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栃木の高卒求人倍率の読み方|秋の高卒採用で何が変わるか

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栃木の高卒求人倍率の読み方|秋の高卒採用で何が変わるか

栃木県内で高校生を採用している事業者にとって、9月16日は毎年の節目です。令和9年3月卒の高校生に対する選考・内定はこの日以降に始まり、労働局が公表する求人倍率が「今年はどのくらい集まりにくいか」の目安になります。この記事では、厚生労働省が取りまとめた令和8年7月末現在の数字と、栃木県教育委員会の進路状況調査から、求人数・求職者数・就職率の3つの数字をどう読むかを整理します。結論を先に言えば、栃木の高卒求人倍率は2.65倍で全国の3.60倍より低く、それでも求人1件に対して求職者はおよそ0.38人しかいない、という状態です。

この記事の要点

  • 令和9年3月卒の高校新卒者について、令和8年7月末現在の栃木県の求人数は7,640人、求職者数は2,878人、求人倍率は2.65倍です(厚生労働省の取りまとめ)。
  • 全国の求人倍率は3.60倍で、栃木は関東5県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉)の平均3.02倍も下回ります。倍率が低いのは求人が少ないからではなく、求職者数が近県より相対的に多いからです。
  • 栃木県教育委員会の調査では、令和8年3月の県立高校卒業者10,469人のうち就職者等は2,254人で、就職者の職業別では生産工程従事者が47.5%を占めます。
  • 求人倍率は「求人数 ÷ 求職者数」の1本の式で計算できます。自社の応募状況と照らし合わせるときは、この式に戻って読むと見誤りにくくなります。
  • 生成AIは、労働局の表を貼って前年差の説明文を下書きしたり、学校訪問の説明資料を整えたりするのに使えます。数字と出典の照合は人が行います。

栃木の高卒求人倍率は2.65倍|令和8年7月末の3つの数字

求人数7,640人・求職者数2,878人

厚生労働省は、令和9年3月に高校を卒業する生徒について、令和8年7月末現在のハローワーク求人に係る求人・求職状況を取りまとめています。厚生労働省「令和8年度『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況』取りまとめ(7月末現在)」(令和8年7月末現在)の都道府県別の表によると、栃木県の数字は次のとおりです。

栃木県の令和9年3月卒高校新卒者について、求人数7,640人(前年7月比△5.2%)、求職者数2,878人(前年7月比△1.2%)、求人倍率2.65倍(前年7月差△0.12ポイント)を3枚のカードで並べた図
栃木県の高校新卒者の求人・求職状況(令和8年7月末現在)
項目 栃木県 前年7月比
求人数 7,640人 △5.2%
求職者数 2,878人(うち男子1,886人・女子992人) △1.2%
求人倍率 2.65倍 △0.12ポイント

ここでいう求職者数は、学校またはハローワークの紹介を希望する生徒だけの数です。自分で企業に直接応募する生徒や、進学する生徒は含まれません。したがって「県内の高校3年生の数」ではなく、「学校経由の就職を希望している生徒の数」として読む必要があります。

3つの数字はそれぞれ別の動きをする

求人数は前年7月から5.2%減っています。一方、求職者数の減少は1.2%にとどまるため、求人倍率は0.12ポイント下がりました。つまり、栃木では今年、企業側の求人の減り方が生徒側の減り方より大きかった、ということです。

この3つの数字は毎年別々に動きます。求人倍率だけを見ていると「下がったから採りやすくなった」と読みがちですが、求職者数も減っていれば応募は集まりにくいままです。必ず3つを並べて読みます。

全国3.60倍・関東3.02倍と比べる|栃木の位置

全国では求人約45万9千人に対して求職者約12万7千人

同じ取りまとめによると、全国の高校新卒者の求人数は約45万9千人(前年同期比1.6%減)、求職者数は約12万7千人(同0.8%増)で、求人倍率は3.60倍(同0.09ポイント低下)です。表の実数では求人数459,352人、求職者数127,435人となっています。

群馬4.08倍、埼玉3.72倍、千葉2.99倍、栃木2.65倍、茨城2.16倍の高卒求人倍率を横棒で並べ、関東5県3.02倍と全国3.60倍を基準線で示した図
関東5県の高卒求人倍率と全国(令和8年7月末現在)

全国でも求人は減り、求職者はわずかに増えたため倍率は下がりました。ただ、栃木の2.65倍と全国の3.60倍にはまだ差があります。

関東5県の中では茨城に次いで低い

厚生労働省の地域区分では、栃木は茨城・群馬・埼玉・千葉とともに「関東」に分類されます(東京・神奈川は「京浜」で別枠です)。この関東5県の合計は求人数56,342人、求職者数18,660人、求人倍率3.02倍(前年7月差△0.28ポイント)です。

都道府県別の表から近県を並べると、次のようになります。

都道府県 求人数 求職者数 求人倍率 前年7月差
群馬 8,863人 2,172人 4.08倍 0.19
埼玉 16,363人 4,393人 3.72倍 △0.25
千葉 12,874人 4,310人 2.99倍 △0.32
栃木 7,640人 2,878人 2.65倍 △0.12
茨城 10,602人 4,907人 2.16倍 △0.44

