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育成就労はいつから|栃木の技能実習受入れで何が変わるか

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育成就労はいつから|栃木の技能実習受入れで何が変わるか

この記事の要点

技能実習制度に代わる育成就労制度は、2027年4月1日(令和9年4月1日)に運用が始まります。出入国在留管理庁の制度概要(令和8年7月改訂)は、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度を創設したと説明しています。

栃木県内で「技能実習」の在留資格で働く外国人は9,420人で、そのうち製造業が5,047人と半分を超えます(栃木労働局の公表資料(令和7年10月末時点))。自動車部品をはじめとする製造業、建設業、いちごなどの農業で、受入れの仕組みが切り替わります。

この記事では、一次資料だけを使って、制度の変更点、栃木で受入れの多い分野の要件、施行日をまたぐ技能実習生の扱い(経過措置)、受入れ企業が今年度中に整える文書と生成AIの使いどころ、県内の相談先を整理します。

育成就労制度とは|施行日と目的

施行日は2027年4月1日

出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」によると、根拠となる改正法(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律)は、令和6年6月21日に公布された法律第60号で、施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日です。制度概要の資料も「育成就労制度は令和9年4月1日から運用開始します」と明記しています。

技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度が、令和9年4月1日に、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を持つ人材の育成・確保を目的とする育成就労制度に置き換わることを示した図
技能実習制度から育成就労制度へ、目的が変わる

目的は人材の育成・確保

育成就労制度の目的は、育成就労産業分野において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することです。育成就労産業分野は、特定技能制度の受入れ分野(特定産業分野)のうち、就労を通じて技能を修得させることが相当なものとされています。

技能実習制度が技能移転による国際貢献を目的にしていたのに対し、育成就労制度は、国内の人手不足分野で3年間かけて特定技能1号の水準まで育てることを目的にしています。受入れ企業から見ると、受け入れた人を育てて、その分野で働き続けてもらうための計画へと、考え方が変わるということです。

栃木の技能実習は9,420人|製造業が半分を超える

在留資格別に見る

栃木労働局の公表資料によると、令和7年10月末時点の県内の外国人労働者数は38,817人で、前年から3,248人増え、届出が義務化された平成19年以降で過去最多です。外国人を雇用する事業所数も5,576所で、過去最多でした。

栃木県の外国人労働者数38,817人のうち技能実習は9,420人で、製造業5,047人(53.6%)、建設業1,505人(16.0%)、農業、林業1,395人(14.8%)であることを示した図
栃木の技能実習の内訳(令和7年10月末時点)

在留資格別では、技能実習が9,420人(全体の24.3%、前年9,006人)、特定技能が4,635人(11.9%、前年3,618人)です。統計上、特定技能は専門的・技術的分野の在留資格に含まれます。国籍別に見ると、ベトナムは技能実習が4,238人(ベトナム全体の46.6%)、インドネシアは技能実習が2,701人(59.3%)で、どちらも技能実習が最も多い在留資格です。

産業別に見る

技能実習 9,420人のうち、製造業 5,047人(53.6%)、建設業 1,505人(16.0%)、農業、林業 1,395人(14.8%)です。同じ資料の別表6から、特定技能と並べると次のようになります。

産業 技能実習 特定技能
製造業 5,047人(53.6%) 2,270人(49.0%)
建設業 1,505人(16.0%) 327人(7.1%)
農業、林業 1,395人(14.8%) 847人(18.3%)
医療、福祉 264人(2.8%) 596人(12.9%)
全産業計 9,420人 4,635人

(構成比は、在留資格別の外国人労働者総数に対する当該産業の割合。栃木労働局「別表6 在留資格別・産業別外国人労働者数(令和7年10月末時点)」から抜粋)

