この記事の要点
- 栃木県は2026年9月16日に「令和8年地価調査」を公表しました。価格の基準日は2026年7月1日で、県内25市町の447地点が対象です(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。
- 県全体の全用途平均は0.2%で、前年の▲0.2%から上昇に転じました。県はこれを平成4年以来34年ぶりの上昇と説明しています。
- 用途別は住宅地0.0%、宅地見込地▲0.3%、商業地0.3%、工業地4.0%です(同あらまし表4)。用途ごとに動いている方向が違います。
- 継続して調査した433地点の内訳は、上昇188地点(43.4%)、横ばい51地点(11.8%)、下落194地点(44.8%)です(同あらまし)。県平均だけを見ると自社の周りの動きを読み違えます。
- 全用途の市町別では小山市1.8%・宇都宮市1.7%が上位、那須烏山市▲2.7%・茂木町▲2.6%が下位でした(同あらまし参考2)。
- 生成AIに読ませるときは、県が公表したPDFの表をそのまま渡し、出てきた数字は最後にPDFで突き合わせます。
栃木県の地価調査とは|地価公示との違いを先に押さえる
地価の話は「公示地価」「基準地価」「路線価」が混ざって出てくるため、どの数字の話をしているのかを先に決めないと会話が噛み合いません。9月に県が公表するのは地価調査(基準地価)です。

基準日と公表日が違う
地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、知事が毎年7月1日を基準日として土地の標準価格を調査し公表するものです。令和8年の公表日は2026年9月16日でした。一方の地価公示は国土交通省土地鑑定委員会が1月1日を基準日として行い、令和8年分は2026年3月18日に公表されています(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」表1)。
| 項目 | 地価調査(基準地価) | 地価公示(公示地価) |
|---|---|---|
| 調査主体 | 都道府県知事 | 国土交通省土地鑑定委員会 |
| 価格判定の基準日 | 7月1日 | 1月1日 |
| 令和8年の公表日 | 2026年9月16日 | 2026年3月18日 |
| 県内の調査地点数 | 447地点(基準地) | 466地点(標準地) |
| 調査対象区域 | 県内全域(国公有林地を除く) | 公示区域(主に都市計画区域) |
調べている場所の範囲が違う
地価調査は県内全域が対象で、地価公示の対象区域である公示区域(主に都市計画区域)の外も調べています。都市計画区域外に工場や倉庫、資材置場を持っている事業者にとっては、3月の公示地価より9月の地価調査のほうが自社の足元に近い数字になることがあります。
令和8年の県内447地点の用途別内訳は、住宅地308地点、宅地見込地11地点、商業地103地点、工業地13地点(小計435地点)、林地12地点です(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。工業地は13地点しかないため、県全体の工業地の変動率は少数の工業団地の動きに強く影響されると理解しておくのが安全です。
令和8年の栃木県の数字|用途別の早見表
34年ぶりに全用途が上昇に転じた
県がまとめた用途別の平均変動率は次のとおりです。すべて栃木県「令和8年地価調査のあらまし」の表4・参考1から引いています。

