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11月の過重労働解消キャンペーン|栃木の36協定と勤怠記録の点検

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11月の過重労働解消キャンペーン|栃木の36協定と勤怠記録の点検

この記事の要点

  • 毎年11月は過労死等防止啓発月間で、労働局と労働基準監督署が過重労働解消キャンペーンとして重点監督と無料の電話相談を行います。
  • 2025年(令和7年)は11月1日から11月30日までで、重点監督の対象は「時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等」でした。2026年版は2026年9月時点で未公表です。
  • 点検の中心は36協定の上限(原則月45時間・年360時間)を超えていないかと、勤怠記録が客観的な記録で残っているかの2つです。
  • 栃木県内の相談先は、指導権限を持つ栃木労働局・労働基準監督署と、労働相談全般を受ける栃木県労働政策課(電話028-623-3535)で役割が分かれます。
  • 生成AIは点検表と周知文の下書きに使い、従業員名の入った勤怠データは渡しません。

11月に何が行われるか

厚生労働省は、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行っています。この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、毎年11月に実施されています(厚生労働省「過労死等防止対策」)。

過労死等防止啓発月間を外枠に、その中の過重労働解消キャンペーン、さらにその中の重点監督と相談ダイヤルを入れ子で示す図
過労死等防止啓発月間の中に過重労働解消キャンペーンがあり、重点監督と相談ダイヤルが柱になる

過重労働解消キャンペーンの中身

月間中の取組の1つが過重労働解消キャンペーンです。厚生労働省の特設ページでは、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、パンフレット等の配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施すると説明されています(厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」)。

同じページに書かれている背景の数字は2つです。週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は依然として8%を占めていること。そして、過労死等の労災支給決定件数のうち増加している精神障害に関する事案の約2割においては、時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えている状況が認められていることです。この「月80時間」が重点監督の目安にもなっています。

2025年(令和7年)の実施内容

厚生労働省の特設ページに掲載されている令和7年版の内容は次のとおりです。

項目 令和7年の内容
実施期間 令和7年11月1日(土)から11月30日(日)までの1か月間
重点監督の対象 時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
過重労働解消相談ダイヤル 令和7年11月1日(土)9:00〜17:00
過重労働相談受付集中期間 11月1日(土)から11月7日(金)まで(11月2日(日)、3日(月・祝)を除く)
過重労働解消のためのセミナー 10月〜1月に、会場開催またはオンラインにより実施

2026年(令和8年)版の実施内容は、2026年9月時点で厚生労働省の特設ページに掲載されていません。例年の流れから11月に同じ枠組みで実施される見込みですが、日程は公表後に確認してください。

栃木労働局のキャンペーンで行われること

栃木労働局も同月間中に、過労死等の一つの要因である「長時間労働の是正」「賃金不払残業などの解消」に向け、過重労働解消キャンペーンを実施しています。栃木労働局のページに掲載されている取組は次の6つです(栃木労働局「11月は『過労死等防止啓発月間』です。〜過重労働解消キャンペーンを実施します〜」)。

栃木労働局の6つの取組を円環状に並べた図
栃木労働局の6つの取組は労使の促進から相談受付まで一巡する

6つの取組

  1. 労使の主体的な取組の促進
  2. 集中的な監督指導の実施。各種情報から時間外・休日労働時間数が長時間にわたると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場等に対し、重点監督を実施する。
  3. 労働局長による職場訪問。県内で長時間労働の削減を始めとする働き方の見直しに積極的に取り組んでいる企業を訪問し、労使と対談する。
  4. 県内の主要労使団体等への協力要請。
  5. 過重労働解消のためのセミナーの開催(委託事業)。基本ルールや裁判例の解説、企業の事例紹介。
  6. 過重労働相談受付集中週間と特別労働相談受付の実施。

掲載内容の年度に注意

栃木労働局のこのページに載っている日程(相談ダイヤルの実施日など)は令和4年のもので、監督指導結果の公表も令和3年度分です。取組の枠組みは毎年同じですが、2026年の日程は栃木労働局のニュース&トピックスで新しい案内が出るのを待ってください。県内の労働時間の実態は栃木の年間総実労働時間1,666時間で整理しています。

点検1:36協定の上限を超えていないか

キャンペーンの重点監督が見るのは、まず時間外・休日労働の時間数です。その前提となる36協定の上限は、厚生労働省の解説資料で次のように整理されています(厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」)。