栃木の求人数7,640人は群馬の8,863人より少ないものの、求職者数は2,878人と群馬の2,172人より多い。倍率の差の大半は、求人の少なさではなく求職者の多さから来ています。栃木は高校生の就職希望者が近県より相対的に多く残っている県だ、と読めます。これは採用する側にとっては悪い話ではありません。

求人倍率の計算表|自社の応募状況をこの式で見る

求人倍率=求人数 ÷ 求職者数

求人倍率は難しい指標ではなく、求人数を求職者数で割っただけの値です。栃木の数字を当てはめると、7,640 ÷ 2,878 ≒ 2.65 となり、公表値と一致します。全国は 459,352 ÷ 127,435 ≒ 3.60 です。

求人数7,640人を求職者数2,878人で割ると求人倍率2.65倍、全国は459,352人を127,435人で割ると3.60倍になることを、左から右へ流れる2本の計算式で示した図
求人倍率は求人数を求職者数で割った値(栃木県と全国)

この式を逆にすると、求人1人分に対して何人の求職者がいるかが分かります。栃木では 2,878 ÷ 7,640 ≒ 0.38人、全国では 127,435 ÷ 459,352 ≒ 0.28人です。つまり栃木では、求人1人分に対して求職者が0.38人しかいない。全国より応募は集まりやすい側ですが、それでも求人の6割以上は埋まらない計算です(この2つの値は本記事が公表値から割り戻した計算値です)。

地域 求人数 求職者数 求人倍率(公表値) 求人1人分あたりの求職者(本記事の計算)
栃木県 7,640人 2,878人 2.65倍 約0.38人
全国 459,352人 127,435人 3.60倍 約0.28人

自社の求人票が「7,640人の中の何人分か」で考える

自社が高校生向けに出している求人が3人分なら、県内の7,640人の求人のうち3人分を占めていることになります。応募が来ないとき、その理由を「今年は高校生が少ない」と一般論で片付ける前に、求職者2,878人のうち自社の職種・地域を希望している生徒が何人いるかを、学校の進路指導担当やハローワークに聞いてみることが先です。倍率は県全体の平均値であり、職種・地域ごとに大きく違います。

なお、求人票そのものの書き方や、高校生に伝わる文面の整え方は求人票と採用文書の生成AI活用で扱っています。この記事は数字の読み方に絞ります。

県教委の進路状況調査|就職者2,254人・生産工程従事者が47.5%

県立高校卒業者10,469人のうち就職者等は21.5%

労働局の数字はハローワーク求人に係るものですが、県立高校の卒業者全体がどこへ進んだかは、栃木県教育委員会が毎年5月1日現在で調査しています。栃木県教育委員会「令和8(2026)年度 県立高等学校等卒業者の進路状況調査報告書」(令和8年5月1日現在)によると、令和8年3月の県立高校卒業者数は10,469人(男5,433人・女5,036人)で、前年度と比べ102人減少しました。

県立高校卒業者の就職者のうち生産工程従事者が47.5%、男子は生産工程従事者55.4%と専門的・技術的職業従事者11.4%、女子は生産工程従事者32.5%、事務従事者26.7%、サービス職業従事者17.8%であることを3段の帯で示した図
県立高校卒業者の就職者の職業別割合(令和8年3月卒)

進路別に見ると、大学等進学者は5,666人で進学率54.1%(前年度54.8%)、専修学校(専門課程)進学者は1,807人で17.3%です。就職者等は2,254人(男1,476人・女778人)で、卒業者総数に占める割合は21.5%と、前年度の21.7%から0.2ポイント下がりました。大学等への進入学者兼就職者を含めた就職率は21.5%で、前年度21.6%から0.1ポイントの低下です。

この2,254人と、労働局の求職者数2,878人は対象も時点も違います。県教委の数字は県立高校の卒業者を5月1日現在で数えたもので、労働局の数字は私立を含む高校生のうち学校・ハローワーク経由の就職を希望する生徒を7月末で数えたものです。似た数字ですが、混ぜて計算しないでください。

職業別では生産工程従事者が約半数

同じ報告書によると、職業別では就職者全体で「生産工程従事者」が47.5%と約半数を占めています。男子就職者では生産工程従事者が55.4%で最も多く、次いで専門的・技術的職業従事者が11.4%です。女子就職者は生産工程従事者が32.5%で最も多く、次いで事務従事者26.7%、サービス職業従事者17.8%となっています。

また、前年度と比べて県内就職者の占める割合は上昇し、県外就職者の割合は低下したと報告されています。

自動車部品や医療機器の製造が集積する栃木県では、高卒就職者の半数近くが製造現場に入っていくという構造がここに表れています。県内製造業が高卒採用の主戦場である以上、同じ2,878人を県内の製造業同士で取り合っていることになります。求人票で「生産工程」と書くだけでは他社と区別がつきません。

