める飲食店・販売店、風俗営業店、コンサートなどの興行は、市町が観光利用の対象として扱っている場合を除いて含みません。「県内で人が動いた総数」ではないという前提を押さえておきます。

宿泊数|延べ人泊で数える

観光客宿泊数は、市町管内の全宿泊施設が対象です。管理者が明確で常駐しており、毎日の利用者数を確実に把握でき、清掃などのサービスを営利目的で提供する施設が対象になります。ホテル・旅館、民宿・ペンション等、ユースホステル、公共宿泊施設、キャンプ場の5分類です。平成30(2018)年6月15日の住宅宿泊事業法の施行にともない、同年6月から民泊施設も調査対象に加わりました(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

外国人宿泊数|別立ての調査

外国人宿泊数は、外国人宿泊者数を調べることで本県を訪れる外国人観光客の動向を把握するための、別の調査です。県の資料には、観光客宿泊数にも外国人宿泊数は含まれるが、調査方法が異なるため、観光客宿泊数に含まれる外国人宿泊数と外国人宿泊数調査による外国人宿泊数は一致しないことがある、と明記されています(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。「外国人比率」を自分で割り算して出すときは、どちらの数字から作ったかを資料に残してください。

令和7年の全体像|3つの数字はそろって同じ方向を向いていない

入込数はコロナ前に届いていない

令和7(2025)年の観光客入込数は9,076.2万人で、前年と比較して78.8万人の増(100.9%)となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元(2019)年比では98.4%でした(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。増えてはいるが、まだ戻り切っていない、という位置です。

令和元年の基準線を挟んで、入込数が下、宿泊数と外国人宿泊数が上に置かれた対比の図
入込数だけが令和元年に届かず、宿泊数と外国人宿泊数は令和元年を超えた

宿泊数と外国人宿泊数はコロナ前を超えた

一方、観光客宿泊数は延べ872.9万人で、前年比42.5万人の増(105.1%)、令和元年比では105.7%でした。外国人宿泊数は延べ32.8万人で過去最高を更新し、前年比4.9万人の増(117.4%)、令和元年比132.7%です(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

日帰りを含む入込はコロナ前に届かず、泊まる人と外国人の泊まりはコロナ前を超えている。この3つを1枚の表にすると、次のようになります。

指標 令和7(2025)年 前年比 令和元(2019)年比
観光客入込数 9,076.2万人 100.9% 98.4%
観光客宿泊数 延べ872.9万人 105.1% 105.7%
外国人宿泊数 延べ32.8万人 117.4% 132.7%

宿泊施設にとっては「うちの稼働は戻った」という実感と合いやすく、日帰り客を相手にする物販や飲食にとっては「まだ戻っていない」という実感と合いやすい数字です。同じ県内でも、この3つのどれを自社の商売の代理指標にするかで景色が変わります。

秋の準備に使う|10月と11月に何が起きているか

入込は8月の次に11月が多い

月別にみると、入込数は夏休みの行楽シーズンである8月が最も多く1,114.5万人(対前年比102.5%)、次いで11月の945.9万人、5月の830.3万人、10月の804.2万人の順でした。また、9月(対前年比109.9%)、11月(対前年比107.9%)など、7つの月において前年を上回っています(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

8月を最上段とし、11月、5月、10月の順に下がる4段の階段に、それぞれの入込数を並べた図
入込数の多い月は8月、11月、5月、10月の順

11月が5月・10月を上回って年間2位に入るのは、栃木の観光の形をよく表しています。紅葉期の県北・県西は、夏休みに次ぐ山になります。

宿泊は10月・11月が8月に次ぐ

宿泊数も月別にみると8月が最も多く105.3万人(対前年比103.8%)、次いで10月の85.2万人、11月の84.5万人の順です。しかも、すべての月で前年同月を上回りました(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

入込の年間2位が11月で、宿泊の年間2位が10月という並びの差も、そのまま準備の差になります。10月は泊まりの比重が相対的に高く、11月は日帰りを含めた人出そのものが増える、という読み方ができます。

県が挙げた上位の月の早見表

県の資料が概要で挙げている上位の月だけを抜き出すと、次のとおりです。ここに出ていない月の値は、同じ資料の参考資料編の月別表で確認してください。

指標 1位 2位 3位 4位
入込数 8月 1,114.5万人 11月 945.9万人 5月 830.3万人 10月 804.2万人
宿泊数 8月 105.3万人 10月 85.2万人 11月 84.5万人 -