原則の月45時間・年360時間を土台に、特別条項の年720時間、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、年6か月までを段で示す図
原則の上限の上に特別条項の上限が積み上がる

原則の上限と特別条項の上限

区分 上限
原則 時間外労働は月45時間・年360時間
特別条項(臨時的な特別の事情がある場合) 時間外労働は年720時間以内
特別条項 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
特別条項 時間外労働と休日労働の合計が2〜6か月平均で月80時間以内
特別条項 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月まで

この上限規制は大企業に2019年4月、中小企業に2020年4月から適用されています。適用が猶予されていた建設業、自動車運転の業務、医師などにも、現在は業種ごとの規制内容で上限規制が適用されています(厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」)。県内の建設業と運送業は、自社の業種に当てはまる規制内容を同ページで確かめたうえで点検します。

10月中に確かめる4点

  1. 協定の有効期間。36協定は有効期間が切れていれば、その間の時間外労働に根拠がありません。届出の控えで期間を確認する。
  2. 特別条項の発動回数。月45時間を超えた月が年6回以内か。年度の途中で回数を数え直す。
  3. 複数月平均。直近2〜6か月の時間外・休日労働の合計が平均で月80時間以内か。月ごとには収まっていても平均で超えることがある。
  4. 月100時間。1か月の時間外と休日労働の合計が100時間未満か。重点監督の目安である「月80時間超」にかかる従業員がいないかも同時に見る。

点検2:勤怠記録が客観的に残っているか

もう1つの柱は労働時間の記録です。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することを求めています(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。

始業・終業時刻の確認方法を、現認、客観的な記録、自己申告制の3つに分けて示す図
記録の方法は現認か客観的な記録が原則で、自己申告制はやむを得ない場合に限る

原則は客観的な記録

ガイドラインが原則としている確認方法は2つです。使用者が自ら現認して記録すること、またはタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することです。自己申告制で行わざるを得ない場合は、労働者への十分な説明や、自己申告と実際の在社時間との乖離の確認など、追加の措置を講じることになっています。

ガイドラインには、賃金台帳に労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を適正に記入すること、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類を労働基準法第109条に基づき3年間保存することも書かれています。

現場で起きやすいずれ

製造業の現場では、始業前の段取りや終業後の片付けが記録に入っていないことがあります。建設業では現場ごとの直行直帰で記録の方法がばらつきます。パソコンのログイン時刻とタイムカードの打刻が大きくずれている従業員がいれば、その月の記録を先に見直します。点検は、記録の方法が客観的か、記録と実態がずれていないか、賃金台帳に時間数が入っているか、の3点で足ります。

安全衛生の教育資料と合わせて整える場合は安全衛生教育の資料づくりに生成AIを使うも参照してください。

栃木県内の相談先と役割の違い

栃木県内では、事業所に対する指導権限を持つ国の機関と、相談全般を受ける県の窓口で役割が分かれています。

栃木労働局・労働基準監督署と栃木県労働政策課を左右に並べ、それぞれの役割と電話番号を示す図
指導権限を持つ国の機関と、相談全般を受ける県の窓口で役割が分かれる

栃木労働局・労働基準監督署

労働時間や賃金不払残業について、事業所への調査・指導、労働関係法令に基づく助言を行うのは国の機関である栃木労働局と県内の労働基準監督署です。過重労働解消キャンペーンの重点監督も労働局と監督署が行います。栃木労働局のハラスメント対応相談窓口は電話028-633-2795(受付8時30分〜17時15分、土日・祝日・年末年始を除く、宇都宮市明保野町1-4 宇都宮第2地方合同庁舎)です(栃木県労働政策課「労働問題について相談したい」)。

栃木県労働政策課の労働相談

栃木県労働政策課は、労働者と使用者からの労働相談全般に関する悩みや疑問を聞き、労働問題に関する基本的な制度の説明を行っています。電話相談は028-623-3535、受付は9時00分〜12時00分と13時00分〜17時00分(土日、祝日、12月29日〜1月3日を除く)で、相談は無料、秘密は厳守されます。インターネット労働相談は栃木県電子申請システムから申し込みます。

