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栃木の法人企業景気予測調査の読み方|BSIの早見表と回答の手順

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栃木の法人企業景気予測調査の読み方|BSIの早見表と回答の手順

この記事の要点

財務省関東財務局の宇都宮財務事務所が2026年9月11日に公表した法人企業景気予測調査(令和8年7~9月期・栃木県分)では、企業の景況判断BSI(全規模・全産業)が▲3.2でした。前回の4~6月期の▲5.7から「下降」超幅が縮小しています。10~12月期の見通しは4.0の「上昇」超、令和9年1~3月期は▲4.0の見通しです。

9月末の従業員数判断BSIは25.8の「不足気味」超で、12月末は28.2の見通しです。規模別では、中小企業の景況判断が▲8.5、令和8年度の経常利益が前年比49.0%の減益見込みと、大企業・中堅企業との差が目立ちます(公表資料(PDF))。

次の10~12月期調査は、調査時点が11月15日、調査の実施時期が10月下旬~11月下旬です(財務省「調査の概要」)。数字は2026年10月7日に、宇都宮財務事務所と財務省の公表資料で確認しました。

法人企業景気予測調査とは|財務省と内閣府が年4回行う経営者の判断の調査

調査の目的と対象

財務省「法人企業景気予測調査 調査の概要」によると、この調査は企業活動を把握して、経済の現状と今後の見通しに関する基礎資料を得るために行われています。内閣府の「法人企業動向調査」と財務省の「財務省景気予測調査」を一元化し、平成16年度から両府省の共管で始まった、統計法に基づく一般統計調査です。

上に財務省と内閣府、中央に法人企業景気予測調査、左右に一般統計調査と資本金1千万円以上、下に宇都宮財務事務所と栃木県分を置いた図
財務省と内閣府の共管の一般統計調査で、栃木県分は宇都宮財務事務所がまとめる

対象は資本金1千万円以上の法人で、電気・ガス・水道業と金融業、保険業は資本金1億円以上です。全国で約16,000社を標本として抽出しています(財務省「調査の概要」)。政府統計の総合窓口(e-Stat)でも、調査の情報と結果を確認できます。

栃木県分は宇都宮財務事務所がまとめる

栃木県分は、栃木県に所在する資本金1千万円以上の法人から、法人企業統計四半期別調査の対象法人などを選んで調べています。資本金30億円以上の法人は全数が対象です。令和8年7~9月期の公表資料(PDF)によると、対象146社のうち126社が回答し、回収率は86.3%でした。

区分 対象法人数 回答法人数 回収率
大企業(資本金10億円以上) 28社 27社 96.4%
中堅企業(資本金1億円以上10億円未満) 34社 28社 82.4%
中小企業(資本金1千万円以上1億円未満) 84社 71社 84.5%
製造業 57社 55社 96.5%
非製造業 89社 71社 79.8%
合計 146社 126社 86.3%

全国分は標本の結果から母集団全体を推計していますが、栃木県分は法人企業統計の業種分類による単純集計です。回答した会社の数が限られるため、数社の回答の変化でも数字が動きやすいことを前提に読みます。

調査の時期と公表の目安

財務省の調査時期一覧は次のとおりです。公表時期は全国分の目安です。

調査期 調査時期 調査時点 公表時期
4~6月期 4月下旬~6月上旬 5月15日 6月15日前後
7~9月期 7月下旬~8月下旬 8月15日 9月10日前後
10~12月期 10月下旬~11月下旬 11月15日 12月10日前後
1~3月期 1月下旬~3月上旬 2月15日 3月15日前後

令和8年7~9月期の栃木県分は、2026年9月11日に公表されました。

BSIの読み方|「上昇」と答えた会社の割合から「下降」の割合を引いた数

計算のしかた

BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)は、前の期と比べた変化の方向について、回答した会社の構成比から計算します。宇都宮財務事務所の公表資料(PDF)にある例では、「上昇」が40.0%、「不変」が25.0%、「下降」が30.0%、「不明」が5.0%のとき、BSIは40.0-30.0=10.0%ポイントです。

100%の横帯を上昇・不変・下降・不明の4区分に分け、上昇から下降を引いて10.0%ポイントになることを示した図
上昇40.0%、不変25.0%、下降30.0%、不明5.0%のとき、BSIは10.0%ポイント

項目によって、引き算する選択肢が変わります。

BSI 計算 プラスのときの呼び方
企業の景況判断BSI 前の四半期と比べて「上昇」-「下降」 「上昇」超
従業員数判断BSI 四半期末の「不足気味」-「過剰気味」 「不足気味」超
設備判断BSI 四半期末の「不足」-「過大」 「不足」超