この2行を自社のカレンダーの上に置いて、去年の自社の予約数・客数・売上を同じ月で並べます。県の山と自社の山がずれている場合、そのずれが商圏や客層の違いであり、打ち手を考える場所です。

市町別で見る|入込は宇都宮、宿泊と外国人は日光

入込の上位は宇都宮市

市町別にみると、入込数は宇都宮市の1,546.8万人(県全体に占める構成比17.0%)が最も多く、次いで日光市の1,073.5万人、那須塩原市の830.6万人、佐野市の748.1万人、栃木市の599.7万人の順でした。前年と比較すると、真岡市が63.3万人の増、那須塩原市が59.4万人の増、日光市が54.4万人の増、矢板市が20.6万人の増となるなど、13市町で増加しています(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

入込数、宿泊数、外国人宿泊数の3つの箱から、それぞれ宇都宮市と日光市の箱へ矢印が向かう図
指標ごとに1位の市町が入れ替わる

宿泊の上位は日光市

宿泊数は日光市の310.8万人(構成比35.6%)が最も多く、次いで那須町の208.5万人、宇都宮市の193.1万人、那須塩原市の83.4万人の順です。前年と比較すると、日光市が16.7万人の増、那須塩原市が7.5万人の増となるなど、18市町で増加しました。分類別にみると旅館・ホテルの利用者が589.5万人と最も多く、県全体に占める構成比は67.5%です(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

外国人宿泊は日光市が過半

外国人宿泊数は日光市の18.3万人(構成比55.9%)が最も多く、次いで宇都宮市が7.9万人、那珂川町が1.8万人、那須町が1.5万人です。前年と比較すると日光市が2.2万人の増、宇都宮市が1.7万人の増となるなど、17市町で前年を上回りました。国・地域別内訳は、台湾、中国、韓国、米国、タイの順に多く、前年との比較では韓国が1.3万人の増、中国が0.8万人の増、フランスが0.3万人の増、米国が0.3万人の増、一方で台湾が0.3万人の減、香港が0.3万人の減、タイが0.2万人の減となりました(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

多言語対応をどの言語から手を付けるかは、この順番がそのまま答えになります。全言語を一度にそろえるより、上位の言語の案内文と館内表示を先に確かめるほうが早く効きます。県内の多言語対応の進め方は「栃木の観光業向け生成AI多言語対応4手順」で扱っています。

日光国立公園と県立自然公園は分けて見る

区分ごとの入込と宿泊

県の資料は、日光国立公園(日光市、矢板市、那須塩原市の一部、那須町、塩谷町)と8つの区域からなる県立自然公園に分けた集計も出しています。日光国立公園の入込数は1,268.0万人(対前年比105.1%)で前年比61.0万人の増、宿泊数は531.9万人(対前年比105.1%)で26.0万人の増でした。県立自然公園の入込数は595.6万人(対前年比100.6%)で3.3万人の増、宿泊数は6.9万人(対前年比136.1%)で1.8万人の増です(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。

自社の拠点がどちらに入るかを先に確かめる

日光国立公園は栃木・福島・群馬の3県にまたがる国立公園で、区域や施設の情報は環境省のページで確認できます(環境省「日光国立公園」)。自社の拠点がこの区域に入るかどうかで、秋の山の高さも、客層も変わります。区域に入っている事業者は、県全体の平均ではなくこの区分の数字を基準線にしてください。

分類別でも増減は割れている

分類別の入込数をみると、買い物・食、スポーツ・レクリエーション施設、文化・歴史の順に多く、前年と比較すると買い物・食および自然の分類が減少しています。県全体が微増でも、分類によっては減っているということです。物販や飲食で表示・表現を見直すときの注意点は「小売・卸売業の生成AI活用と景品表示法」で扱っています。

自社の数字と県の数字を突き合わせる手順

4つの段階で表に落とす

県の数字をそのまま資料に貼っても、自社の判断材料にはなりません。次の順で自社の表に落とします。

月別実績、県の公表値、ずれ、優先順位の4つの箱を左から右へ矢印でつないだ図
自社の月別実績から始めて、県の公表値とのずれから秋の優先順位を決める4段階
  1. 自社の直近2年の月別実績(客数・予約数・売上のうち、取れているもの)を1つの表に並べる。
  2. 県の公表値から、入込数・宿泊数・外国人宿泊数の月別と、自社の所在市町の年間値を同じ表の隣の列に写す。写した行ごとに「出典ページ名と確認日」を書く。
  3. 自社の山と県の山がずれている月に印を付け、ずれの理由を書く(商圏が日帰り中心、団体が主、特定のイベント依存、など)。
  4. 秋の人員配置・仕入れ・多言語対応の優先順位を、印を付けた月から決める。