技能実習の半分以上が製造業に集まり、建設業と農業、林業がそれに続きます。育成就労への切り替えは、県内ではまず製造業の話であり、次に建設業と農業の話です。

制度の仕組みで変わること|計画・監理・受入れ数

育成就労計画の認定

育成就労外国人ごとに作成する「育成就労計画」が認定制になります。計画には育成就労の期間(3年以内)、目標(技能、日本語能力)、内容等を記載し、外国人育成就労機構の認定を受けます。外国人育成就労機構は、計画の認定のほか、計画に基づく育成就労が実施されているかの実地検査なども行います。

育成就労実施者(受入れ機関)を中心に、計画の認定と実地検査を行う外国人育成就労機構、雇用関係の成立のあっせんを行う監理支援機関、送出機関、転籍を支援するハローワークの位置を示した図
育成就労で受入れ企業とつながる機関

監理支援機関の許可制

育成就労外国人と育成就労実施者(受入れ機関)の間の雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が適正に実施されているかどうかの監理を担う「監理支援機関」が許可制になります。許可基準は厳格化され、技能実習制度の監理団体も、監理支援機関の許可を受けなければ監理支援事業を行うことはできません。いま付き合いのある監理団体が許可を受ける予定かどうかは、受入れ企業が最初に確かめる点です。なお、ハローワークは監理支援機関や機構と連携して転籍を支援する役割に位置付けられています。

分野ごとの受入れ見込数と送出し

制度の基本方針と、育成就労産業分野ごとの分野別運用方針が策定されます。分野別運用方針では、生産性向上及び国内人材確保を行ってもなお不足する人数に基づき分野ごとの受入れ見込数を設定し、これを受入れの上限数として運用します。送出しについては、送出国と二国間取決め(MOC)を作成し、送出機関に支払う費用が不当に高額にならない仕組みを導入するなど、送出しの適正性を確保するとされています。地域の受入環境整備のため、地域協議会を組織することも示されています。

働く人にとって変わること|日本語・転籍・特定技能へのつながり

日本語能力の段階

制度概要の資料は、日本語能力と技能の水準を段階で示しています。

就労開始までにA1相当以上、本人意向の転籍の条件として技能検定基礎級等、特定技能1号へ移るときにA2.2相当以上が求められ、育成就労は3年間であることを階段で示した図
育成就労の3年間で求められる日本語と技能の段階
  1. 就労開始までに:日本語能力A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)に合格、またはそれに相当する日本語講習を受講
  2. 本人意向の転籍の条件:技能検定基礎級等と、日本語能力の試験(A1相当以上の水準から特定技能1号移行時に必要となる水準までの範囲内で、分野ごとに設定)への合格
  3. 特定技能1号へ:技能検定試験3級や特定技能1号評価試験等と、日本語能力A2.2相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN4等)

日本語の目標が育成就労計画に入るため、受入れ企業は日本語学習の時間と方法を、計画を作る段階で考えておく必要があります。

本人意向による転籍

育成就労外国人の本人意向による転籍が、一定要件の下で認められます。資料は、労働者としての権利保護を適切に図るためとしています。分野ごとに転籍の「制限期間」と、転籍時に求められる日本語能力水準が決められていて、本人意向による転籍時に求められる技能水準は育成就労1年経過時と同等です(分野ごとの値は次の早見表)。

育成就労から特定技能へ

資料の図では、育成就労は3年間、その後の特定技能1号は5年間、特定技能2号は「制限なし」と示されています。特定技能1号の試験に不合格となった者には、再受験のための最長1年の在留継続が認められます。育成就労終了時と特定技能1号に求められる技能水準及び日本語能力水準は同等とされています。

栃木で受入れの多い分野の要件|早見表

分野別の転籍制限期間と日本語

制度概要の「特定技能制度・育成就労制度の人材基準及び業務区分」から、栃木で技能実習の多い製造業・建設業・農業に関係する分野と、整備・介護を抜き出しました。

育成就労産業分野 本人意向による転籍の制限期間 1年経過時の技能水準 転籍時の日本語能力水準
工業製品製造業 2年 育成就労評価試験(初級)又は技能検定(基礎級) A2.1相当以上
建設 2年 育成就労評価試験(初級)又は技能検定(基礎級) A2.1相当以上
飲食料品製造業 2年 育成就労評価試験(初級)又は技能検定(基礎級) A2.1相当以上
自動車整備 2年 育成就労評価試験(初級) A2.1相当以上
農業 1年 育成就労評価試験(初級) A2.1相当以上
介護 2年 育成就労評価試験(初級) A2.2相当以上