| 用途 | 令和8年(今回) | 令和7年(前回) | 県平均価格 |
|---|---|---|---|
| 住宅地 | 0.0% | ▲0.3% | 34,500円/㎡ |
| 宅地見込地 | ▲0.3% | ▲0.4% | 14,700円/㎡ |
| 商業地 | 0.3% | ▲0.3% | 69,500円/㎡ |
| 工業地 | 4.0% | 3.4% | 18,200円/㎡ |
| 全用途(林地を除く) | 0.2% | ▲0.2% | 41,800円/㎡ |
| 林地 | ▲1.2% | ▲1.5% | 744,100円/10a |
県の説明では、全用途平均0.2%は平成4年以来34年ぶりの上昇、住宅地0.0%は34年ぶりの下げ止まり、商業地0.3%は平成3年以来35年ぶりの上昇、工業地4.0%は5年連続の上昇で上昇率は前年より拡大しました。「県全体が上がった」と一言で片付けず、住宅地は横ばいに戻っただけ、工業地だけが強い、という三層で押さえると実務の判断を間違えにくくなります。
上がった地点と下がった地点はほぼ半分ずつ
前年と継続して調査した433地点(林地を除く)の内訳は、上昇188地点(43.4%)、横ばい51地点(11.8%)、下落194地点(44.8%)でした。前年は継続429地点のうち上昇161地点(37.5%)、下落209地点(48.7%)で、上昇地点は27地点増えています(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。
つまり令和8年の栃木県は、下落地点のほうがまだ多いまま平均がプラスに転じた年です。県は「地価は回復傾向にあるものの、都市部と過疎化が進む地域の地域間格差が拡大している」と書いています(同あらまし)。自社の所在地が上昇側か下落側かは、県平均ではなく市町別と地点別で確かめる必要があります。
市町別で見ると何が変わるか
住宅地:宇都宮市以南のJR宇都宮線沿線
住宅地で上昇したのは8市町(宇都宮市、小山市、真岡市、さくら市、下野市、上三川町、壬生町、高根沢町)、横ばいは1町(野木町)でした。下落は16市町ですが、そのうち11市町で下落率が縮小しています。県は宇都宮市以南のJR宇都宮線沿線市町や宇都宮市への通勤圏等を中心に地価が上昇し、過疎化が進む郊外や中山間地域では下落率が相対的に大きいとしています(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」参考2)。

上昇率の上位は宇都宮市1.5%と小山市1.5%が同率1位、壬生町1.1%、さくら市1.0%、下野市0.9%です。下落率の上位は那須烏山市▲2.5%と茂木町▲2.5%、日光市▲2.3%、市貝町▲2.2%、那珂川町▲2.1%でした。住宅地の最高価格は宇都宮市東宿郷3丁目の165,000円/㎡で、令和4年に基準地となってから5年連続1位です(同あらまし参考2・参考5)。
商業地:宇都宮駅周辺と小山市
商業地の上昇は5市町(宇都宮市、鹿沼市、小山市、真岡市、下野市)、横ばいは1市(さくら市)、下落は17市町でそのうち12市町が下落率を縮小させました。上昇率は小山市2.4%が2年連続1位、宇都宮市2.2%、下野市1.4%、鹿沼市1.1%、真岡市0.5%と続きます(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」参考3)。
県は、JR宇都宮駅西口及び大通り周辺ではLRTの延伸計画や複数の再開発事業等が価格上昇に影響したと説明しています。商業地の最高価格は宇都宮市東宿郷1丁目の439,000円/㎡で、宇都宮市の商業地の平均価格は154,500円/㎡、県平均は69,500円/㎡です(同あらまし参考3・参考5)。同じ「商業地」でも駅前と郡部で桁が違うため、賃料や出退店の話をするときは県平均を持ち出さないほうが通ります。
工業地:県南・県央の工業団地
工業地の県平均は4.0%で、上昇率は前年より0.6ポイント拡大しました。県は、都心から60〜100km圏の県南及び県央部の工業団地は上昇が継続し、県北の工業団地は横ばい傾向が続いているとしています(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。
市町別の上昇率は小山市6.4%、芳賀町6.3%、鹿沼市5.6%、佐野市5.4%、上三川町5.3%、足利市5.2%、栃木市4.8%、宇都宮市4.3%、真岡市4.0%です。工業地の最高価格は宇都宮市平出町の29,300円/㎡で、平成17年から22年連続1位でした(同あらまし参考4・参考5)。県は自動車・航空産業の集積を進めており、上三川町には日産自動車の栃木工場、芳賀町にはホンダの四輪R&Dセンターがあり、真岡市では次世代燃料電池の工場が2027年度の稼働を予定しています(栃木県「企業立地」)。上昇率の高い市町と、こうした自動車関連の立地はおおむね重なります。自動車部品や食品の工場、物流施設の用地を探している場合、栃木県内は「県北は横ばい、県南・県央は5%前後の上昇」という前提で予算を組むことになります。
全用途でまとめた市町別の順位は、上位が小山市1.8%、宇都宮市1.7%、下野市1.0%、上三川町1.0%、壬生町0.9%、下位が那須烏山市▲2.7%、茂木町▲2.6%、那珂川町▲2.3%、市貝町▲2.2%です(同あらまし参考2)。
同じ県内で逆に動く|区域区分で見る早見表
住宅地は市街化区域だけが上昇している
県平均より実務に効くのが、都市計画区域の区分別の数字です。住宅地は市街化区域が上昇、それ以外は下落と、同じ県内で方向が逆になっています(以下いずれも栃木県「令和8年地価調査のあらまし」から)。

