この記事の要点
2026年の秋の全国火災予防運動は、11月9日(月曜日)から15日(日曜日)までの7日間です(箕面市「令和8年秋の全国火災予防運動」)。2026年度の全国統一防火標語は「火の確認 いい日を支える いい習慣」です。
栃木県の消防防災年報によると、令和6年中の県内の出火件数は725件で、月別では1月から4月に多く発生しています。運動の週は、冬に向けて消防計画と訓練を見直す区切りになります。
この記事では、宇都宮市消防局が公開している消防計画の作成例を手がかりに、事業所が点検する項目と、生成AIで下書きしてよい文書・入力しない情報を整理します。
秋の火災予防運動2026は11月9日から7日間|統一標語と運動の位置づけ
期間と2026年度の統一標語
総務省消防庁は、春と秋の毎年2回、火災が発生しやすい時季に先立って全国火災予防運動を実施しています。令和7年版の消防白書「全国火災予防運動等」では、令和7年の秋季は11月9日から11月15日でした。2026年は、11月9日(月曜日)から11月15日(日曜日)までの7日間と案内されています(箕面市「令和8年秋の全国火災予防運動」)。

標語は、消防庁が一般社団法人日本損害保険協会との共催で作成しています。消防庁「2026年度全国統一防火標語の決定」(2026年3月23日)によると、2026年度は「火の確認 いい日を支える いい習慣」で、2026年度の春・秋の全国火災予防運動等で使われます。
事業所にとっての意味
運動期間中は、各地の消防本部が広報や事業所への立入検査、合同訓練などを行います。事業所の側から見ると、消防計画・担当者・訓練の記録を見直す時期が、外から決まっている1週間です。社内の周知文に統一標語を入れると、全国の広報とそろった呼びかけになります。
栃木県の火災の数字|令和6年は出火725件、1月から4月に多い
県内の数字は、栃木県消防防災課の「令和7(2025)年版消防防災年報 第3 火災統計」(PDF)にまとまっています。年報の年版と、数字の年(令和6年中)がずれる点に注意してください。

件数と被害
令和6年中の県内の出火件数は725件で、前年より145件減りました。損害額は17億7,744万円、死者は29人、負傷者は70人です。過去10年の平均は出火件数713件なので、令和6年はほぼ平均並みの年でした。火災種別では建物火災380件、林野火災31件、車両火災77件、その他の火災237件です。
死者29人のうち、逃げ遅れが10人でした。年報は、年齢別では80代の逃げ遅れによる死者が多いとしています。
月別と時間帯
月別の出火件数は、1月84件、2月96件、3月122件、4月74件と、1月から4月に多く発生しています。10月は29件、11月は37件ですが、12月には80件に増えます。年報はその理由として、火気を取り扱う機会が多いことや、空気が乾燥することを挙げています。時間別では10時から15時にかけて多く発生しています。
秋の運動の週は、件数が増える12月より前にあります。点検と訓練をこの週に済ませておくと、冬の繁忙期に入る前に体制を整えられます。
出火原因
令和6年中の出火原因は、たき火・たばこ・こんろによるものが123件で、全体の17.0%です。放火及び放火の疑いによるものは95件で、13.1%を占めています。原因別の内訳表では、たき火49件、たばこ42件、こんろ32件、電気機器29件、放火74件、放火の疑い21件でした。
建物火災に限ると、こんろが29件、たばこが27件、電気機器が21件、電気装置が9件です。事業所の点検で見る「調理器具・喫煙所・電気設備」は、この数字と重なります。
市町別
年報には市町別の出火件数と出火率(人口1万人あたりの出火件数)が載っています。県全体の出火率は3.8です。
| 市町 | 出火件数 | 出火率 |
|---|---|---|
| 宇都宮市 | 89件 | 1.7 |
| 栃木市 | 108件 | 7.1 |
| 小山市 | 72件 | 4.3 |
| 那須塩原市 | 45件 | 3.9 |
| 足利市 | 38件 | 2.8 |
| 日光市 | 33件 | 4.4 |
件数は人口の多い市で大きくなるので、自社のある市町の出火率と並べて読むと、地域の傾向をつかみやすくなります。
消防計画の見直しは宇都宮市の作成例が手がかり
消防計画と防火管理者
消防法第8条は、学校、病院、工場、事業場、百貨店など多数の者が出入りし、勤務する防火対象物のうち政令で定めるものについて、管理の権原を持つ者に防火管理者を定めさせ、消防計画の作成などの防火管理上必要な業務を行わせることを求めています。自社の建物が対象かどうか、どの届出が要るかは、管轄の消防本部に確認してください。