来年も同じ形で使える表にしておく

この表は、来年も同じ形で更新できます。毎年つくり直すのではなく、行を足していく形にしておくと、3年目から傾向が見えます。人手が限られる体制でこうした作業を回す進め方は「栃木の小規模事業者向け生成AI」に、繁忙期の増員に向けた求人文書の整え方は「求人票と採用文書の生成AI活用6場面」にまとめています。

統計の読み取りと資料づくりに生成AIをどこまで使うか

下書きに使ってよいこと

公表値を自分の表に写し終えたあとであれば、生成AIは次の作業の下書きに使えます。表の増減を文章にする、前年と比べた説明文を作る、社内会議用の資料の構成案を出す、上位の国・地域向けの案内文のたたき台を作る、といった作業です。県の公表値は誰でも見られる情報なので、数字そのものを貼って要約させること自体に問題はありません。

公表値の箱から、下書きに使ってよいことと入力しない情報の2つの門を通り、人が決めることの箱に至る図
公表値は下書きに使い、入力しない情報を通さず、最後は人が決める

入力しない情報

宿泊者名簿、予約者の氏名・連絡先・クレジットカード情報、従業員の個人情報、取引先との契約条件は入れません。旅館業法にもとづく宿泊者名簿は、事業者が備えて保存する義務のある記録です。要約や翻訳のために外部のサービスへ貼り付ける対象ではありません。社内でどこまで入れてよいかを一度決めておく進め方は「生成AIガイドラインの作り方」にまとめています。

人が決めること

どの月に人を厚くするか、どの言語から対応するか、いくらで売るかは、人が決めます。生成AIが出した「11月が狙い目です」という文章は、根拠になった数字を自分で確認するまでは仮説です。数字の出どころが県の公表値なのか、モデルが覚えている一般論なのかは、出力を見ただけでは区別できません。

この統計を読むときの注意点

端数処理で合計が合わないことがある

県の資料には、端数処理の関係で合計等が一致しないことがある、と注記があります。構成比を自分で計算し直すと1桁目が合わないことがありますが、原因はここです。

基準が変わった年をまたがない

集計の基準が途中で変わっている点も押さえておきます。観光客宿泊数は平成16(2004)年から宇都宮市において市街地等の宿泊施設を観光の対象に加え、これを新基準と位置づけています。また、入込数は令和5(2023)年調査から「ゴルフ場」を観光地点の小分類に新設しました(栃木県「令和7(2025)年 栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果」)。長期の推移を語るときは、基準が変わった年をまたいでいないかを確認してください。

全国や他県と比べるときは別の調査を使う

もう一つ、県の調査は各市町の推計を集めたものです。国が行う調査とは設計が違います。全国や他県と比べたいときは、観光庁の宿泊旅行統計調査を使うほうが条件をそろえやすくなります(観光庁「宿泊旅行統計調査」)。統計表そのものを検索して落とすなら、政府統計の総合窓口から探せます(総務省統計局ほか「政府統計の総合窓口(e-Stat)」)。

よくある質問

Q. 入込数と宿泊数を足すと県内の観光客の総数になりますか。

なりません。入込数は観光地点への入込の延べ数、宿泊数は延べ人泊で、数えている対象も単位も違います。足し算はできない数字です。

Q. 外国人宿泊数の構成比を、宿泊数で割って出してよいですか。

県の資料に、調査方法が異なるため、観光客宿泊数に含まれる外国人宿泊数と外国人宿泊数調査による外国人宿泊数は一致しないことがある、と書かれています。割り算はできますが、参考値として扱い、資料には両方の出典を書いてください。

Q. 自社の市町の数字はどこで見られますか。

県の調査結果の資料に、市町村別・月別の表が参考資料として載っています。旧市町村単位まで分かれているので、合併前の地区ごとに見ることもできます。

Q. 秋の準備はいつから始めればよいですか。

県の公表値では、入込数の年間2位が11月、宿泊数の年間2位が10月です。人員・仕入れ・多言語の案内文は、その月に入ってからでは間に合いません。前年の自社実績と県の月別を並べる作業を先に済ませ、人の手配から順に決めてください。

Q. 生成AIに県のPDFをそのまま読ませてもよいですか。

公表資料なので、読ませること自体は問題ありません。ただし、PDFから数字を読み取らせた結果をそのまま資料に載せるのは避けてください。桁や年次の取り違えが起きます。数字は人が原本から写し、生成AIには文章化だけを任せる分担にします。

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参考・出典