| 区域区分(住宅地) | 基準地数 | 平均価格 | 平均変動率 |
|---|---|---|---|
| 市街化区域 | 184地点 | 47,100円/㎡ | 0.8% |
| 市街化調整区域 | 48地点 | 16,300円/㎡ | ▲1.0% |
| 非線引都市計画区域 | 65地点 | 16,800円/㎡ | ▲1.1% |
| 都市計画区域外 | 11地点 | 7,800円/㎡ | ▲1.9% |
自社の土地がどの区分かを先に確かめる
商業地も市街化区域は89,200円/㎡で1.0%の上昇、非線引都市計画区域は31,000円/㎡で▲0.9%、都市計画区域外は14,800円/㎡で▲2.6%と分かれます。工業地は市街化区域が20,900円/㎡で5.2%の上昇、非線引都市計画区域は9,100円/㎡で0.0%でした(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。
自社の土地がどの区分かは、市町の都市計画課や都市計画図で確認できます。地価の話を社内でするときは「県が0.2%上がった」ではなく「自社は市街化調整区域なので県の平均とは逆方向」まで落とすと、賃料交渉や資産の見直しの判断材料になります。
4つの地価の使い分け|公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額
4つの価格はそれぞれ目的が違う
土地には目的の違う価格が並んで存在します。混ぜると社内の議論が噛み合わないので、使う場面で切り分けます。

- 公示地価:国土交通省が1月1日時点で公表。令和8年分は2026年3月18日公表で県内466地点。県内の全用途平均は0.1%で、前年の▲0.1%から上昇に転じ、地価上昇地点は前年から12地点増えて185地点でした(栃木県「令和8年地価公示について」)。
- 基準地価(地価調査):県が7月1日時点で公表。一般の土地取引価格の指標となるほか、国土利用計画法に基づく土地価格算定の規準になります。半年ずれた最新の動きを見るのに向きます。
- 路線価:国税庁の財産評価基準書で示され、相続税や贈与税の計算に使います(国税庁「令和8年分 財産評価基準書 栃木県(路線価図)」)。
- 固定資産税評価額:市町が決める価格で、固定資産税・都市計画税の計算に使います。自社の土地の額は納税通知書に付く課税明細書や市町の窓口で確認します。
税額の話と相場の話を分ける
地価調査の価格が上がっても、それがそのまま税額になるわけではありません。税額の話をするなら路線価と固定資産税評価額を見に行く、相場感と方向性の話をするなら公示地価と基準地価を見る、という切り分けで足ります。個別の地点の価格や位置は、国土交通省の不動産情報ライブラリでも地図から確認できます。
事業者が実務で使う3つの場面
借地・賃料の協議資料
借地の地代や店舗・倉庫の賃料改定を相談されたとき、「近隣の相場が上がったので」だけでは根拠になりません。自社の所在市町の用途別変動率と、同じ区域区分の平均価格を並べると、上げる側も据え置く側も同じ土台で話せます。栃木県のように住宅地0.0%・工業地4.0%と用途で差がある年は、どの用途の数字を使うかで結論が変わります(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」表4)。