1年経過時の日本語能力水準は、介護(A2.2相当以上及び日本語学習プラン、B1相当以上の場合は不要)を除き、表の分野ではA1相当以上です。資料の定義では、A2.2は日本語教育の参照枠A2相当のレベル、A2.1は参照枠A1に到達し、かつA2.2到達に向けて学習が進展しているレベルです。

業務区分の見方

工業製品製造業の業務区分は、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、ゴム製品製造、陶磁器製品製造など17区分です。建設は土木・建築・ライフライン・設備の3区分、農業は耕種農業・畜産農業の2区分、自動車整備は自動車整備・車体整備の2区分です。自動車整備分野と飲食料品製造業分野の新しい業務区分は従前の区分から切り分けたもので、令和9年3月31日まで従前の業務区分で受け入れる経過措置を設けるとされています。

県内の自動車部品の工場で多い金属加工や組立ての仕事が、どの業務区分に当たるかは、監理団体と分野別運用方針で確かめてください。令和8年7月時点で、特定技能の19分野のうち育成就労産業分野としての設定がないのは、自動車運送業分野と航空分野のみです。

施行日をまたぐ技能実習生の扱い|経過措置

施行日時点で実習中の人

制度概要の「技能実習に関する経過措置のイメージ」によると、施行日前に入国し、施行日時点で現に技能実習を行っている場合は、引き続き技能実習を行うことができます。要件を満たせば次の段階の技能実習まで続けられ、施行日時点で技能実習を行っている1号技能実習生は、施行後も2号技能実習に移行できます。3号への移行は、施行日時点で2号技能実習を1年以上行っている者に限られます。

施行日時点で現に技能実習を行っている人は引き続き技能実習を行うことができ、施行日前に技能実習計画の認定を申請している場合は施行日から3か月以内に開始する計画に限って入国できる場合があり、技能実習から育成就労には移行できないことを示した図
施行日をまたぐ技能実習生の扱い

この場合は技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労に移行することはできません。

これから入国する人

施行日前に技能実習計画の認定の申請をしている場合は、施行日以後に技能実習生として入国できる場合があります。ただし、施行日から3か月以内に開始することを内容とする技能実習計画に限られ、計画は施行日以後に認定される場合があります。

施行日前に既に技能実習を終えて出国している場合は、技能実習生として再度入国することはできません。技能実習を行っていた期間や職種によっては、育成就労外国人として再度入国できる場合があります。

施行前の申請の予定

資料の「施行までのスケジュール(予定)」には、監理支援機関の許可と育成就労計画の認定について、施行日前に申請する段階が示されています。受付の開始日は、2026年10月1日時点で確認できていません。出入国在留管理庁の発表と、契約している監理団体からの案内で確かめてください。

受入れ企業が今年度中に整える文書|生成AIに任せる範囲

先に作る3つの一覧

  1. 在籍する技能実習生の一覧:1号・2号・3号の段階、入国日、技能実習計画の期間。施行日(2027年4月1日)の段階でどの段階にいるかで、経過措置の当てはめが変わります。
  2. 監理団体への確認事項の一覧:監理支援機関の許可を受ける予定か、施行日前の申請をいつ行うか、育成就労での受入れの流れの説明をいつ受けられるか。
  3. 日本語学習の計画:就労開始までのA1相当以上、多くの分野で転籍時に求められるA2.1相当以上、特定技能1号で求められるA2.2相当以上という段階を、社内で誰がいつ支えるか。