景況判断BSIがマイナスのときは「下降」超、0のときは均衡と呼びます。

水準ではなく、前の期と比べた方向を聞いている

企業の景況判断BSIは、景気がよいか悪いかの水準ではなく、前の四半期と比べて上向いたか下向いたかの方向を聞いた結果です。マイナスでも、前回よりマイナス幅が小さくなっていれば「下降」超幅の縮小と読みます。

かっこ内の数字は前回調査の値

公表資料の表では、かっこ内に前回(4~6月期)調査の結果が並んでいます。7~9月期の欄のかっこは、前回の調査で各社が見込んでいた値です。全規模・全産業の景況判断は、前回の調査では7~9月期を▲4.9と見込んでいて、今回の現状判断は▲3.2でした(公表資料(PDF)の表1)。

栃木県分の早見表|令和8年7~9月期の景況・雇用・設備

企業の景況判断BSI

公表資料(PDF)の表1から作りました。単位は%ポイントです。4~6月期は前回調査の現状判断、7~9月期は今回の現状判断、10~12月期と令和9年1~3月期は今回の見通しです。

左の列が4~6月期(前回)、右の列が7~9月期(現状)で、全規模・全産業と中小企業の2行の値を矢印で比べた図
企業の景況判断BSIは、全規模・全産業で▲5.7から▲3.2、中小企業で▲10.3から▲8.5
区分 4~6月期(前回) 7~9月期(現状) 10~12月期(見通し) 令和9年1~3月期(見通し)
全規模・全産業 ▲5.7 ▲3.2 4.0 ▲4.0
大企業 ▲3.8 0.0 0.0 3.7
中堅企業 3.6 7.1 10.7 ▲3.6
中小企業 ▲10.3 ▲8.5 2.8 ▲7.0
製造業 2.0 0.0 7.3 ▲5.5
非製造業 ▲11.3 ▲5.6 1.4 ▲2.8

製造業は「上昇」超から均衡になりました。中小企業は10~12月期に「上昇」超に転じるものの、1~3月期に再び「下降」超に転じる見通しです。

従業員数判断BSI

同じ資料の表4から作りました。単位は%ポイントです。

区分 6月末(前回) 9月末(現状) 12月末(見通し) 令和9年3月末(見通し)
全規模・全産業 27.0 25.8 28.2 22.6
大企業 30.8 25.9 25.9 22.2
中堅企業 28.6 32.1 35.7 32.1
中小企業 25.0 23.2 26.1 18.8
製造業 15.7 16.4 20.0 16.4
非製造業 35.2 33.3 34.8 27.5

大企業・中堅企業・中小企業のいずれも、先行きは「不足気味」超で推移する見通しです。非製造業は9月末で33.3と、製造業の16.4より不足感が強く出ています(公表資料(PDF)の表4)。

設備判断BSIと国内の景況判断BSI

9月末の設備判断BSIは、全規模・全産業で5.7の「不足」超でした(6月末は10.7)。中小企業は0.0の均衡で、12月末に2.9の「不足」超になる見通しです(公表資料(PDF)の表6)。

国内の景況判断BSIは、全規模・全産業で▲6.5でした。前回の▲16.4から「下降」超幅が縮小し、10~12月期は4.0の見通しです。中小企業は▲10.1で、先行きも「下降」超で推移する見通しです(公表資料(PDF)の表5)。

令和8年度の売上高・経常利益・設備投資|中小企業は減益と投資減の見込み

規模別・業種別の前年比

公表資料(PDF)の表3から、令和8年度の見込みを前年比の増減率(%)で示します。売上高と経常利益は電気・ガス・水道業と金融業、保険業を除き、設備投資は土地購入額を除いてソフトウェア投資額を含みます。

区分 売上高 経常利益 設備投資
全規模・全産業 4.6 2.4 8.4
大企業 4.3 6.5 12.2
中堅企業 7.1 ▲12.1 ▲1.1
中小企業 ▲0.7 ▲49.0 ▲55.0
製造業 7.5 4.6 9.2
非製造業 2.3 ▲2.7 6.2

全規模・全産業の経常利益は、前回調査の▲4.2から2.4の増益見込みに変わりました。設備投資は前回の18.0から8.4に見込みが下がっています(同じ表3のかっこ内が前回調査の値です)。

景況を動かした要因

景況判断の決定要因(10項目から3項目以内の複数回答・公表資料(PDF)の表2)をみると、全規模・全産業の7~9月期で「上昇」と答えた会社のうち95.7%が国内需要(売上)、47.8%が販売価格を挙げました。「下降」と答えた会社では、国内需要(売上)が79.3%、仕入価格が58.6%、仕入以外のコストが48.3%です。