作成例の章立て
宇都宮市消防局は、「各種申請書・届出書一覧(消防(防火・防災)に関するもの)」で、消防計画作成(変更)届出書と、消防計画の作成例(防火)(PDF)を公開しています。作成例は次の4章でできています。
- 第1章 総則
- 第2章 予防管理(予防管理組織、火災予防措置、建築物等の自主検査、消防用設備等の点検)
- 第3章 自衛消防活動(自衛消防組織、震災予防措置、風水害予防措置)
- 第4章 防火教育及び訓練等(防火教育等、訓練)
手元の消防計画をこの章立てと並べると、抜けている節が見つかります。担当者の異動や組織変更で、名前が古いままになっている計画も少なくありません。宇都宮市外の事業所も、構成を確かめる手がかりとして使えます。様式や届出先は、それぞれの消防本部の案内に従ってください。
届出は電子申請でもできる
宇都宮市は、令和4年10月1日から火災予防関係の一部の手続きをインターネットで受け付けています(宇都宮市「電子申請による届出等(防火・防災)」)。対象には、防火・防災管理者選任(解任)届出書、消防計画作成(変更)届出書、消防訓練実施計画通知書、消防訓練実施結果報告書、消防用設備等点検結果報告書などが含まれます。従来どおり、窓口での書面による申請も受け付けています。
火災予防運動の週に回す点検と訓練
予防管理組織の担当を埋め直す
作成例の別表1は、予防管理組織の編成を示しています。防火管理者の下に防火担当責任者と火元責任者を置き、別に4種類の検査担当者を決める形です。

- 建物等の検査担当者:防火戸・防火シャッター・排煙口等の点検検査
- 火気使用設備の検査担当者:調理器具・暖房用器具・燃料置場・喫煙所等の点検検査
- 電気設備の検査担当者:電気設備の点検検査
- 消防用設備等の検査担当者:消火設備・警報設備・避難設備の点検検査
運動の週の最初の作業は、この表の氏名欄を今の体制で埋め直すことです。退職者や異動者の名前が残っていれば、その担当の点検は誰も見ていないことになります。
訓練の区分と届出
作成例の第19条は、訓練を3つに分けています。
- 総合訓練:消火・通報・避難誘導などを連携して行う
- 部分訓練:通報訓練、消火訓練、避難訓練。火災を想定し、個別に任務や行動を確認する
- 震災訓練:震災を想定して独自に行うか、市等の行う訓練に参加する
作成例では、防火管理者は訓練の前にあらかじめ消防機関へ届け出て、終了後は結果を検討して以後の訓練に反映し、その旨を消防機関へ届け出ることになっています。届出の書式は、宇都宮市の場合、消防訓練実施計画通知書と消防訓練実施結果報告書です。
防火教育で伝えること
作成例の第18条は、防火教育の内容として次の8項目を挙げています。消防計画の周知徹底、火災予防の遵守事項、防火管理に関する各自の任務及び責任の周知徹底、来客に対する人命安全に関する基本的事項、工事人に対する教育、震災対策に関する事項、風水害対策に関する事項、その他火災予防上必要な事項です。運動の週の朝礼や回覧で、このうち2〜3項目を取り上げるだけでも、教育の記録を残せます。
生成AIに任せる下書きと、任せない判断
下書きに使えるもの
消防計画の周辺には、毎年ほぼ同じ形で作り直す文書が多くあります。生成AIは、次の下書きに向いています。