生成AIに任せること

生成AIが役に立つのは、次のような下書きと整形です。

  • 出入国在留管理庁の資料をもとにした、制度の変更点のやさしい日本語版の下書き(原文を必ず添えて、人が確かめる)
  • 現場の作業で使う言葉の一覧を、やさしい日本語と母語で並べた学習用の表の下書き
  • 在籍者一覧から、施行日時点の段階ごとに人数を数える表の整形(氏名を伏せた形で)
  • 監理団体への質問リストの文面

外国人材向けの手順書を、やさしい日本語と多言語で作る手順は外国人材の手順書を生成AIで多言語化する5手順で、翻訳の確かめ方まで扱っています。自動車部品の工場での文書の整え方は栃木の自動車部品製造×生成AI、いちご農家の書類はいちご農家の生成AI活用6場面でも紹介しています。

人が決めることと、入力しない情報

育成就労計画に書く期間・目標・内容、受入れ分野と業務区分の当てはめ、在留資格の判断、転籍に関する判断は、生成AIの出力を根拠にせず、監理団体や専門家と確認して人が決めます。生成AIには、在留カード番号、旅券番号、氏名、住所、生年月日、日本語試験の個人の結果、評価や面談の記録を入力しないでください。

県内の相談先

相談先 内容 連絡先
とちぎ外国人材受入支援センター(公益財団法人栃木県国際交流協会(TIA)内) 外国人材の雇用・受入れに関する相談 028-621-0019(開館9:00〜17:00、日曜・月曜・祝日休館)
契約している監理団体 監理支援機関の許可の予定、施行日前の申請、経過措置の当てはめ 各団体
ハローワーク(栃木労働局) 外国人の雇入れ・離職時の届出(外国人雇用状況の届出) 各ハローワーク
出入国在留管理庁 育成就労制度の概要と関係法令 育成就労制度の制度概要・関係法令

栃木県と公益財団法人栃木県国際交流協会は、令和8年度の「企業向け外国人材雇用等相談会」を7月に県央(日光市)と県南(栃木市)で開き、弁護士・行政書士・社会保険労務士による個別相談を設けました。県南会場のトークセッションでは「育成就労制度に向けた取り組み」が取り上げられています(栃木県・栃木県国際交流協会「令和8年度 企業向け外国人材雇用等相談会」(PDF))。令和8年度にこの後開かれる相談会の予定は、2026年10月1日時点で確認できていません。

よくある質問

Q. 育成就労制度はいつから始まりますか。
A. 2027年4月1日(令和9年4月1日)に運用が始まります。根拠となる改正法は令和6年6月21日に公布された法律第60号で、施行日は一部の規定を除き令和9年4月1日です。

Q. いま受け入れている技能実習生は、施行日に育成就労へ切り替わりますか。
A. 切り替わりません。施行日前に入国し、施行日時点で現に技能実習を行っている場合は、引き続き技能実習を行うことができ、技能実習制度のルールが適用されます。技能実習から育成就労に移行することはできません。

Q. 本人の意向による転籍は、入社してすぐにできるのですか。
A. 分野ごとに転籍の制限期間(1年または2年)が設けられ、技能検定基礎級等と日本語能力の試験への合格が条件として示されています。栃木で受入れの多い工業製品製造業・建設・飲食料品製造業は2年、農業は1年です。細かな要件は分野別運用方針と関係省令で確認してください。

Q. 自社の仕事が育成就労の対象分野に入るか分かりません。
A. 育成就労産業分野は17分野で、令和8年7月時点で特定技能の19分野のうち育成就労の設定がないのは自動車運送業分野と航空分野のみです。業務区分への当てはめは、契約している監理団体や県内の相談先で確認してください。

Q. 日本語の要件はどの時点で確認されますか。
A. 資料では、就労開始までにA1相当以上の試験合格かそれに相当する日本語講習の受講、本人意向の転籍時に分野ごとに設定された水準、特定技能1号ではA2.2相当以上が示されています。

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参考・出典