中小企業の数字は回答社数を踏まえて読む

中小企業の経常利益▲49.0%、設備投資▲55.0%は大きな落ち込みに見えます。栃木県分は回答した会社の数字の単純集計で、中小企業の回答は71社です。金額の大きい会社の増減が率を大きく動かすことがあるため、県内の中小企業の利益が一律に半分になるという意味ではありません。前回調査でも、中小企業の経常利益は▲40.7%、設備投資は▲52.7%の見込みでした(公表資料(PDF)の表3)。

人手不足と設備投資の対象|中小企業は「人件費の上昇」と「ソフトウェア」が最多

人手不足が会社経営に与える影響

今回の調査では、人手不足が会社経営に与える影響(1社3項目以内の複数回答)も聞いています。公表資料(PDF)の表8から、全規模・全産業と中小企業の回答社数構成比を並べます。

左のパネルに人手不足が会社経営に与える影響として賃上げに伴う人件費の上昇53.3%と業務負担・勤務時間の増加43.3%、右のパネルに設備投資の対象としてソフトウェア47.2%を置いた図
中小企業の回答:人手不足が会社経営に与える影響と、設備投資の対象で最も多い項目
影響 全規模・全産業 中小企業
業務負担・勤務時間の増加 53.6% 43.3%
賃上げに伴う人件費の上昇 49.1% 53.3%
技術伝承・人材育成の停滞 37.3% 36.7%
採用コストの増加 35.5% 31.7%
受注量・生産量の制限 34.5% 43.3%
サービス・品質の低下 26.4% 30.0%
無人化・省力化投資の増加 10.9% 5.0%
事業の縮小・撤退 6.4% 10.0%
特になし 10.0% 13.3%

全規模・全産業では「業務負担・勤務時間の増加」が最も多く、中小企業では「賃上げに伴う人件費の上昇」が最も多くなりました。業種別では、製造業は「賃上げに伴う人件費の上昇」(50.0%)、非製造業は「業務負担・勤務時間の増加」(57.8%)が最多です(同じ表8)。

設備投資の対象

今年度の設備投資の対象(1社3項目以内の複数回答・公表資料(PDF)の表7)は、全規模・全産業で「生産・販売等の機械及び装置」が52.0%、「ソフトウェア」が44.1%、「工具、器具及び備品」が39.2%の順でした。中小企業では「ソフトウェア」が47.2%で最も多く、非製造業も「ソフトウェア」が54.4%で最多です。製造業は「生産・販売等の機械及び装置」が77.8%でした。

数字から考える打ち手

業務負担の増加と人件費の上昇が同時に挙がる状況では、書類づくりや問い合わせ対応のような事務の時間を減らす取り組みが候補になります。ソフトウェアへの投資を考えるときは、どの業務の時間を減らすのかを先に決めておくと、ツール選びで迷いにくくなります。比べる観点は生成AIツール比較の6軸、国の補助金の使い方は栃木県の中小企業向けAI導入補助金・支援制度まとめ、賃上げの支援制度は栃木の賃上げ支援金と助成金の早見表で確認できます。

生成AIで結果を読む手順|表の行だけを渡し、数字は原表で確かめる

公表資料は渡してよい、自社の回答は渡さない

宇都宮財務事務所の公表資料は公開情報なので、要約や比較の下書きに生成AIを使えます。一方、自社が調査票に書いた売上高や経常利益の金額は、社外に出していない情報です。生成AIに入力してよい情報の線引きは、生成AIガイドラインの作り方を参考に社内で決めておきます。

PDFを丸ごと渡さず、表の行を貼る

PDFの表は、読み取りの途中で列がずれることがあります。数字を読ませたい表の行だけを文字で貼り、表にない数字を使わないよう指示します。

次の表は、財務省 宇都宮財務事務所「法人企業景気予測調査(令和8年7~9月期・栃木県分)」の企業の景況判断BSIです(単位:%ポイント)。
前回からの変化を、規模別に3行で要約してください。
・表にある数字だけを使い、表にない数字や理由は書かない
・▲はマイナスの意味です
・見通しの数字は「見通し」と明記する
[ここに表の行を貼る]

人が確かめる3つの点

1つ目は▲(マイナス)の付け忘れ、2つ目はかっこ内の前回値と今回の現状判断の取り違え、3つ目は見通しを実績のように書いていないかです。要約を社内資料に使う前に、公表資料の表と1つずつ突き合わせます。

調査票が届いたら|回答の方法と準備する数字

回答は郵送かオンライン

財務省の説明では、調査は調査票による郵送またはオンラインで行い、調査対象の法人が自分で記入します。全国の財務局や財務事務所を経由して実施していて、栃木県分の問い合わせ先は宇都宮財務事務所です。10~12月期調査は、調査時期が10月下旬~11月下旬、調査時点が11月15日です。