ただし県のページには、県には労働関係法令上の監督権限がないため事業所等への調査・指導を行うことはできない、と明記されています。法令違反の疑いがある場合は労働基準監督署、解雇・賃金不払い・労働時間・ハラスメントなどで事業所への助言・指導や具体的な解決を求める場合は栃木労働局に相談する、という切り分けです。

平日夜間・土日の電話窓口

厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」(0120-811-610、月〜金17時00分〜22時00分、土・日9時00分〜21時00分)は平日夜間と土日の無料相談窓口です。メンタルヘルス不調や過重労働による健康障害については「こころほっとライン」(0120-565-455)があります。いずれも県労働政策課のページに案内があります。

点検表と周知文を生成AIで下書きする手順

点検そのものは勤怠システムと表計算で行い、生成AIには「文書の下書き」だけを任せます。カスハラ対策の文書と同じ考え方で、社内文書は生成AIで一次案を作り、数字と固有名詞は人が入れます。10月1日からのカスハラ対策で作る文書はカスハラ対策の義務化は10月1日からで整理しています。

左の3つの入力から生成AIを経て3つの文書ができる流れと、渡さないものを別枠で示す図
生成AIには点検表、周知文、相談先一覧の下書きだけを任せ、個人の勤怠データは渡さない

生成AIに渡さないもの

従業員名、個人ごとの勤怠データ、賃金台帳、健康情報は渡しません。36協定の届出控えも、事業場名と代表者名が入っているので、そのまま貼らずに上限の数字だけを転記します。渡してよいのは、この記事にある上限の数字、ガイドラインの確認方法、自社の就業規則の労働時間に関する条文(固有名詞を除いたもの)です。セキュリティの点検は生成AIを使う前のセキュリティ点検にまとめています。

3つの文書を順に作る

  1. 点検表。「36協定の上限(月45時間・年360時間、特別条項は年720時間・月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内・年6か月まで)と、労働時間の記録方法(現認または客観的な記録)について、総務担当が10月中に確認する点検表を作ってください。確認欄と担当欄を付けてください」と指示する。出力の数字が上の表と一致するかを確認する。
  2. 管理職向けの周知文。「11月は過労死等防止啓発月間で、労働局が過重労働解消キャンペーンの重点監督を行う。部下の時間外労働が月45時間を超える見込みの場合は事前に総務へ連絡する」という趣旨で300字の社内文書を作らせる。日程は2026年版が公表されてから入れる。
  3. 従業員向けの相談先一覧。県労働政策課、栃木労働局、労働条件相談ほっとライン、こころほっとラインの4つを、電話番号と受付時間つきで1枚にまとめさせる。番号は公式ページから人が転記し、生成AIには並べ方だけを任せる。

よくある質問

Q. 過重労働解消キャンペーンはいつ行われますか。
A. 毎年11月の過労死等防止啓発月間に合わせて実施されます。令和7年は11月1日から11月30日まででした。2026年版の日程は2026年9月時点で公表されていません。

Q. 重点監督の対象になるのはどんな事業場ですか。
A. 令和7年の厚生労働省の案内では、時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等が対象でした。

Q. 36協定の上限はいくつですか。
A. 原則は時間外労働が月45時間・年360時間です。特別条項を結んでも、時間外労働は年720時間以内、時間外と休日労働の合計は月100時間未満かつ2〜6か月平均80時間以内、月45時間を超えられるのは年6か月までです。

Q. 建設業や運送業にも上限規制は適用されていますか。
A. 適用が猶予されていた建設業、自動車運転の業務、医師などにも、現在は業種ごとの規制内容で上限規制が適用されています。詳細は厚生労働省の業種別のページで確認してください。

Q. 勤怠はどんな方法で記録すればよいですか。
A. ガイドラインの原則は、使用者の現認か、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録です。自己申告制はやむを得ない場合に限られ、追加の措置が必要です。

Q. 栃木県内で労働時間のことを相談するならどこですか。
A. 事業所への指導や具体的な解決を求めるなら栃木労働局・労働基準監督署です。制度の説明や労働相談全般は栃木県労働政策課(電話028-623-3535)が受けています。県には監督権限がない点に注意してください。

Q. 生成AIに勤怠データを入れて集計させてもよいですか。
A. 従業員名や個人ごとの勤怠データは渡さないでください。集計は勤怠システムや表計算で行い、生成AIには点検表や周知文の下書きだけを任せます。

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参考・出典