栃木の事業者が9月16日以降に見直すこと

選考開始日と求人申込の受付開始日

厚生労働省の取りまとめには、令和9年3月高校新卒者に係る期日の申し合わせが載っています。ハローワークによる求人申込みの受付開始は令和8年6月1日以降、高校の選考・内定開始は令和8年9月16日以降です。この期日は全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省の間で申し合わせられています。

9月16日を過ぎた今、求人票を出していない事業者が新たに出すことは可能ですが、多くの生徒は最初の応募先を決めています。今年の採用が難しい場合は、来年6月1日の受付開始に向けて、今年の応募状況を記録しておくことが次の一手になります。

事業主向けの窓口と報告フォーム

栃木労働局は宇都宮市明保野町1-4の宇都宮第2地方合同庁舎に宇都宮新卒応援ハローワークを置いています。学生向けの窓口ですが、ページ上部の事業主向けメニューには高卒選考結果報告フォームや求人申込・変更の機能が置かれています。選考結果は学校とハローワークへの報告が求められるので、このフォームの場所を採用担当者が把握しておくと10月以降の事務が滞りません。

高校生の採用では、内定後の入社前研修や、入社後の育成計画を学校側から聞かれることがあります。研修の組み方は中小企業の生成AI研修設計を、少人数の事業所での進め方は栃木の小規模事業者向け生成AIを参考にしてください。

生成AIで労働局の表を読む手順

労働局の表を貼る|栃木の行と全国・近県を並べる

厚生労働省の取りまとめはPDFで、地域別の第1表のあとに都道府県別の表が続きます。この都道府県別の表の栃木の行と、全国計、近県の行を生成AIに貼り、「栃木の求人数・求職者数・求人倍率を全国と関東5県と比べ、前年7月比の動きも含めて300字で説明してください。数字は貼った表の値をそのまま使い、表に無い数字は使わないでください」と指示すると、社内共有用の説明文の下書きができます。

労働局の表を貼る、栃木の行と全国・近県を並べる、前年差の説明文を下書き、人が元の表と照合、社内共有用の説明文と学校訪問の資料に使う、という5段階の循環を示した図
労働局の表を生成AIで読み、人が照合してから資料にする流れ

ここで大事なのは、生成AIに数字を「調べさせない」ことです。生成AIが自分の記憶から出してくる求人倍率は、年度も地域も違う値が混ざります。必ず表を貼り、その値だけを使わせます。出てきた下書きの数字は、1つずつ人が元の表と照合します。

前年差の説明文と学校訪問の資料

下書きができたら、次の2つに使えます。

1つ目は、社内の経営層や現場責任者への説明です。「今年は倍率が2.65倍で前年より0.12ポイント下がったが、求職者も1.2%減っているので応募は増えない」という1段落があれば、採用計画の議論が数字から始まります。

2つ目は、学校訪問のときに進路指導担当へ渡す資料です。自社の求人票に、県の数字と自社の位置づけ(例:生産工程だが多能工として育てる、県内勤務のみ)を1枚に添えると、生徒への説明に使ってもらいやすくなります。この資料に載せる数字は、労働局と県教委の一次資料の値だけにし、出典名と時点を必ず書きます。

入力してはいけないもの

応募してきた生徒の氏名、学校名、成績、面接の評価は生成AIに入力しません。高校生の採用では未成年の個人情報を扱うため、社内の他の文書より慎重に線を引く必要があります。生成AIに渡すのは公表統計と自社の求人票までにします。

よくある質問

Q. 栃木の高卒求人倍率2.65倍は、高いのですか低いのですか。

全国の3.60倍や関東5県の3.02倍より低い値です。ただし、求人1人分に対して求職者が約0.38人という水準ですから、企業側から見れば依然として売り手市場です。低いのは求人が少ないからではなく、求職者数が近県より相対的に多いためです。

Q. 求職者数2,878人と、県教委の就職者等2,254人はどちらが正しいのですか。

どちらも正しく、対象と時点が違います。2,878人は私立を含む高校生のうち学校・ハローワーク経由の就職を希望する生徒を令和8年7月末で数えた値、2,254人は県立高校の令和8年3月卒業者のうち就職者等を令和8年5月1日現在で数えた値です。

Q. 9月16日を過ぎてから求人票を出しても間に合いますか。

ハローワークの求人申込みは6月1日以降いつでも受け付けられていますが、多くの生徒は9月16日の選考開始時点で応募先を決めています。今年の採用が難しい場合は、応募状況を記録して来年6月1日の受付開始に備えるのが現実的です。

Q. 生成AIに「栃木の高卒求人倍率を教えて」と聞いてはいけないのですか。

聞くこと自体は問題ありませんが、返ってくる数字は年度や地域が違う値が混ざることがあります。厚生労働省の表を貼り、その値だけを使って説明文を作らせる、という使い方にしてください。

Q. 高校生の職業別の傾向はどこで分かりますか。

栃木県教育委員会の進路状況調査報告書に職業別の就職者の割合が載っています。令和8年3月卒では生産工程従事者が47.5%で、男子55.4%、女子32.5%です。女子は事務従事者26.7%、サービス職業従事者17.8%が続きます。

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参考・出典