- 訓練シナリオ:出火場所、通報の流れ、避難の順番を、自社の条件を伝えて文章にする
- 館内放送の文案:火災発生、避難開始、訓練終了の3種類
- 従業員への周知文:運動の期間と統一標語を入れた社内向けのお知らせ
- 点検記録の整形:手書きのメモを、担当・場所・結果の表にそろえる
- 作成例との差分チェックリスト:自社の消防計画の目次を渡し、作成例の章立てと比べて抜けを挙げさせる
- やさしい日本語の案内:外国人の従業員向けに、避難の手順を短い文に言い換える。多言語化の進め方は外国人材の手順書を生成AIで多言語化する5手順で扱っています
入力しないもの
次の情報は、一般向けの生成AIサービスに入力しないでください。
- 建物の図面、鍵や警備の情報、防犯カメラの配置
- 従業員の氏名と連絡先、緊急連絡網
- 顧客や宿泊客の情報
- 消防機関から受けた指導の文書そのもの、未改修の不備の内容
訓練シナリオを作るときは、「2階東側の倉庫」のように場所を一般化し、人名は「通報担当」「避難誘導担当」と役割名に置き換えてから渡します。
人が決めること
避難経路、担当者の割り当て、届出の内容、消防機関に指摘された事項の直し方は、人が決めます。生成AIの出力は、法令や消防本部の指導の根拠になりません。社内で生成AIを使うときの決まりは生成AIガイドラインの作り方にまとめています。
県内の主要業種に当てはめる
工場(自動車部品・医療機器の製造ライン)
交代制の工場では、全員がそろう総合訓練を年に何度も行うのは難しくなります。運動の週にシフトごとの部分訓練(通報・消火・避難)を割り当て、訓練シナリオと放送文は生成AIで3シフト分を書き分けておくと、準備が1回で済みます。安全衛生教育の資料づくりは安全衛生教育の資料づくりに生成AIを使うと同じ手順で進められます。
宿泊施設(日光・那須)
宿泊施設では、来客に対する人命安全に関する基本的事項が防火教育の中心になります。夜間の少人数体制での避難誘導を部分訓練で確かめ、客室の避難案内は多言語のたたき台を生成AIで作り、表現は人が確認します。
飲食店・店舗
県内の建物火災の原因で最も多かったのはこんろの29件でした。厨房のある店舗では、火気使用設備の検査担当者を決め、閉店時の点検表を作り直すところから始めます。点検表の体裁を整える作業は生成AIに任せられますが、点検の項目は消防本部の指導と設備の取扱説明に合わせて人が決めます。
11月9日までに動かす順番と相談先
10月中
- 消防計画の目次を作成例の章立てと並べ、抜けている節を洗い出す
- 予防管理組織の別表を今の体制で埋め直す
- 訓練の種別と日程を決め、訓練の前に届け出る
運動の週(11月9日〜15日)
- 訓練を実施し、放送文と避難の所要時間を記録する
- 統一標語を入れた周知文を回覧し、防火教育の記録を残す
運動のあと
- 訓練の結果を検討し、結果を届け出る。直す点は消防計画に反映する
自社の建物が届出の対象か、どの様式を使うかは、管轄の消防本部(局)に確認してください。県内の消防本部の一覧は、栃木県消防防災課の消防防災課 お知らせ・行政情報に掲載されている消防防災年報の「第6 消防本部(局)一覧」で確かめられます。
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よくある質問
Q. 秋の全国火災予防運動はいつですか。
A. 2026年は11月9日(月曜日)から15日(日曜日)までの7日間と案内されています。令和7年の秋季も11月9日から11月15日でした。地域の行事の日程は、管轄の消防本部の案内を確認してください。
Q. 消防計画はどこで手に入りますか。
A. 宇都宮市消防局は、消防計画作成(変更)届出書と、消防計画の作成例(防火)をWordとPDFで公開しています。宇都宮市外の事業所は、管轄の消防本部の様式を使ってください。
Q. 訓練は届け出る必要がありますか。
A. 宇都宮市の作成例では、防火管理者は訓練の前にあらかじめ消防機関へ届け出て、終了後は結果を検討して届け出ることになっています。宇都宮市では消防訓練実施計画通知書と消防訓練実施結果報告書を電子申請でも出せます。
Q. 消防計画を生成AIで作ってよいですか。
A. 作成例との差分の洗い出しや、訓練シナリオ・放送文・周知文の下書きには使えます。建物の図面、緊急連絡網、従業員や顧客の個人情報は入力しないでください。届出の内容と担当者の割り当ては人が決め、管轄の消防本部に確認します。
Q. 栃木県で火災が多い時期はいつですか。
A. 県の消防防災年報では、令和6年中の出火件数は1月から4月に多く、3月が122件で最も多くなっています。12月も80件と増えるため、秋の運動の週に冬の体制を整えておくと間に合います。
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