調査票から計数調査項目、判断調査項目、郵送またはオンラインへ左から右に進む4段の流れ図
調査票が届いたら、経理の担当者が計数調査項目、経営者が判断調査項目を用意し、郵送またはオンラインで回答する

回答の義務と秘密の保護

統計法で報告の義務(第13条)と、報告を拒んだときの罰則(第61条)が定められているのは基幹統計調査です。法人企業景気予測調査は一般統計調査なので、この義務と罰則の対象ではありません。ただ、結果は経済の現状と見通しの基礎資料として使われ、財務省が公開している調査票の様式(PDF)にも、提出期限への協力を求める記載があります。

財務省は、統計法により調査に携わる者には調査上知り得た事項の秘密を守ることが義務付けられていること、回収した調査票は厳重に管理し、一定期間保管したあとに溶解処分等をしていることを説明しています。

準備する数字と判断項目

財務省「調査の概要」によると、調査票は判断調査項目と計数調査項目に分かれています。計数調査項目は、売上高、経常利益、新規設備投資額、そのうちの土地購入額、ソフトウエア投資額で、実績・実績見込み・見通し(設備投資は計画)の金額を書きます。判断調査項目は、自社の景況、国内の景況、売上高、経常利益、販売価格、仕入れ価格、在庫、資金繰り、金融機関の融資態度、設備、従業員数などを、選択肢から選びます。10~12月期調査では、来年度の企業収益・設備投資の見通しも聞かれます。

社内の段取り

経理の担当者が月次の試算表と年度の計画から金額を下書きし、経営者が景況や従業員数の判断を選ぶ、という分担にすると短い時間で回答できます。調査票の様式(PDF)では、判断調査は季節的要因を除いた実勢で答えるよう求めています。選択肢には「不明」もあります。

県内の相談先と関連する統計

調査の問い合わせは宇都宮財務事務所

栃木県分の結果と調査の問い合わせ先は、宇都宮財務事務所 財務課です。公表資料(PDF)の表紙に、電話番号 028-346-6301(ダイヤルイン)が載っています。

県内の数字とあわせて読む

採用の環境は栃木労働局の有効求人倍率、賃金と労働時間は県の毎月勤労統計と組み合わせると、BSIの「不足気味」超が自社の採用や賃金にどう表れているかを確かめやすくなります。読み方は栃木の有効求人倍率の読み方と栃木の賃金・労働時間データの読み方で解説しています。

業務の見直しやAI活用の相談

人手不足を受けて業務の見直しや生成AIの活用を考えるときは、栃木県産業振興センターが運営するとちぎビジネスAIセンターに相談できます。県内のものづくりでは、栃木県が「とちぎ医療福祉機器産業振興協議会」を設けるなど、業種ごとの支援の場もあります。

よくある質問

Q. BSIがマイナスなら、栃木の景気は悪いということですか?

A. BSIは、前の四半期と比べて上向いたか下向いたかの方向を聞いた結果で、景気の水準そのものではありません。令和8年7~9月期の▲3.2は、「下降」と答えた会社が「上昇」と答えた会社より多かったことを示します。前回の▲5.7からはマイナス幅が縮小しています。

Q. 調査票が届きました。回答しないといけませんか?

A. 法人企業景気予測調査は統計法に基づく一般統計調査で、基幹統計調査のような報告の義務と罰則の対象ではありません。ただ、結果は経済の現状と見通しの基礎資料に使われるため、協力が求められています。回答は郵送かオンラインで行い、調査に携わる人には秘密を守る義務があります。

Q. 栃木県分と全国分はどう違いますか?

A. 全国分は標本の結果から母集団全体を推計しています。栃木県分は県内の回答を単純集計したもので、令和8年7~9月期の回答は126社です。数社の回答の変化でも数字が動きやすい点に注意して読みます。

Q. 次の結果はいつ公表されますか?

A. 10~12月期調査は調査時点が11月15日で、全国分の公表時期は12月10日前後とされています。令和8年7~9月期の栃木県分は、2026年9月11日に宇都宮財務事務所が公表しました。

Q. 中小企業の経常利益▲49.0%は、県内の中小企業の利益が半分になるという意味ですか?

A. そういう意味ではありません。栃木県分は回答した71社の数字の単純集計で、金額の大きい会社の増減が率を大きく動かすことがあります。前回調査でも▲40.7%の見込みでした。自社の判断には、規模・業種の近い区分の数字と、有効求人倍率など別の統計もあわせて使います。

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参考・出典

数字は2026年10月7日に、次の公表資料で確認しました。