社有地の評価と事業承継
社有地を持つ会社では、承継や株価の話が出るたびに土地の値段を聞かれます。地価調査は毎年の方向性を示す資料として使いやすく、前年と今年の2点を並べるだけで説明の形になります。引き継ぎ資料の整え方は栃木の事業承継|引き継ぎ資料を生成AIで整えるで扱っています。
工場・店舗の用地検討
用地を探す段階では、市町別の変動率の順位が使えます。工業地は小山市6.4%、芳賀町6.3%のように上昇率の高い市町があり、県北は横ばい傾向です(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」参考4)。募集価格そのものではなく「この地域は上がり続けているのか、止まったのか」を確かめる材料として見ます。なお、不動産の広告表現には別の規制があるため、物件情報を発信する場合は不動産広告に生成AIを使うと出やすい違反表現も先に押さえておくと安全です。
生成AIに地価調査を読ませる手順
手順は4つ
県のPDFは20ページあり、表が多い資料です。読む作業は生成AIに任せられますが、任せ方を決めておかないと数字が壊れます。

- 県のページから「令和8年地価調査のあらまし」のPDFを自分で取得します。要約サイトや検索結果の抜粋を渡さず、一次資料を渡します。
- 用途別平均変動率の表(表4)と市町別の表(参考2・参考3)だけを範囲指定して渡し、「自社がある市町の行を抜き出して、県平均と並べて」と頼みます。
- 前年との差を出させます。変動率は前年価格との比較なので、2年分を並べないと「上がった」「下げ止まった」の区別がつきません。
- 出てきた数字をPDFで1つずつ突き合わせます。表の行と列を取り違える誤りは、文章にすると見つけにくくなります。
同じ手順を求人統計に当てた例は栃木の有効求人倍率|統計を生成AIで読み解く手順にまとめています。
入力しないもの
公表資料の数字は入力して構いませんが、社内にしかない情報を混ぜると別の問題になります。自社の売買価格や見積り、取引先名の入った契約書、登記事項証明書の内容、借地人・入居者の氏名は入れません。相場を確かめるだけなら、公表された価格と自社の所在市町の名前だけで足ります。
社外サービスに何を入れてよいかの線引きが決まっていない場合は、生成AIを使う前に社内の確認手順を決めるほうが早いです。読ませ方や社内ルールで迷うときは、とちぎ産業振興センターが運営するとちぎビジネスAIセンターのような県内の窓口も相談先になります。県内の支援を含めた整理はとちぎデジタル戦略2026-2030|中小企業が使える支援の読み方で触れています。
あわせて読みたい
よくある質問
Q. 令和8年の栃木県の地価調査はいつ公表されましたか。
2026年9月16日です。栃木県総合政策部総合政策課が公表し、価格の基準日は2026年7月1日です。標準価格は県のホームページに掲載され、県内各市町でも基準地の価格を閲覧できます。
Q. 基準地価と公示地価はどちらを見ればよいですか。
目的で分けます。半年ずれた最新の動きと、都市計画区域外まで含めた範囲を見たいときは9月公表の地価調査(県内447地点)、1月1日時点の全国比較や公示区域内の水準を見たいときは3月公表の地価公示(県内466地点)です。
Q. 県の全用途平均が0.2%なら、自社の土地も上がっているのですか。
そうとは限りません。継続調査した433地点のうち下落は194地点(44.8%)で、上昇188地点(43.4%)とほぼ半分ずつです。住宅地の市街化区域は0.8%の上昇ですが、都市計画区域外は▲1.9%でした(栃木県「令和8年地価調査のあらまし」)。自社の市町と区域区分で確かめてください。
Q. 工業地が4.0%上がったのはなぜですか。
県は、都心から60〜100km圏の県南及び県央部の工業団地で上昇が継続し、県北の工業団地は横ばい傾向が続いていると説明しています。県内の工業地の基準地は13地点と少ないため、県平均は一部の工業団地の動きを強く受けます。
Q. 地価が上がると固定資産税も上がりますか。
地価調査の価格がそのまま税額になるわけではありません。固定資産税・都市計画税の計算に使う評価額は市町が決めるため、自社の額は納税通知書に付く課税明細書か市町の窓口で確認します。相続税や贈与税は国税庁の路線価を使います。
運営元 Uravation より自社に近い業務から着手先を選ぶ材料として、業務別の生成AI活用事例50例を無料で公開しています。 生成AI活用事例 業務別50選を受け取る(無料)